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 がんにかかり、抗がん剤や放射線を使う治療が始まると、子どもをつくる機能に影響が出ることがある。「将来、子どもが欲しい」と願う患者の希望に沿い、生殖機能を保つために、がんの診療科と産婦人科などとの連携が進みつつある。事前に十分な情報を得て、患者自身や家族がよく考えて納得してから治療を始めることが大切だ。

卵子・受精卵など保存

 中部地方の会社員女性(35)は2年前、左乳房にがんが見つかった。婚約中で3カ月後に挙式を控え、頭の中が真っ白になった。

 いくつか病院を回り、岐阜大病院を受診。がん自体は小さかったが再発リスクを下げるために全摘し、その後約5年間、女性ホルモンの働きを抑える薬を飲むことになった。

 結婚間近と聞いた乳腺外科医は産婦人科医と連携、「できることはやっておきましょう」。手術後に挙式、ホルモン剤を飲み始める前の約3カ月で卵子を2回にわたり採取、受精卵にして凍結した。費用は約100万円。がん治療が終わるめどは3年半後で、女性は「すべて終えた後で子どもを授かれたら」と話す。

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拡大する写真・図版生殖機能を維持するための方法の例

 <機能回復に個人差> この女性のように、比較的若い年代でがんを発症すると、治療と妊娠・出産の時期が重なる場合がある。抗がん剤治療は9割の患者で月経が止まるとされ、ホルモン療法は一時的に閉経後と同じ状態になる。一般的に30代半ば以降、卵子の数・質が低下する。治療終了後に月経が再開する人もいれば、早く閉経を迎えてしまう人もいて、卵巣機能の回復は個人差が大きい。

 ここ数年間で、既存の生殖補助医療を使って将来の妊娠・出産希望に応える態勢が整いつつある。日本がん・生殖医療学会理事長の鈴木直・聖マリアンナ医大教授はまずは治療が優先としたうえで、「看護師や臨床心理士、薬剤師らも理解を深め、支援態勢を作ることが大切だ」と話す。

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 <取り組まぬ選択も> 乳がん患者で手術後のホルモン療法を1年半~3年で一時中断して妊娠・出産に取り組むことの安全性などを確かめる国際共同治験が2014年から始まり、日本も参加している。国立がん研究センター中央病院の清水千佳子医師(乳腺・腫瘍〈しゅよう〉内科)は「妊娠・出産に取り組む選択にデータを示せるようにしたい」。一方で、リスクや生殖医療の難しさを知り、「取り組まない選択をする人も、自然に任せる人もいる。納得して患者自身が決められる環境作りが必要」と話す。

 地方では都道府県レベルで診療科と産婦人科などが連携する仕組みが整備されつつある。13年に発足した「岐阜県がん・生殖医療ネットワーク」には岐阜大病院を中心に24施設が参加。今年9月までに女性103人(15~49歳)、男性45人(15~40歳)から相談を受けた。治療と妊娠・出産までの流れを説明し、実際に卵子や精子の保存をしたのは男性8割、女性3割程度という。

精子凍結、周知に課題

 男性は、抗がん剤や放射線の治療で、精子をつくる機能が低下し、精子の数や運動率が減ることがある。

 独協医大越谷病院(埼玉県)は…

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