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 自動車へ電動車いすを積み込むためのリフトを製作しはじめて4ヶ月が経過しました。その間製作にあたりマイカー・マイ車いすを預けているため、日常生活においてさまざまな不便が生じています。けれども、私の足となる自動車なので不便には目をつぶり完成を待ちわびながら前回のコラムを書いたところです。

 

 しかしながら、つい先日、話が振り出しに戻ってしまいました。私のニーズと福祉車両会社が提供できる技術が一致しなくなったため、リフトを造ってくれる会社を探すところから、やり直しです。普通に仕事へ行って、普通にお出かけして・・・という、ごく当たり前の日常を送りたいだけなのに、それが叶わない現実ーー。「リフトの完成」という希望を支えにして日々を耐え忍んできただけに、ショックを隠しきれません。

 

 とはいえ、私にとって自動車は生活に欠かせないものです。落ち込みたいのはやまやまですが、一刻も早いリフトの完成に向けて早急に動き出さなければいけないほど、ひっ迫した現状が広がっています。

 

 今、私が抱えているニーズは、「自動車に一人で車いすを積み込みたい」、この一点に尽きます。

 

 車いすユーザーが一人で自動車に乗るとき、次のことをクリアにする必要がありますが、

1.車いすからシートへの移乗 → ○

2.車いすを自動車へ収納する → ×

3.運          転 → ○

上記のとおり、「2.積み降ろしの動作」だけがネックとなっているのです。逆を言えば、それさえどうにかなれば、今までのように自由に行動ができるようになります。

 

 重さ30kg強の簡易電動車いすを折りたたまずに、開いた状態で収納できる装置さえ実現してくれれば・・・というのが、切実な思いです。

 

 「車いすユーザーと自動車の改造」と聞くと、「福祉車両」を思い浮かべるのが一般的だと思いますが、それらは「介助者がいる前提」で造られているものが大半を占めています。自動車の利用を想定したとき車いすユーザーと一口にいっても、療養が中心の生活を送っている人や生活全般で介助を要する人、はたまた障害を補う道具さえあれば普通の人と遜色のない日常を送れる人とでは、まったく異なるニーズを持っているのです。

 

 さらには、前者の場合「介助者が楽に積み込める」という+α的な要素とも言えるため、後者にとっての「必需品」とは重要度合いも大きく異なります。

 

 なぜ車いすドライバー(車いすユーザーかつ自分で運転する人)が、介助者がいる前提の福祉車両ではダメなのか、すこし想像してみてください。

 

 トヨタ・ウェルキャブ車をはじめとした福祉車両の主軸に、車両後部からスロープが伸び、そこから車いすユーザーを乗車させる仕様があります。このとき車いすドライバーは、まず車いすで車両後部に近づき、スロープを展開させることになります。しかし、スロープを展開する動作を車いすユーザーが行うのは、きっと難しいのではないでしょうか。少なくとも、私には出来ません。ドアの開閉・スロープの展開を電動化する必要があります。つぎに、車内へ乗り込んだとして、運転席にはどうやって移動したらよいのでしょうか。歩ければ車内の移動は何てことありませんが、下肢麻痺の車いすユーザーには、これまた難題です。

 

 車内での移動をしないパターンも連想してみたいと思います。まず、車いすを運転席横につけ、シートへ移乗します。後ろのドア開閉・スロープ展開は電動化している設定なので、準備は機械に任せておけば大丈夫です。あとは運転席横にある車いすをスロープで・・・。運転席シートから動けない車いすユーザーは、どうやってスロープまで運んだらよいのでしょうか。またまた問題発生です。

 

 このように、車いすユーザーが一人で自動車に乗るためには、「それなりの道具」が必要不可欠なのです。でも、それさえあれば、仕事もできる=納税者になる、外出もできる・介助者もつけなくてよい=福祉費用の削減と、改造・制作費がかかるとしても、個人にとっても社会にとってもメリットしかないのではないでしょうか。

 

 私はまだ、「一人で自由に動けること」を諦めたくはありません。もっとおばあちゃんだったら仕方ないと思えるけれど、まだ20代の現役世代です。障害を補う道具を使うことで自分の足を獲得できるのなら、それを造ってくださるところを全力で探したいと思っています。けれども、さまざまな事情で諦めざるを得ない人も、きっとたくさんいるはずです。私も含め、そういう人たちが、もっと外に出られる社会になってほしいと願います。ロケットに乗って宇宙にさえ行けちゃう時代なのに、車いすひとつ積み込むことで、こんなに苦労するなんて・・・。

 

 「重さ30kg強の簡易電動車いすを折りたたまずに開いた状態で、私ひとりで収納できる装置」を実現できそうなところにお心当たりのある方、うちに任せて!という方、検討するために詳細が知りたいという方がいらっしゃいましたら、どんな情報でも構いませんので、本コラム末尾にお示しする樋口彩夏直通メールまでご連絡いただければ幸いです。いろいろ調べましたが、既存の福祉車両だけでは対応できそうにありません。まったく一から造り上げるか、福祉・工業等分野を問わずクレーンなどの既存パーツ+αで製作するか、いずれにしても創作性の高いものになると思われます。福祉系の改造に限らず、ロボットアームや工業用ロボット製作会社など、分野の垣根を超えて探している最中ですので、どうか、どうか、皆さまのお力添えをいただきたくお願い申し上げます。

 higuchi.ayaka.2@gmail.com(お手数ですが、半角にしてご活用下さい)

 

 

<アピタル:彩夏の〝みんなに笑顔を〟>

http://www.asahi.com/apital/column/ayaka/(アピタル・樋口彩夏)

アピタル・樋口彩夏

アピタル・樋口彩夏(ひぐち・あやか)

1989年、東京生まれ。中学2年の時、骨盤にユーイング肉腫(小児がん)を発症。抗がん剤、重粒子線などの治療を経て、車いすでの生活に。「いつ、誰が、どんな病気や障害をもっても、笑顔で暮らせる日本にしたい!」を目標に日々、奮闘中。当事者の視点から建設的に伝えることをモットーに執筆・講演も行っている。