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 妊娠20週前後になると赤ちゃんの胎動をひんぱんに感じるようになり、出産がさらに楽しみになります。そんな時に赤ちゃんの病気が見つかり、無事に生まれてくるかどうかわからないと告げられたら目の前が真っ暗になります。でも、病気によってはお母さんのおなかの中に内視鏡を入れて治療する「胎児治療」を選べます。効果が期待できる一方で、必ず成功するわけではありません。早産のリスクも高まります。困難に直面しながら胎児治療を選択した夫婦の悲喜を紹介します。

双子、検査勧められた

 新年の干支(えと)にちなみ、毛糸のイヌの帽子をかぶった双子の赤ちゃんが、じっと見つめている。

 仙台市の会社員、浦山由梨香(うらやまゆりか)さん(32)は、年賀状に生まれたばかりの三女と四女、瑠香(るか)ちゃんと璃香(りか)ちゃんの写真を載せた。

 写真は昨年12月24日、2人が入院中の宮城県立こども病院(仙台市)で撮った。前日、鼻から入れていた細い管がはずれ、体には一切、管がついていない状態に。抱っこしやすくなった。「やっとお顔もすっきりしたね」。写真を撮りながら、うれしくなった。

 2人は妊娠20週のころ病気がわかり、子宮内で手術を受けた。重い病気を胎児のうちに治す「胎児治療」だ。治療は成功し、妊娠31週の11月6日に無事に生まれた。ただし早産で、瑠香ちゃんが1763グラム、璃香ちゃんが1630グラムだった。2人とも生まれてしばらくは、酸素吸入と栄養補給のために2本の管をつけていた。1月中に退院できる予定だ。

 

 妊娠に気づいたのは5月。上の子ども3人の育児が一段落し、「これからは仕事!」と意気込んでいた矢先の、想定外の出来事だった。会社では新しい仕事を任されたばかりだった。

 「会社に迷惑かける。どうしよう」。子どもを産むかどうか迷いながら、実家近くの病院を受診した。超音波検査をした産科医が告げた。「双子です」

 自宅に帰る車の中で、夫の孝宏(たかひろ)さん(36)が言った。「双子を授かるなんて、結婚して本当によかった」。この一言で、産む決意を固めた。「そうだね。赤ちゃんが私たちを選んで来てくれたんだもんね」

 双子の妊娠や出産はリスクが高いからと、大学病院を紹介された。8月18日、胎児の様子を調べる超音波検査を受けた。「ひょっとすると片方の胎児に血液がたくさん流れてしまう『双胎間(そうたいかん)輸血症候群』かもしれない」。産科医からこう指摘された。

 胎児治療ができる県立こども病院で詳しい検査を受けるよう勧められた。同時に「違ったら戻ってきてここで出産すればいい」とも言われた。「たぶん大丈夫」。その時は、あまり深刻に受け止めなかった。

 

血の流れに偏り 即手術

 双子を妊娠した仙台市在住の会社員、浦山由梨香さん(32)は昨年8月18日、大学病院の妊婦健診で、胎児の片方にばかり血液が流れる「双胎間(そうたいかん)輸血症候群(TTTS)」の疑いを指摘された。

 10日後、夫の孝宏さん(36)と紹介された宮城県立こども病院を受診し、TTTSと診断された。胎盤を共有し、お互いの血管が胎盤上でつながっている双子の胎児で、血液の流れが不均等になってしまう病気だ。血液が流れてきて過剰になる胎児は、全身がむくみ、心臓に負担がかかって心不全になる。血液が流れず過少になる胎児は、発育不全や腎不全になる。何もしなければ2人とも助からない可能性が高い。

 室月淳(むろつきじゅん)・産科長(57)は「急に状態が悪化する恐れがあるので、早く手術した方がいい。明日入院し、あさって手術しましょう」と言った。大学病院の検査でTTTSの疑いを告げられた後も楽観的に考えていたので、「すぐに手術」と聞いて驚いた。

 室月さんは、子宮内の赤ちゃん…

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