[PR]

 20代で不妊治療を始めたイラストレーターの赤星ポテ子さん(37)。「すぐに妊娠できる」と信じて、初めての体外受精に挑戦しました。ところが、そこから直面する現実は、予想を超えて厳しいものでした。心身の苦痛、時間や費用の捻出、夫の思い……。「もう続けられない。でも妊娠を諦めたくない」。揺れ動いたポテ子さんの約10年間にわたる不妊治療生活の軌跡です。

 

4人家族が夢だった

 一人息子を寝かせた後の、夏の夜のことだった。

 「不妊治療、もうやめようぜ」。東京都に住むイラストレーター赤星(あかほし)ポテ子(こ)さん=ペンネーム=(37)は昨年、夫(40)の突然の提案に衝撃を受けた。

 子どもを2人産んで4人家族を築くのが、幼い頃からの夢だった。夫も同じ思いで不妊治療をがんばっているものと信じていた。ところが、彼は「1人授かっただけで十分だ」という。「あと何回体外受精を繰り返したらいいのか。先が見えない」と嘆いた。

 2人が不妊治療を始めたきっかけは、10年前にさかのぼる。月経不順で婦人科クリニックに通っていた27歳のポテ子さんは、早期の子宮体がんと診断された。

 総合病院に移ってホルモン剤をのむ治療を始めると、数カ月後の検査でがん細胞は消えた。だが薬をやめると再発。しばらく薬をのむとまたがん細胞は消え、薬をやめるともう一度、再発した。

 セカンドオピニオンを求めて2009年に、神奈川県相模原市の相模野病院を受診。婦人科の上坊敏子(じょうぼうとしこ)さん(69)は、ポテ子さんが結婚したばかりと知り、2度目の診察で二つの選択肢を示した。子宮を取る手術を受けるか、すぐに不妊治療を始めるか。

 上坊さんはこう説明した。再発予防を最優先とすれば、子宮摘出だ。ポテ子さんのがんは転移のおそれも少ない。ただ子どもを望むなら、いまの子宮の状態では妊娠できないので、不妊治療をして急ぐべきだ。妊娠したら、体内で分泌されるプロゲステロンという女性ホルモンの働きで、がんの増殖を抑えられることが期待できる。

 ポテ子さんは不妊治療を選び、紹介状をもって専門のクリニックを訪ねた。子どもは結婚後しばらくしてからのつもりだったが、ママになるのが楽しみになった。まずは排卵周期に合わせて性交渉を持つタイミング法から始めたが、すぐには妊娠しなかった。子宮体がんの再発を防ぐためにも急いでと体外受精を勧められた。

 「まだ29歳。体外受精なら、きっとすぐに妊娠できるに違いない」。夫も賛成した。2010年7月、受精卵を一つポテ子さんの子宮に移植した。

 …

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら