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 人は、じっとしていても、呼吸をしたり、心臓を動かしたりといった生命を維持する活動にエネルギーを使っています。このエネルギー消費のことを「基礎代謝」といいます。基礎代謝は、人間が使うエネルギーの大半を占め、一般的な活動量の人で、1日に消費するカロリー(※)の60~70%にあたるのです。

 さて、太るかやせるかは、とる(摂取)カロリーと使う(消費)カロリーのバランスで決まります。カロリーの摂取量が消費量を超えれば、その分太りますし、逆ならやせます。それ故、たくさんのカロリーを消費する基礎代謝の量が、ダイエットやウェートコントロールに大きな影響を与えるのです。そこで今回のコラムでは、基礎代謝について少し掘り下げてみましょう。

 

 まず知っておいて欲しいのは、基礎代謝は歳をとるとその働きが鈍るということです。

 

 こちらのグラフにある通り、基礎代謝は10代半ばから後半がピーク。そして、その後は年齢とともに低下していきます。これは当然のことで、成長期には、からだを発育させるためにたくさんのエネルギーが消費されるからです。

 また、加齢とともに筋肉が落ちて、基礎代謝が下がっていきます。そのため、歳をとって、若い頃と同じような食生活をしていたら、カロリー過多に陥ってしまいます。これも歳をとって太りやすくなる原因のひとつです。

 

 そもそも人間のからだはそれほど食べなくても大丈夫なようにできています。現在、私たちは飽食と言われる時代に生きていますが、これは人類の長い歴史の中で、非常に珍しい状況です。例えばこれまでおよそ500万年の人類の歴史を1年間に例えると、食べ物に困らない現在の生活を実現したのは今からわずか3分前に該当します。それまで人類はずっと飢えと戦ってきたのです。

 だから人間のからだにとって、エネルギーが余ってしまう今の状況は想定外。うまく対処できないため、血管がつまりやすくなったり、血圧が上がったり、糖代謝がおかしくなったりということが起こるのです。

 

 では、加齢で基礎代謝が低下して余ったエネルギーはどのくらいの脂肪として蓄えられるのでしょうか?

 18歳を基準にすると、この頃と同じ食生活を続けていった場合、単純計算で1年経つごとに男性は0.4kg、女性は0.3kgの脂肪が蓄積されることになります。これを元に、体重の増加分による基礎代謝量の変動を考慮して、計算すると、30歳には男性が4kg、女性が3㎏に、40歳になる頃には男性は7㎏、女性は6㎏もの脂肪がからだについてしまうのです。

 だからと言って、「それなら食べる量を減らそうか」と考えるのは早計です。明らかに食べ過ぎの方はともかく、無理に食べる量を減らしてしまうと健康を害する恐れがあるからです。そこでおすすめしたいのが習慣的な運動を心がけること。

 運動を行う効果は、その分のカロリーが消費できるということだけではありません。運動することで筋肉がつきます。人体を構成する要素の中で基礎代謝が最も高いのが筋肉ですから、筋肉量を増やせば基礎代謝量が上がり、効率よくカロリーが消費されるという訳です。

 なお、基礎代謝を高めるために効果的なのは、太ももや腹筋、背筋などの大きな筋肉を鍛えること。激しいトレーニングだけでなく、軽い筋トレと有酸素運動を交互に繰り返し行うことでも、効果が期待できます。また、運動の後2時間以内に、牛乳を飲むなどしてたんぱく質を摂取すると筋肉がつきやすくなります。

 

 食事の量だけを減らして運動をしないと、筋肉が落ちてしまいます。そうすると基礎代謝も低下するので、カロリーが消費されにくく、リバウンドしやすいからだになるのです。このような理由からも、食事制限だけによるダイエットは避けた方がよいでしょう。

 また、基礎代謝がアップすると血流がよくなり、冷え性の改善や肌の新陳代謝にも好影響を与えます。さらに、からだの免疫力がアップすると話す専門家の方もいらっしゃいます。基礎代謝をアップさせることで、さまざまな健康促進効果が期待できるのです。

 

 ※本来「カロリー」は熱量の単位で、「熱量」や「エネルギー量」が正確な表現です。日常生活では「カロリー」と「エネルギー」がほぼ同じ意味で使用されることも多いため、このコラム連載では、「エネルギー」と書くべきところを「カロリー」と記載することがあります。

 

<アピタル:タニタとつくる健康生活・コラム>

http://www.asahi.com/apital/column/tanita/(アピタル・西澤美幸)

アピタル・西澤美幸

アピタル・西澤美幸(にしざわ・みゆき) 株式会社タニタ・企画開発部主任研究員 栄養士

学生時代よりタニタの体脂肪計開発プロジェクトチームに参加、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの回帰式や判定アルゴリズムを開発した。栄養士の資格を持ち、技術開発研究者と栄養士の二つの視点から健康とからだに関する多数のセミナー講師も担当。