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 味付けは計ってするタイプで、調理には計量スプーンをよく使います。料理のレシピに誤りがないかどうかチェックするため、掲載前に試作することが多いせいかもしれません。

 手元にある大さじ(15cc)と小さじ(5cc)はステンレス製で、もう25年使い続けています。シンプルで頑丈なのですが、実は少し不便に感じるところがありました。小さじ半分が計りづらいのです。大さじには内側に半量の線があるのに、小さじにはついていません。別のスプーンの柄などですり切り、さじの半量を払うのは面倒。ついつい目分量で済ますことも多かったのです。

 半年ほど前、ホームセンターの店頭で、小さじ半分(2.5cc)の計量スプーンを見つけて買ってみました。使うと、手間が省けて便利便利。小さじ半分って、けっこうレシピで登場することが多いのです。値段は200円もせず、何で早く買わなかったのだろうと思うくらいでした。

 ところが、先日お会いした料理研究家の方から、料理初心者の計量スプーン取り違えが目立つという話を聞きました。計量スプーンは15cc、5cc、2.5ccと3本セットで販売されていることも多いらしく、これを買った人が、大きさに従って、一番小さい2.5ccのスプーンを「小さじ」だろうと取り違えてしまうのだ、と。あらら・・・。

 日本で計量スプーンを考え、普及させたのは、女子栄養大学創立者の香川綾さんです。経験と感覚的な表現で行われていたそれまでの料理の説明に対し、誰でも同じように作れるよう、計量化を進め、15cc、5ccの計量スプーンと200ccの計量カップという「物差し」を作り上げました。最初のものは、1948(昭和23)年に作られたそうです。

 その女子栄養大学では、通常の2本の計量スプーンのほかに、1ccのミニスプーンを販売していると知りました。一般でも購入可能と聞き、物は試しと駒込キャンパスの売店で買い求めました。同大出版部から最近刊行された『絵で見てわかる 定番おかずをおいしく減塩』も、副題の「計量スプーンでできる味つけのコツ」にひかれて一緒に購入。

 このミニスプーン1杯で、サラサラした精製塩なら1.2g、粒が大きめの粗塩なら1g。計ってみて、1gって、結構量があるものだな、と思いました。だいたいの感覚に頼っていたものが、視覚化するとはっきりとらえられます。少ない量を計るのに重宝しそうです。

 本の方は、豚肉のショウガ焼き、野菜炒め、チャーハンなど、家庭でおなじみのおかずを上手に適塩、減塩するコツがイラストで解説してあります。適塩は、健康な成人の1日の塩分摂取目標量(男性8g未満、女性7g未満)になるような味付け。1食分の塩分は2~3gが目安。減塩は、1日6gと塩分制限がある場合の味付けで1食分の目安は2g、としています。

 例えばサラダなら、適塩のコツは、野菜の水気をしっかり切って、ドレッシングを計り、食べる直前にかけること。野菜200g(2人前)に対して、ドレッシングは、サラダ油大さじ2、酢大さじ1、塩ミニスプーン1、コショウ少量で作ります。市販のフレンチドレッシングを使うなら大さじ1が目安量。これで1人前塩分0.6g。

 減塩にする場合は、香りとこくのあるオリーブ油大さじ2、酢小さじ2,塩ミニスプーン半分、コショウ少量で、油→酢→塩コショウと、1種類ずつ順番に野菜とあえます。まんべんなく野菜に調味料がいきわたり、より少量で済むのだそう。1人前の塩分は適塩の半分、0.3gに抑えられます。手順としても、調味料をしっかり混ぜ合わせてドレッシングを作るよりも、順番にあえていく方が簡単に思えます。試してみよう。

 本では、いっぺんに低い塩分にするのではなく、今の味付けから徐々に減らすことを勧めています。まずは日頃味付けするときの調味料の量を計ってみる。少し量を減らして味をうすくし、そこに慣れたら、またもう少し減らす、といった具合。うす味にしても、人は1~2週間で慣れてくるという報告もあるそうで、味覚は変えられるのですね。「計ることが減塩の第一歩」とありました。健康を保つためにも、計量スプーンは使いがいのある道具です。

 

<アピタル:食のおしゃべり・トピック>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/eat/

(大村美香)

大村美香

大村美香(おおむら・みか) 朝日新聞記者

1991年4月朝日新聞社に入り、盛岡、千葉総局を経て96年4月に東京本社学芸部(家庭面担当、現在の生活面にあたる)。組織変更で所属部の名称がその後何回か変わるが、主に食の分野を取材。10年4月から16年4月まで編集委員(食・農担当)。共著に「あした何を食べますか?」(03年・朝日新聞社刊)