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 冬は子どもが風邪を引きやすく、「この症状は小児科に行ったほうがいいのか、それとも耳鼻科に行った方がいいのか」と迷うことはありませんか。子どもは鼻水や咳が出ることが多く、中耳炎を繰り返す子もいます。人の体はぜんぶつながっています。子どもが気にしている耳の症状だけでなく、鼻水が垂れていて、発熱もあるようなときには、何が原因か分からないので、小児科、耳鼻科のどちらに行くべきかわからなくなってしまいますね。

 

  耳や鼻、のどの専門医からなる日本耳鼻咽喉科学会のホームページの「耳鼻咽喉科・頭頸部外科が扱う代表的な病気」には、耳鼻咽喉科が対象となる症状や病気について説明があります。http://www.jibika.or.jp/citizens/index.html別ウインドウで開きます

 音が聞こえづらい(聴覚)、においを感じにくい(嗅覚)、味がわからない(味覚)、めまいがする(平衡覚)といった感覚に異常があった場合には、耳鼻咽喉科に行くことを勧めています。

 それ以外にも、アレルギー性鼻炎(鼻水・鼻づまり・くしゃみ)や音声・言語の異常(言葉が話しにくい、声がおかしい)があるときや、耳・鼻・のど・頭頸部(顔から首の上)の感染症や腫瘍のようなできものといった異常があるときも対象になります。「領域や症状」、「病名」からも調べることができます。また、「子どものみみ・はな・のどの病気Q&A http://www.jibika.or.jp/citizens/handbook/index.html別ウインドウで開きます 」というページには、子どもに多い耳鼻科疾患についての情報が載っていますので、参考にしてみてください。

 一般的に、耳鼻科医でないとできないこと、小児科医の方が得意なことにはどんなことがあるのでしょうか。

 耳鼻科でしかやらないことの一つに、アレルギー性鼻炎などで鼻粘膜が腫れているときや、誤嚥(ごえん)したものがのどの奥や気管の中にないかをみるときに、ファイバースコープでみることがあります。鼻やのどの奥の分泌物を吸い取る器具や、腫れを和らげる薬を噴霧する器具などは、耳鼻科の医療機関に備え付けられています。中耳炎の際に鼓膜切開をしたり鼓膜換気チューブを留置したりといった処置をすることも、耳鼻科でしかできません。耳鼻科は外科系 ですから、のどの一番上にある「アデノイド」 が大きいときに手術で取るということもやりますね。他には聴力・平衡覚など感覚器の検査をすることも、小児科にはそういった検査機器がありませんから、耳鼻科に行きましょう。

 逆に、小児科でしかできないことは何でしょうか。採血のとき、子どもが嫌がって暴れてしまうことがあります。そんなときに、動かないように抑えるのは、慣れている看護師などでないと難しいため、血液検査は小児科の方がいいかもしれません。他にも、「ゼイゼイしていて咳もひどい」といったときには、小児科で胸の音を聞いてもらったほうがいいですね。 小児科医は胸やおなかの音を聴いたり(聴診)、直接触ったり(触診)するのも慣れているので 、鼻水や咳の出る感染症などの全身疾患を診てもらう場合にも小児科の方がいいでしょう。例えば、「熱があって咳と鼻水がひどいと思っていたら全身に発疹も出て来た」というときには、小児科は「麻疹かもしれない」と疑います。

 また、離乳食 を食べているような乳幼児と思春期くらいの学童では、同じ子どもといっても指導内容がまったく違います。子どもの成長に関することは小児科医の方が得意です。耳鼻科でもアレルギーなどの際に栄養指導をすることはあると思いますが、子どもの成長に沿った栄養指導はやはり小児科がいいと思います。

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 次に挙げることは、どちらの科でもできる場合が多いので、耳鼻科・小児科どちらに行ってもいいでしょう。耳鏡で鼓膜を診る、耳あかを取る、鼻水を吸う、口や鼻から吸入をする、副鼻腔などのレントゲン写真を撮る、花粉症やアレルギー性鼻炎の薬を処方する、点鼻薬を処方する、抗菌薬や解熱鎮痛薬を処方するといったことです。

 耳鼻科医・小児科医の中でもそれぞれ違いがあります。かかろうとする診療所や病院がどうかは、直接聞いてみたほうがいいでしょう。

 最後に、新生児や乳幼児の「舌小帯」(舌の裏側にあるひだ)の切除について。かつて、日本でも行われることがありましたが、耳鼻科・小児科、どちらの科でも現在、舌小帯を切ることはいいとされていません。舌小帯が短縮したり癒着したりしている子の舌小帯を切開することで、母乳をよく飲めるようになるとか、母親の乳首を強く吸う力 が促進されるということはありません。舌小帯がとても短縮している「舌癒着症」と呼ばれるものでも、そのせいで発育発達の異常や突然死の危険を高めるということもありません。舌小帯が短縮しているために呼吸障害になることはごくまれで、乳幼児突然死症候群(SIDS)との関連もありません(日本小児科学会 舌小帯短縮症に対する手術的治療に関する現状調査とその結果https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=85別ウインドウで開きます )。

 

<アピタル:小児科医ママの大丈夫!子育て>

http://www.asahi.com/apital/column/daijobu/

 (アピタル・森戸やすみ)

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(メタモル出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。