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 ヨウコさんとメグミさんは内科病棟で働く看護師です。前回は、すぐにカッとなって怒りを表に出してしまうヨウコさんが、次々とわいてくるイライラに対して、頭の中で「ストップ!」と号令をかけて、思考を止めるテクニックを紹介しました。

 今回は、怒りを心の内にため込んでしまうメグミさんの1日を見てみましょう。メグミさんは、今日もだいぶイライラをため込んでいるようです。

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 午前中に予定していた患者さんの検査の時間が、医師の都合で急に変更になった。患者さんにも説明して、時間に合わせて準備していたのに、変更ならもっと早く連絡してよ!

 と、言いたいけど言えない……。

 昼食時間に食堂へ行ったら、お得なAランチが私の前の人で終わってしまった。今日のメニューを楽しみにしていたのに、今日はついてない。

 そして夕方、ナースステーションの処置台には、また機材が出しっぱなし、点滴や衛生材料の空袋が置きっぱなし。ゴミ箱に捨てようとしたら、ゴミ箱には分別されていないゴミが捨てられている!

 もういい加減にしてほしい!

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 イライラが続く時、実は怒らなくても良いことに対して、怒っていることもあります。イライラした出来事を整理して、怒ることなのか・怒るほどのことでもないのかと、考えてみましょう。ささいな怒りをずっと抱えて嫌な気分で過ごすのは、貴重な自分の時間を無駄にしているような気がします。ずっと記憶に留めておくよりも、そのイライラから離れて忘れてしまいましょう。

 年末の大掃除で、家の中に溜まったゴミを処分する人も多いのではないでしょうか。でも、いざ捨てようとすると「まだ使うかもしれない」という迷いが生じてなかなか捨てられないという経験はないですか? そうして、いつの間にか家の中に荷物が増えてしまいますよね。

 その荷物やゴミを捨てるとき、判断の基準があると処分しやすいものです。例えば2年着なかった洋服は処分するなどです。

 感情を整理する際も、基準をもっておくのがおすすめです。アンガーマネジメントでは、怒るか怒らないかを決めるために、その出来事が自分にとって重要なことかどうか、自分でコントロールできるかどうかという2つ基準で仕分ける方法があります。たいして重要でなければ、それは受け流して忘れてしまっても良いでしょう。また、どれだけ怒っても事態が変わらない、自分ではどうにもならない、自分ではコントロールできないことに怒っても、仕方ないのです。

 また、病院の場合は患者さんに危険や不利益が生じる内容かどうか、医療安全の観点から見過ごせないことかどうか、といった判断基準もあるかもしれません。ときには言わなければならない、しっかりと怒らなくてはならない状況もあるでしょう。

 

 さて、メグミさんのイライラを見直してみましょう。

 予定していた検査の時間が変更になったことにイライラしたけれど、緊急の患者さんがいたのかもしれないし、そこで文句を言ったとしても事態は変わらないでしょう。時間が変更になっても検査はできると考えれば、それほど目くじらを立てることでもないかもしれません。自分ではコントロールできないことにイライラするより、その事実を受け入れて自分にできる次の対応に進むという判断です。

 お昼のAランチが品切れでも、Bランチを食べればいいかな。そう考えてみれば、怒るほどでもないことです。

 ナースステーションの処置台に出しっぱなし、置きっぱなしの状況は、自分でコントロールできることです。捨ててあげればいいし、「みんなで注意しよう」と呼びかけることもできますよね。

▼不満や文句を天使の言葉に置き換えよう http://www.asahi.com/articles/SDI201711086932.html

 

 怒りの荷物をたくさん背負っていたら、その荷物を仕分けして不要なものは捨て、気持ちも軽くしていきましょう。

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 ささいなことが目に付いて、すぐにカッとなって同僚や上司や患者さんたちについ口を出してしまうヨウコさん。これに対して、ついつい相手に合わせてしまい、自分の気持ちを表に出せないメグミさん。2人が、怒りの感情とうまく付き合っていくためのヒントを、一緒に考えていきましょう。 (ヨウコさんとメグミさんは架空の人物です)

 

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◆編集部から

田辺有理子さんの本が出版されました

 タイトルは「イライラと賢くつきあい活気ある職場をつくる 介護リーダーのためのアンガーマネジメント活用法」(第一法規、2160円)です。(詳しくはアマゾン:https://goo.gl/sxK6md別ウインドウで開きます

 

<アピタル:医療・介護のためのアンガーマネジメント・コラム>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/anger/(アピタル・田辺有理子)

アピタル・田辺有理子

アピタル・田辺有理子(たなべ・ゆりこ) 看護師・保健師・精神保健福祉士

横浜市立大学医学部看護学科講師。大学病院勤務を経て2006年から看護基礎教育に携わる。アンガーマネジメントファシリテーターTMとして、医療・介護・福祉のイライラに対処するためのヒントを紹介する。著書に『イライラとうまく付き合う介護職になる!アンガーマネジメントのすすめ』(中央法規出版)がある。