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【まとめて読む】患者を生きる・遺伝性がん

 大阪市の野口麻衣子さん(35)は生後間もなく網膜芽細胞腫になり、右目を失いました。大人になり結婚し、子どもに遺伝子の変異を引き継ぐ可能性がある遺伝性がんだと知りました。心配しながらも長男を出産、順調に育ち不安も薄れたころに、次男が自らと同じ病気であることがわかりました。不安を抱えながら過ごした日々を追いました。

生後間もなく右目にがん、もしかして遺伝性?

 大阪市内に住む会社員野口麻衣子(のぐちまいこ)さん(35)は、生後3カ月の時に右目に「網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)」があると診断された。

 網膜芽細胞腫はカメラのフィルムの役割をしている網膜にできるがんだ。親の遺伝子変異を受け継いだことで発症することも少なくない。大阪大学病院(大阪府吹田市)を受診した時には、すでにがんは相当大きかった。右目を摘出し、義眼を入れた。

 その後左目にもがんが見つかり、抗がん剤治療を受けた。しかし、ものごころがついたときは治療は終わっていた。幼かったので当時のことは覚えていない。

 片方の目だけの生活に違和感はなかった。中学と高校ではバドミントン部に入り、毎日練習した。

 「ほかの子よりもちょっと空振りが多いかな」と感じることもあったが、それ以上気にすることはなかった。成人してからは病院にも行かなくなった。

 子どものころから病院になじんでいたこともあり、医療職につきたいと考えるようになった。大学を卒業後、放射線技師になった。その後、医療機器メーカーに転職し、2012年に29歳で集平(しゅうへい)さん(32)と結婚した。つきあい始めたころに、子どものころにがんになり、自分が義眼でもあることを伝えた。

 集平さんも幼い頃からアトピー性皮膚炎の治療をしていた。集平さんは自分の病気を個性の一つととらえていた。「僕と同じだ。別になんとも思わない」と言った。

 二人は結婚して間もなく、子どもが欲しいと思うようになった。

 麻衣子さんは自分のがんについてインターネットで調べてみた。網膜芽細胞腫には親から遺伝子変異を受け継いでなる場合と、後天的に遺伝子変異が起きてなる場合があると知った。麻衣子さんは子どもが自分と同じ病気になる可能性があると知り、次第に不安になった。

 「遺伝かも、とは聞いていたけれど……。どうしよう」

 麻衣子さんの両親は心配をかけまいと、これまでがんのことは触れずにきた。詳しく知っていた訳でもなかった。麻衣子さんは母親に調べた内容を告げると、母親も驚いた様子だった。

 

子ども産むべきか… 夫の言葉で母になる決心

 生後間もなく網膜芽細胞腫で右目を摘出した、大阪市内に住む会社員野口麻衣子さん(35)は子どもを産むべきかどうかで悩んだ。

 調べると、両眼一緒に発症した場合は遺伝性のがんの可能性が高いとあった。自分の場合は時期がずれて発症しており、親の遺伝子変異を受け継いでいるのかわからなかった。治療を受けた大阪大学病院(大阪府吹田市)にも10年以上通っておらず、相談する医師がいなかった。

 心配する麻衣子さんに、夫集平さん(32)が言った。

 「おまえと一緒にいるとハンデ…

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