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 体育の授業中、突然の心臓発作で倒れた中学の男子生徒。居合わせた教員の救命措置と懸命の治療で生命はつながりますが、心臓移植が必要となり、生徒の胸には補助人工心臓が埋め込まれました。「生徒をまた学校に」。医師と教員たちが動き始めます。

持久走の最中に倒れた、心停止で搬送

 体育の授業中だった。

 大阪府の男子生徒(18)は中学2年だった2014年1月、校庭を走っていて突然倒れた。2キロの持久走で、タイムを計っていた。

 駆けつけた体育教員(57)は、男子生徒の肌が真っ白になっていることに気づいた。体に血が回っていない。心臓発作か。生徒の胸に耳をあててみたが、鼓動を感じなかった。

 「救急車を呼べ」「AED(自動体外式除細動器)を持ってこい!」。別の生徒たちに指示し、自らは男子生徒の口に息を吹き込み、胸を上から強く押す心臓マッサージを繰り返した。

 玄関にあったAEDが届くと、異変に気づいてやってきた別の教員に指示して作動させた。体育館にいた女子生徒も何人か集まってきた。数分後に救急車が到着。生徒を乗せて走り去った。

 男子生徒が倒れた理由は思い浮かばなかった。それまで、心臓に異常があるといった話は聞いたことがなく、剣道やテニスの経験もあった。健康に特に問題はないはずだった。

 

 男子生徒は大阪大病院(大阪府吹田市)の救命救急センターに運ばれた。だが、心臓の拍動は血液を全身に送り届けるには不十分な「心停止」の状態のままだった。生命が危ぶまれた。

 小児の心臓外科を専門とするチームが呼び出された。生徒の弱った心拍を補うため、両脚の血管に管をつなぎ、機械で人工的に血液を送り出しながら酸素交換する「経皮的(けいひてき)心肺補助装置」をつけ、血液の循環を補い始めた。

 だが、心拍が弱すぎて、脚の血管を使った補助では不十分だった。それに、脚の血管に管をはめ込んだことで、血流がとどこおってしまう面があった。脚への障害が心配された。

 「胸を開けよう」。心臓血管外科の平将生(たいらまさき)医師(41)らは心臓に直接、2本の管をつけて血液を送り出すことにした。一つは右心房から肺動脈へ。もう一つは左心室から大動脈へ。

 血栓を防ぐ薬が必要だったが、その影響で心臓などから出血を繰り返した。急性腎不全も起き、人工透析をした。意識も戻らず、危険な状態が続いた。

 

「先生、握手しよう」

 大阪府の男子生徒(18)は中学2年だった2014年1月、体育の授業中に倒れ、大阪大病院に運ばれた。弱った心拍を補うため、心臓に管をつけ、補助装置で全身に血液を送り続けていた。

 集中治療室(ICU)で、母親(45)は生徒の好きな「ゆず」の曲をかけた。学校からは、同級生が生徒に呼びかける声を収めたCDが届いた。1週間ほどして、生徒は意識を取り戻した。

 2月末、心臓血管外科の平将生医師(41)が心臓の機能を調べると、補助装置を外すのは難しいとわかった。いずれ、心臓移植が必要になることを意味していた。

 3月末、移植を待つ手続きをし…

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