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 連載「患者を生きる」では4月から、「我が家で」というシリーズを続けています。つまり「在宅医療」がテーマです。さまざまな病気の克服に在宅で取り組んでいる患者や家族に、このシリーズでは協力をいただいています。

 在宅医療の一つに、「在宅酸素療法」があります。「ホーム・オキシゲン・セラピー」の略称でHOTとも呼ばれます。

 在宅酸素療法では、たばこや有害物質を長年にわたって吸い続けたことで肺の機能が弱まり、通常の呼吸ができなくなった「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患」(COPD)という病気の患者が、90%以上の高い濃度の酸素を吸い、楽に呼吸ができるようにします。では、この療法に取り入んでいるCOPDの患者には、どのような悩みや苦労があるのでしょうか。

 

 声を聞こうと、患者会を訪ねたところ、多くのみなさんから異口同音に発せられたのが、この言葉でした。

「大切なのは、呼吸リハビリテーションですよ!」

 驚きました。実は、意味も知りませんでした。「そうでしょうね。だって患者自身でも、呼吸リハビリを知らない人が多くいるのですから」

 そこで、呼吸器系の専門病院である複十字病院(東京都清瀬市)の呼吸リハビリテーション科を訪ねると、埼玉県のCOPD患者の男性(72)がこう吐露しました。「もうだめだと諦めて、何もせずにいたら、病気が悪くなりました。でもここで呼吸リハビリに出合って、一から教えてもらい、光明が見えました」

 連載では、東京都板橋区の内田幸男さん(77)の体験を通じて、この呼吸リハビリの大切さを伝えようとしました。

 

 それにしても、患者が自分の意思だけでリハビリを続けるなんて大変です。この病気には、支え合いが欠かせません。同じ患者仲間で励まし合ったり、医療機関のサポートを受けたりすることで、リハビリを長続きさせるきっかけになります。ところが、そのための医療機関が決して十分ではないのです。今回、呼吸リハビリの連載を始めると早速、読者から「近くで指導してくれる医療機関を知りたい」と、問い合わせの電子メールが届きました。

 呼吸リハビリを推進している呼吸ケア・リハビリテーション学会のホームページ(http://www.jsrcr.jp/modules/shisetsu/別ウインドウで開きます)では、呼吸リハビリに積極的な全国の施設を探せます。ただし、登録されている数は少なく、県によっては1カ所もありません。

 

 こうした不十分な現状にもかかわらず、COPDの患者には遠慮さえあるように感じました。「たばこを吸いすぎた自分が悪いのだから……」。そう漏らす人もいました。残念です。それぞれの事情や背景を抱えて、不幸にも病気を抱えてしまった患者に、治療の機会や正しい情報が幅広く行き渡ってほしいと願います。

 

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください

<アピタル:患者を生きる・我が家で>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(伊藤隆太郎)