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 昔着ていた服が着られなくなった――そんな経験のある中高年の方は少なくないでしょう。中には、「昔と比べて、そんなに不摂生しているわけでも、大幅に体重が増えたわけでもないのに何で?」と不思議に思われている人もいるかもしれません。

 なぜ若い頃の服が入らなくなるのか? その答えはズバリ「体形が変わった」から。

 でも、それはあなたが特別怠けていたからという訳ではありません。加齢とともに体形が変化していくのは自然なことなのです。

 主に「体形」を決めるのは、筋肉と脂肪の分布です。この分布には、もともと性別による差があります。

 下のグラフ(図1)は、男女別の加齢に伴う部位別の脂肪率の平均値をまとめたものです。

 

 男性は、20歳代のころは全身の脂肪率が低く、特に腕は脂肪が少なくがっちりしている様子がうかがえます。ところが30歳代にかけて、全身の各部位の脂肪が増え、特に体幹部の脂肪の増え方が顕著です。また、こちらのグラフからは見てとれませんが、加齢によって、腕や脚の筋肉が落ちていく傾向があります。

 一方、女性の場合は、20歳代のころは腕やウエストがほっそりして脂肪が少なく、腰や太ももにはきちんと脂肪がついています。ところが50歳代にかけて、体幹部や腕の脂肪率が増加していくことが分かります。

 お腹周りの脂肪の変化は、男女ともに顕著です。こちら(図2)のグラフは全身の脂肪を100としたとき、その内の何%の脂肪が体幹部(お腹や背中)についているかを年代別に表したもの。こちらを見る限り、歳をとるとお腹の周りに脂肪がついていることが明らかです。

 

 つまり、歳をとると男女ともお腹に脂肪が付き、男性は「がっちりとしていた腕や足がなんだかぽよっとしてくる」、女性は「華奢(きゃしゃ)だった上半身がぽっちゃりしてくる」ということ。結果、若い頃は男女間で大きく異なっていたからだつきが、だんだん同じようになっていくのです。

 

 加齢とともに体形が変わるのは、仕方のないことですが、できるならいつまでも若々しく見られたいもの。では、若々しく見える体形とは、一体どのようなものなのでしょうか?

 簡単に言えば、加齢による変化を逆に辿(たど)ればよいのです。

 つまり、次のような体形です。

男性は、全身の脂肪率が低いものの、筋肉量が多く細い印象は感じられない体形。特に腕や脚はがっちりとしていて、お腹は脂肪が少なく締まっている。

女性は、肩や腕が華奢で、ウエストがほっそりとしている体形。それでも腰や太ももにはきちんと脂肪がついていて、健康的に見える。

 ここで言いたいのは、ただやせているだけでは、若々しくは見えないということ。単にからだが細いのではなく、メリハリのあるボディーラインが重要なのです。

 

 若々しいボディーラインをつくるには、皮下脂肪の下に眠っている筋肉を鍛えることが効果的です。

 メリハリのあるからだをつくろうとして部分的にやせようとしても、狙った場所の脂肪だけを落とすことは至難の業。その点、筋肉は狙った場所ごとに鍛えることができます。そして、筋肉がつけば、その部分の皮下脂肪が引き上げられ、引き締まって見えます。

 

 男性は四肢の筋肉をしっかりつけるようにします。女性は上半身がすっきり見えるように腕の筋肉を鍛えるのがポイント。

 腕の筋肉をつけるには腕立て伏せ、足の筋肉をつけるにはスクワットなどのエクササイズがおすすめです。また、普段、フロア間の移動にエスカレーターやエレベーターを使っている方は、階段を使うようにするだけでも、脚の筋肉アップが期待できます。

 そして、男女ともに気になるお腹を引き締めるなら、やっぱり腹筋運動が効果的。そこまでやるのはハードルが高いという方は、お腹に力を入れて姿勢をよくするだけでもお腹周りを引き締める効果があるので、取り組んでみてください。しっかりしたエクササイズを行うのに比べると効果は微々たるものですが、何事も継続して行うことが大切です。

 

 若々しいからだを取り戻したいからといって、食事制限だけに頼るダイエットは禁物です。やせ過ぎはかえって歳をとった印象になりますし、健康にもよくありません。食事はしっかりとりながら、運動で筋肉を鍛えて理想的なボディーラインを作ることが重要なのです。

 

 最後に筋肉に関する豆知識を1つご紹介します。

 筋肉には、遅筋と速筋の2種類があり、遅筋は持久力に、速筋は瞬発力に影響する筋肉です。きれいなボディーラインを保つためには遅筋を、ガッチリ大きな筋肉を作りたいなら速筋を鍛えると効果的です。

 遅筋は、あまり筋肉に負担をかけない軽めの筋トレや有酸素運動を行うことで鍛えられます。逆に速筋は、負荷をしっかりかけた筋トレをすることで鍛えられるのです。

 

 加齢による体形変化の特徴や筋肉の性質の違いを知って、目的を明確にした上で筋トレを行うと、目指す体形に近づけそうですね。

 

<アピタル:タニタとつくる健康生活・コラム>

http://www.asahi.com/apital/column/tanita/(アピタル・西澤美幸)

アピタル・西澤美幸

アピタル・西澤美幸(にしざわ・みゆき) 株式会社タニタ・企画開発部主任研究員 栄養士

学生時代よりタニタの体脂肪計開発プロジェクトチームに参加、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの回帰式や判定アルゴリズムを開発した。栄養士の資格を持ち、技術開発研究者と栄養士の二つの視点から健康とからだに関する多数のセミナー講師も担当。