拡大する写真・図版松井基浩さん 1986年大阪府生まれ。高校1年で悪性リンパ腫に。8カ月の入院生活の後、復学。入院治療を受けながら浜松医科大に現役合格。在学中の2009年に患者団体「STAND UP!!」を設立した。国立国際医療センターなどを経て、昨年4月から東京都立小児総合医療センター血液・腫瘍(しゅよう)科に勤務。大学時代に知り合った妻と26歳で結婚。2児の父でもある

[PR]

「STAND UP!!」代表 医師・松井基浩さん(31)

 がん患者には夢がある――。若年性がんの患者団体「STAND UP!!」代表で医師の松井基浩さん(31)は、自身も高校生のときにがんを経験した「がんサバイバー」です。いまは医師として若いがん患者と向き合いながら、「患者と医師の両方の立場が分かる自分にしかできないことがある」と夢を追い続けています。ご自身の体験や、「AYA世代」と呼ばれる若いがん患者の悩みについて聞きました。

 

SNSがきっかけ 医学部在学中に患者団体を立ち上げ

 Q 「STAND UP!!」の活動について教えてください。

 A 大きく二つあります。一つは、若年性のがん患者の体験談やアンケートを紹介するフリーペーパーの作成。ひとりで闘病しているような人に、少しでも前を向いてもらおうと作り始めました。年1回、約3万部を発行し、全国各地のがん拠点病院など約400施設に配布しています。

 もう一つは、若いがん患者どうしの交流。若年性という特有の病気なので、抱える悩みはある程度似ています。恋愛・結婚、就職・就学・復学、医療費、心理的な問題が主にあります。そうした悩みをひとりで抱えるのではなく、自然に話し合えるような場を作っています。

 Q 「STAND UP!!」ができたきっかけは。

 A 医学部に在学中の2007年にSNSで「がん患者には夢がある」というコミュニティーをつくり、若いがん患者の悩みを聞き始めていました。その頃、24歳で乳がんを経験した副代表の鈴木美穂さんから「一緒にフリーペーパーをやりましょう」と持ちかけられたことがきっかけです。

 Q 「がん患者には夢がある」のフレーズにはどのような思いが込められているのですか。

 A 悩み相談を受けることが多い一方、夢をもち続けている患者さんがたくさんいました。集まって前を向いていけば、何かがきっとできる。がん患者のみなさんに夢を持ってもらいたい、と思ったのです。十数人で始め、いまは全国に約600人の会員がいます。

 Q 2010年に第1号のフリーペーパーを発行し今年で8号。患者さんが実名で赤裸々に自身の体験を語っているのが印象的です。

 A ターゲットを若年性がん患者に絞って、闘病しながらも前を向けるような内容にしようというコンセプトで作り始めました。がんという同じ病気を経験した仲間だからこそ、語れることがあります。私たちだから伝えられることがあり、仲間のために伝えたいことは何なのかと考えてきました。みんなが同じ道を通るわけではないですが、恋愛や結婚についてもそれぞれのエピソードを語っていくことで、これからがんになる人が通る「道」を示すことになります。そう考えると、私自身もプライベートについて話すことに抵抗はなかったです。

 Q 患者さんの中には「がんになって良かった」という人もいました。

 A がんになることで失うものがあるのは事実。ですが、がんになったから出会えた仲間、気づいたことがあるはずです。いい意味で、人生が変わった人も多くいます。失ったことばかりクローズアップされがちですが、がんになったことで得たものはそれぞれあると思います。

拡大する写真・図版松井基浩さん

 

高校1年で悪性リンパ腫、がんの子どもたちとの出会い

 Q 松井さん自身のがん経験について教えてください。

 A 高校1年生の秋に開かれた学校のマラソン大会の選抜レースで、毎年選手に選ばれていたのに、初めて落選しました。呼吸がしづらく、走ると苦しかった。「何かおかしいな」と病院に行ったのがきっかけでした。

 地元の病院に行き、検査を受けると、最後に親が呼ばれ説明を受けました。あまり覚えていないのですが、「国立がんセンター(当時)に紹介してください」と親が言っていたのを覚えています。そこで「がん」という単語が出てきて、「自分はがんなんだ」と思ったのです。それまで「死」について考えたことはありませんでしたが「自分は死ぬんじゃないか」と沈んだ気持ちになりました。

 翌日、同センターを受診し、悪性リンパ腫の中でも「T細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫」だと分かり、すぐに入院して治療が始まりました。他の人たちが学校に行っているのに「なんで自分だけが」という思いでした。気分はふさぎ、病室でもカーテンを閉め切って過ごしていました。

 化学療法の治療を受け、吐き気や脱毛といった副作用もあったのですが、小児科病棟の入院患者さんからいろいろ教えてもらいました。みんなも同じように苦しみながらもがんばっていた。「自分も同じ」と思え、そんなについらいとは思いませんでした。

 Q 同じ病気で悩む仲間たちの…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら