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 インフルエンザの流行が全国的にピークを迎えつつあり、各地で小中学校の休校や幼稚園・保育園の休園が相次いでいる。ピークを過ぎても、流行は散発的に5月ごろまで続くこともあり、注意が必要だ。インフルエンザにかからないためには。かかってしまったらどうしたらいいのか。日本小児科医会の会長を務める東京都文京区の小児科医・松平隆光さんにポイントをきいた。

 

高熱、頭や関節などの痛み……風邪より激しい症状

Q インフルエンザはどんな病気でしょうか。

A 例年、年末から3月にかけて流行します。年によって流行するウイルスが違うため、毎年多くの人が感染します。

Q 安静にしていれば、1週間ほどで回復すると言われますが、普通の風邪とどう違うのでしょうか。

A 違うのは、38度を超えるような高熱が出たり、頭や関節の痛み、倦怠(けんたい)感など全身に症状が急速に出たりすることです。普通の風邪と同じようにせきやのどの痛み、鼻汁などの症状も出ます。インフルエンザは風邪に比べ症状が激しいのが特徴です。

 

有効な予防はマスク、手洗い

Q インフルエンザにかからないためにはどうしたらいいですか?

A インフルエンザの感染経路には、感染した人が出したくしゃみやせき、つばなどを吸い込んだ「飛沫(ひまつ)感染」と、ウイルスがついたドアノブやスイッチなどに触れた手で口や鼻などの粘膜を触ったことによる「接触感染」があります。学校、幼稚園・保育園など日常的に集団で生活していると、知らないうちに飛沫を浴びてしまうこともあります。感染していても症状が出るまでには1~2日かかり、感染していても症状が出ない人もいます。マスクは、周りの人にうつさないという効果がより高いので、症状があってもなくても、インフルエンザの流行期には普段からマスクを着用しましょう。

 手洗いで手指をきれいにすることは、インフルエンザに限らず、感染症を予防するという意味で有効です。接触感染を防ぐには、外出先から戻ったときや調理前後などにこまめにせっけんで手を洗ってください。インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による消毒も効果があります。うがいで口の中をきれいにすることも感染症の予防につながります。

 

規則正しい生活で免疫力高め、人混みは避けて

Q こんな食品を食べたら、感染しないというものはないのでしょうか。

A 感染を防げるという食べ物はありません。インフルに限らず、病気にならないためには、ふだんから規則正しい生活をして、十分な睡眠やバランスのとれた食生活をして、免疫力を高めることが大事です。

 子どもの場合は、特に食事の量よりも品数などを注意し、早寝早起きをさせましょう。

 そして、流行している時には、不必要な外出を避け、人混みや繁華街などにはなるべく行かないようにしましょう。

Q ワクチンは12月中旬までに接種した方がいいと言われることがあります。今から打っても意味がないのでしょうか。

写真・図版

A ワクチンは、生後6カ月から接種ができ、13歳未満は2~4週間あけて2回打ちます。効果は接種の2週間後から出始め、5カ月間ほど持続すると言われています。接種したからといって、絶対に感染しないというものではありませんが、一定程度の発症や重症化を防ぐ効果はあります。ピークは例年1~2月ごろですが、散発的な流行が5月ごろまで続くこともありますので、医療機関で接種できるなら打つことをおすすめします。

 

子どもや高齢者の重症化に注意

Q 毎年多くの人が感染するので、深刻に考えなくてもいいのでしょうか。

A 軽く考えてはいけません。子どもが急性脳炎・脳症を発症したり、高齢者や免疫力の低下している人が肺炎を合併して重症化したりすることもあります。地域で流行していて、高熱などインフルエンザを疑う症状が出たら、早めに内科や小児科を受診してください。ただ、発熱してから12時間以上たたないと検査では陽性にならないこともあります。夜中に急に発熱し、あわてて救急外来に駆け込んでも、感染しているか分からないこともあります。

Q 夜中に子どもが熱を出すと、親はあわててしまいます。解熱剤で熱を下げた方がいいのでしょうか。

A インフルに限らず熱が出るのは、体がウイルスや細菌をやっつけているからです。解熱剤を使うのは、次の三つの症状がそろったときにしてください。

 (1)夜間の発熱

 (2)38・5度以上

 (3)熱のせいで寝られない

 解熱剤を使っても、体温はせいぜい1度くらいしか下がりませんし、持続するのも4時間ほど。日中の発熱で使っても、夜にはまた体温が上がってしまいます。発熱するときには、ふるえやけいれんを起こしやすくなります。熱を下げたからといって、楽になるというわけではありません。一時的に熱を下げて寝かせるために使うものだと思ってください。

 

続くけいれん、速い呼吸に注意

Q 厚生労働省研究班の調査によると、インフルエンザ脳炎・脳症に毎年50~200人の患者の報告があるといいます。どんな症状に注意すべきでしうか。

A 次のような症状が子どもにあるときは、医療機関を受診してください。

 ・けいれんしたり、呼びかけても応じなかったりする(意識障害)

 ・呼吸が速く、息切れしたり、苦しそうだったりする(呼吸困難)

 ・お化けなど実在しないものを見たり(幻視)、意味不明な会話や言動をしたりする

 意識障害や幻視などが時間とともにひどくなっていないか注意してください。また、熱性けいれんは通常5分以内におさまりますが、10分以上続いたり、同じ日に何度も繰り返したりする場合すぐに医療機関を受診してください。

 

感染したら、受診し安静に

Q それでも感染してしまうことはあります。具合が悪くなったらどうしたらいいでしょうか。

A 早めに医療機関を受診して、睡眠を十分にとって安静にすごしましょう。高熱で汗をたくさんかくと、脱水症状になることもあるので、経口補水液などでこまめな水分補給を心がけましょう。また、タミフル、リレンザなどの抗インフル薬と呼ばれるウイルスの増殖を抑える薬もあります。発症してから48時間以内に服用を始めると、熱が出る期間を1~2日間短縮することができ、体の外に出るウイルス量を減らすことができます。服用にあたっては、かかりつけ医に相談してください。

Q 熱が下がったら、学校などに行ってもいいのでしょうか。

A 発症から3日~1週間はウイルスを出し続けるといわれており、熱が下がっても人にうつすおそれがあります。学校保健安全法では、「発症後5日が経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)」がたつまでを出席停止期間(医師が感染のおそれがないとした場合をのぞく)としています。周りの人にうつさないように外出は避けましょう。

<アピタル:ニュース・フォーカス・オリジナル>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(北林晃治)

北林晃治

北林晃治(きたばやし・こうじ) 朝日新聞記者

2002年朝日新聞社入社、北海道報道部、さいたま総局をへて、東京本社生活部、科学医療部。厚生労働省など社会保障、医療分野を取材。東日本大震災後、社会部をへて再び科学医療部へ。2016年9月からアピタル編集部員