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 ヨウコさんとメグミさんは内科病棟で働く看護師です。前回は、年末年始の病棟を切り盛りしながらも疲れ気味のヨウコさんに「ハッピーログ」を紹介しました。嫌なことに意識が流れがちなときに、日々の小さな幸せを意識してみる方法です。

 今回は、メグミさんです。子育て中のメグミさんはお正月休みをもらいましたが、何かと多忙で、自分自身はちっとも休まる暇がなかったようです。

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 メグミさんは仕事の休みをもらっていましたが、家の大掃除も十分に終わらないまま両家の実家を訪ねて新年のあいさつ、子どもたちを連れて初詣と大忙し。休む暇もないままに、年明けの仕事に戻っています。

 忙しい業務をこなして疲れて家に帰ると、子どもたちが家中を散らかして遊んでいました。その状況を見て、つい抑えられず「なんでこんなに散らかしているの!」と、子どもたちを怒鳴りつけてしまいました。先に帰宅していた夫に対しても、「私だって仕事をしているのだから、少しは子どもたちの面倒や家事を手伝ってくれてもいいじゃないの」と、勢いで八つ当たりしてしまいました。

 後から言い過ぎてしまったと落ち込むのですが、その場では抑えられませんでした。病院ではつとめて優しく穏やかに振る舞っていますが、その反動なのか家ではこらえられずに、怒鳴ってしまうことがあります。

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 職場では穏やかに振る舞わなくてはと、看護師としての仮面をかぶっていて、その反動で家に帰るとイライラが増幅してしまうのかもしれません。看護師に限らず、職場と家で見せる顔が違うことは、多かれ少なかれ誰にでもあるのではないでしょうか。また、人生のなかのある時期は、仕事も家庭も忙しく、心身ともに休まる時間がないというのも多くの人に共通していることと思います。

 メグミさんが家で子どもや夫に強く当たってしまうのは、家族だけではなく、仕事のストレス、身体的な疲労など、複数の要因が絡み合っての結果と考えられます。感情を爆発させる前に、溜まったストレスをリセットする方法を身に付けていきましょう。

 

 今回は、自分の経験の中で最も幸せだった瞬間、成功体験などを思い起こすことで、気持ちを安らかにするテクニックを紹介します。「ポジティブモーメント」といって、普段から頭のなかでイメージする練習をしておくのです。

 「あの時、旅行に行って楽しかった」と言うようなざっくりしたものでなく、一瞬の場面を鮮明に詳細に思い起こします。

 ・「ウェディングドレスを着てフラワーシャワーを浴びた瞬間」

 ・「生まれたばかりの赤ちゃんを初めて抱いた瞬間」

 ・「子どもが初めて描いた似顔絵を持って、満面の笑みで駆け寄って私に抱きついてきた瞬間」

 ・「試験の合格発表で自分の番号を見つけた瞬間」

 そして、気持ちを落ち着けたいときに、その場面や周りの景色、そのときの感触、暖かさ、匂いなどを思い起こします。その瞬間を呼び戻すのです。

 嫌な気分をリセットしたいとき、あるいは夜寝る前に穏やかな気持ちで眠りたいときなどに活用します。なんの道具もいりません。短時間でイライラモヤモヤを穏やかな気分に、そして前向きな思考に置き換えるのです。

 皆さんにとって、人生最高の瞬間はどんな場面でしょうか。

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 ささいなことが目に付いて、すぐにカッとなって同僚や上司や患者さんたちについ口を出してしまうヨウコさん。これに対して、ついつい相手に合わせてしまい、自分の気持ちを表に出せないメグミさん。2人が、怒りの感情とうまく付き合っていくためのヒントを、一緒に考えていきましょう。 (ヨウコさんとメグミさんは架空の人物です)

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◆編集部から

田辺有理子さんの本が出版されました

 タイトルは「イライラと賢くつきあい活気ある職場をつくる 介護リーダーのためのアンガーマネジメント活用法」(第一法規、2160円)です。(詳しくはアマゾン:https://goo.gl/sxK6md別ウインドウで開きます

 

<アピタル:医療・介護のためのアンガーマネジメント・コラム>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/anger/(アピタル・田辺有理子)

アピタル・田辺有理子

アピタル・田辺有理子(たなべ・ゆりこ) 看護師・保健師・精神保健福祉士

横浜市立大学医学部看護学科講師。大学病院勤務を経て2006年から看護基礎教育に携わる。アンガーマネジメントファシリテーターTMとして、医療・介護・福祉のイライラに対処するためのヒントを紹介する。著書に『イライラとうまく付き合う介護職になる!アンガーマネジメントのすすめ』(中央法規出版)がある。