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 私たちの団体では、2013年6月に、患者さん300人を対象にした生活ニーズを調査しました。この結果をもとに男女別に解析したところ、性差が現れた項目が三つほどありました。これについて紹介します。

▼男性の8割は悩みを誰にも相談しない

▼欲しいサービス、女性の第2位は「話し相手やピアサポーター」

▼人生の最終段階。女性は施設入所を望む声も高い

 

●男性の8割は悩みを誰にも相談しない

 悩みごとを相談できる相手を調査したところ、女性では39%が「誰にも相談できない」と回答をしていますが、その一方で相談している6割の人は、配偶者や実の親、兄弟姉妹、同じ病気仲間(ピア)など、周囲にいる様々な人に自分の悩みや不安を打ち明けていることがわかりました。

 一方、男性は、回答者の75%が「誰にも相談はできない」と回答、女性の回答と比べて明らかに高く、男性は悩み事を他の人に相談しない傾向があることがわかりました。

 男性に対しては、相談に来ることを待っていても中々現れることが少なく、定期的に男性だけが相談できる場を設定したり、「仕事の悩みを話し合おう」など、相談できる事柄を明示して声をかけていったりするなどの対応が必要なのかもしれません。

拡大する写真・図版図1 悩みや不安を相談できる相手

 

●欲しいサービス、女性の第2位は「話し相手やピアサポーター」

 治療の後、痛みや熱などで身体が動かなかったり、気持ちがおっくうになったりすることがあります。そんなときに役立つのが宅配の食事サービスなどの民間サービスです。

 「がん治療の継続や今後のため、これから欲しい、必要なサービス」を上位から三つほど選んでもらったところ、女性では「家事代行」を求める声がダントツの1位になりました。そして、2位が「話し相手・ピアサポート」、3位が「財産・相続などお金の相談」でした(図2)。

 一方、男性は、「家事代行」が1位、「宅配の食事」、「財産・相続などお金相談」が続いた後、4位に「話し相手・ピアサポート」が挙がります。

 この男女の回答を比べると、全体的に男性の回答への反応が女性のそれと比べて大変低いことがわかります。男性は、家事を家族に任せている人が多いので、そもそも、民間サービスを使おうという必要性を感じないのかもしれません。

 最近は病院内に患者サロンがあったり、休日や夜、病院の外で患者サロンを開催していたりする患者会もあります。「話し相手・ピアサポート」は男女とも上位項目ですから、がん相談支援センターなどは、院内、院外の様々なリソース(資源)をもっと周知する必要があるのではないでしょうか。患者はこうした生活の情報、知恵の共有を求めているのです。

拡大する写真・図版図2 がん治療の継続や今後のため、これから欲しい、必要なサービス

 

●人生の最終段階。女性は施設入所を望む声も高い

 「人生の最終段階をどこで迎えたいか」を聞いたところ、男女ともに自宅を選ぶ人が多くなりました。また、特に女性は、「ホスピス、介護保険施設などに入所して最後を迎えたい」という声も「自宅」と同程度あり、男性のそれと大きく異なる傾向がありました(図3)。

 在宅介護の担い手は女性が中心。女性は介護の担い手になることがイメージできても、「介護をしてくれる人」のイメージが持てません。もしくは、思い浮かぶ人がいても、「迷惑をかける」と避けてしまうのかもしれません。

 家庭でも仕事でも中心になる女性が病で倒れたとき、誰が診てくれるのでしょうか? 誰が日常生活を支援してくれるのでしょうか?

 がん診断は配偶者の就労にも影響を及ぼすことは以前の連載でも紹介をしています(「パートナーのがん 家族は「第二の患者」の視点を」 http://www.asahi.com/articles/SDI201608265750.html)。男性も、日頃から家事へ参加するなど、一緒に生活を考えておくことが大切です。

拡大する写真・図版図3 最期を迎える場所

 

 不安や悩みを打ち明けても、直接的な解決につながることは少ないかもしれません。でも、人と話をすることで心の整理ができたり、解決のヒントが得られたりする可能性があります。

 病気は「迷惑」ではありません。頼られることを待っている人もいますから、悩みが深くなる前に社会全体で拾い上げていく支援が大切です。

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http://www.asahi.com/apital/healthguide/cancer/(アピタル・桜井なおみ)

アピタル・桜井なおみ

アピタル・桜井なおみ(さくらい・なおみ) 一般社団法人CSRプロジェクト代表理事

東京生まれ。大学で都市計画を学んだ後、卒業後はコンサルティング会社にて、まちづくりや環境学習などに従事。2004年、30代で乳がん罹患後は、働き盛りで罹患した自らのがん経験や社会経験を活かし、小児がん経験者を含めた患者・家族の支援活動を開始、現在に至る。社会福祉士、技術士(建設部門)、産業カウンセラー。