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松山市の自営業の男性(64)は2014年6月、激しいだるさを覚えて受診しました。血液を詳しく調べた結果、マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に感染していることがわかりました。その約2週間前、男性は、SFTSの感染をきっかけにした肺炎で母(当時86)を亡くしました。SFTSに詳しい山口大学共同獣医学部の前田健教授が、自宅から離れた畑で男性が飼っていた犬を調べたところ、犬の血液からSFTSウイルスが見つかりました。

 

元気な母急変、血小板減少

 松山市の自営業の男性(64)が母(当時86)の遺骨に向かってつぶやいた。「お母ちゃんが言った通りになったなぁ」。2014年6月のことだ。

 長年、母と2人暮らしだった。80歳を過ぎても畑仕事に精を出していたその母が、病室で「もう、家には帰れんかもしれん」と言ったことを思い出していた。

 その2カ月前、激しい下痢と食欲不振でぐったりした母を市内にある松山赤十字病院へ運んだ。病院の玄関に着いても自力で歩けず、車いすで診察室へ向かった。

 重度の脱水症と診断された。血液検査の結果、血液中の血小板数が1マイクロリットル当たり1万5千(正常値は14万~36万)まで減り、肝機能も異常値を示していた。診察した内科部長の藤崎智明(ふじさきともあき)さん(52)は、ダニによる日本紅斑熱か、つつが虫病を疑った。

 だが、これらの病気に特徴的な湿疹がみられなかった。藤崎さんの頭に、別の可能性がよぎった。「SFTSかもしれん」

 SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は11年、中国の研究者が見つけた新しい感染症で、マダニにかまれて感染する。致死率が約20%と高く、日本でも13年に初めて患者が確認されて以降、西日本で感染が相次いだ。当時、愛媛県内では宇和島市など、県南部での感染が報告されていた。効果的な治療法はなく、水分と栄養を点滴する対症療法しかない。

 検査のため、県衛生環境研究所へ送られた母の血液からSFTSウイルスが検出された。

 母は普段、自宅から10分ほど歩いたミカン畑の脇にある菜園で、野菜作りを日課にしていた。男性も畑で犬2匹を飼っていて、毎日、えさやりに行っていた。だが、母の体にダニにかまれた跡はみつからず、どのように感染したかはわからなかった。

 藤崎さんは男性に「海外ではまれに人から人に感染していますので、念のため注意を」と告げた。

 母はいったんは意識を取り戻したが、肺炎を併発して、そのまま5月下旬に亡くなった。

 葬儀を終えた6月中旬の日曜日。母の遺骨が残る自宅で、体にだるさを覚えた。「自分も、ダニにかまれたんかな」

 

■母に続き入院、死…

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