拡大する写真・図版 懲役8カ月の実刑判決を受けた判決文。執行猶予中だったため、その時の懲役1年も加算された

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 万引きを繰り返す「窃盗症」は、果たして読者に理解を得られるテーマだろうか――。取材班の中でも戸惑いがありました。

 私自身、その人に共感しながら記事を書けるのかどうか、自信がありませんでした。万引きは犯罪であり、第三者に損害を与える行為であることを忘れずに取材するように心がけました。

 窃盗症の治療で知られる赤城高原ホスピタルと京橋クリニックを訪ね、約15人の患者さんに会いました。その中で連載で紹介した女性(51)と知り合いました。

 女性はとても明るく、若々しい方でした。30代から過食嘔吐(おう・と)を繰り返し、2015年に窃盗罪で服役する時には、体重が30キロを下回っていました。当時の写真を見せてもらいましたが、目の前にいる人と、写真の女性が同じ人とはわかりませんでした。

 女性が収監された後、心の支えにしたのは、夫(46)から毎週届く手紙でした。夫は取材にも応じてくれました。

 夫は、女性が逮捕された翌日に赤城高原ホスピタルの竹村道夫院長を訪ねました。窃盗症という依存症の可能性があると知り、視界が開けたと語ってくれました。同時に、「社会的には病気とは認識されないだろう」と思ったと言います。妻である女性に対し、「しっかり服役して戻ってくればよい」と受け止めたそうです。

 「どうして奥さんを支え続けられたのですか?」と聞いてみると、夫は「病気も含めて、妻であることに変わりはないですよ」と答えました。

 女性はきっと、夫の力強い支えによって、回復していくと私は信じています。

 

<アピタル:患者を生きる・依存症>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(宮島祐美)