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 アイドルグループ「モーニング娘。」の元メンバー、吉澤ひとみさん(32)は昨年7月、第1子となる長男を帝王切開で出産しました。1666グラムの低体重児で、すぐに新生児集中治療室(NICU)へ搬送されました。妊娠中から赤ちゃんが思うように育たず、切迫早産の恐れで入退院を繰り返しました。退院後も、長男の成長に不安を感じることがあったそうです。今年7月、長男が1歳の誕生日を迎えたのにあわせ、吉澤さんは妊娠と出産の経緯を公式ブログで公表しました。そこには、どんな気持ちがあったのでしょうか。

ただただ、心配だった

 前日からしたためた文章は、すでにスマホの中にあった。「1歳のお誕生日!!!」と題した長文だ。

 私が伝えたいことは何だろう? きちんと自分の言葉で伝えたい――。何度も考え、何度も書き直した。長男が昼寝をしている時間を使い、3時間ほどかけて完成させた。

 7月29日朝。ちょうど1年前のこの日、長男が誕生した。午前9時53分。出生時間のタイミングに合わせ、公式ブログに文章をアップした。

 「実は、生まれるまでに色々なことがありました」

     ◇

 アイドルグループ「モーニング娘。(モー娘〈むす〉。)」の元メンバー、吉澤(よしざわ)ひとみさん(32)が、同じブログで妊娠の報告をしたのは、2016年3月14日のことだった。妊娠5カ月に入っていた。「新たな家族を迎える喜びと、おなかのなかで赤ちゃんと一緒に過ごしている時間を感じ、幸せな気持ちでいっぱいです」

 翌日、母子手帳をもらいに行った。ポカポカ陽気。春の近づきを感じる日差し。手にすると、「お母さんになるんだ」と実感が湧いた。

 ほどなく、胎動があった。埼玉県の実家に帰省していたとき。ぐるん! え? いま動いた? その後すぐに、おなかを蹴られるのを感じた。「ああ、ここにもうひとつの命があるんだ」。おなかに、そっと手を添えた。その後の妊婦健診で、性別は男の子のようだとわかった。

 心配が出てきたのは5月、妊娠7カ月に入ったころだ。健診で「子宮頸管(けいかん)が短い。自宅安静にしてください」と告げられた。通常は3・5~4センチほどあるものが、3センチを下回っていた。その少し前の健診で、赤ちゃんが少し小さいことも伝えられていた。

 膣(ちつ)と子宮を結ぶ子宮頸管は、妊娠中には適度な長さを保ち、固く閉じている。しかし、これが短くなると、まだお産の時期ではないのに子宮口が開いてしまい、早産の危険性が高くなる。「切迫早産」といわれる状態で、吉澤さんはこの危険性があった。

 出産の直前まで仕事は続けるつもりだった。「母親としての自分だけでなく、仕事をしている自分も大事にしたい」。しかし、予定は変更せざるを得なかった。

 抱き枕を抱き、ほとんど横になって過ごした。早産にならないように、子宮の収縮を抑える薬をのんだ。「元気な赤ちゃんが生まれるんだろうか?」。時間をもてあまし、ついスマホで子宮頸管や赤ちゃんの発育について検索してしまう。

 不安に襲われると、動画サイトで赤ちゃんが誕生するシーンを見て、自分を鼓舞した。不安はきっと、赤ちゃんに伝わる。だから打ち消そう。「まあだだよ」「1日でも長くおなかにいて、1グラムでも大きく生まれてきてね」。おなかに向かって、そう話しかけた。

     ◇

 だが、なかなか順調には進まなかった。子宮頸管が2・5センチを下回り、切迫早産で入退院を何度か繰り返した。「帝王切開で出産したほうがいい」と医師から言われたのは7月、妊娠35週に入ったころだった。それまで小さいなりに増えていた赤ちゃんの体重が横ばいになったことから、医師が決断した。

 2500グラム未満で生まれる赤ちゃんは「低出生体重児」、1千グラム未満は「超低出生体重児」と呼ばれる。体の機能が未熟な状態で生まれてくるため、出産後は新生児集中治療室(NICU)で治療を受けることが多い。

 自然分娩(ぶんべん)で産みたい、という気持ちが強かった。何よりも、大きく産んであげたかった。赤ちゃんはいま、おなかのなかでどうしているだろう? 「ごめんね」。罪悪感と言葉にできない不安が襲う。涙が止まらなくなった。

 夫がインターネットで調べてくれて、モー娘。の初代リーダーだった中澤裕子(なかざわゆうこ)さん(44)と連絡をとることをすすめてくれた。中澤さんも帝王切開を経験していた。「帝王切開も立派な出産だよ」。電話口の中澤さんの言葉に、勇気づけられた。

 妊娠36週の7月29日、朝から帝王切開が始まった。「行ってらっしゃい!」。手術室の入り口で、夫や母親が見送ってくれた。手術中は、首から下はカーテンで仕切られ様子はよく分からなかった。布一枚隔てた向こうから、医師たちの声や手を動かす音が聞こえる。ただただ、心配でしかたなかった。

 午前9時53分、産声が上がった。生まれた? 驚く間もなく、何度も産声が耳に入ってきた。涙がとめどなくあふれ出す。「自分の体から一つの命ができあがり、出てきてくれた。その驚きと感動と」

 1666グラムの男の子だった。タオルにくるまれた我が子は、短い対面の後、すぐに院内のNICUへと運ばれていった。

 

空っぽのベビーベッドに涙

 アイドルグループ「モーニング娘。」の元メンバー、吉澤ひとみさん(32)は昨年7月末、第1子となる長男を産んだ。1666グラムの低体重児で、すぐに新生児集中治療室(NICU)に搬送された。NICUは低体重児や、病気を持って生まれてきた赤ちゃんが入院する場所だ。

 出産の翌日、夫に押してもらい、車いすで産科病棟からNICUへ向かった。いくつも並ぶ保育器で赤ちゃんが眠っている。そのなかに、長男もいた。小さな体を丸めるようにして、全身で息をしていた。酸素マスクや、心拍を測るモニターが装着されていた。

 健診で「おなかの赤ちゃんが小さい」と聞いていた。出産後はNICUに入ることになるかもしれない。そう考えて、妊娠中から調べていたから、どんな場所か、ある程度の想像はできていた。

 しかし、想像以上の緊張感だった。「ひとつひとつの命が1分1秒休むことなく、いまここで闘っている」。そう思った。

 8月初旬、初めて赤ちゃんを抱…

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