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 同じ陸上選手でも、長距離走と短距離走の選手では見た目の印象が異ります。どちらかというと短距離走の選手の方が筋骨隆々で、長距離走の選手は華奢なイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?

拡大する写真・図版図1:短距離選手と長距離選手の筋肉量と筋質の違い

 上の図は短距離走と長距離走の大学生選手の筋肉を比較したものです。左側の筋肉量を示したグラフを見る限り、短距離選手の方が筋肉の量は多いようです。でも、必ずしも短距離選手の筋肉が、長距離選手に比べてより良い状態であるとは言えません。

 ここで注目して欲しいのは、右側の「筋質」を比較したグラフです。筋質とは、筋肉の質(状態)のこと。これを点数化して評価したものが「筋質点数」で、100点に近づくほど質が高いことを表します。こちらのグラフを見ると、筋肉の質は短距離選手も長距離選手も同程度であることが分かります。

 筋肉というと、つい量にばかり注目してしまいがちですが、実は、量だけでなく質も重要だということをご存じでしょうか。

 タニタでは、筋力の衰えや身体機能の低下には、「筋肉量」だけでなく、このような「筋質」も影響すると考え、研究を行ってきました。そのなかで、筋肉の量は同じでも質が低下すると身体機能が落ちること、また、筋肉の質は運動で改善できることが分かってきたので、ここで少しご紹介します。

 

拡大する写真・図版図2:筋肉の断面図イメージ

 筋肉は筋線維(図中の濃い赤部分)が集まってできています。筋線維は、乳幼児のうちは細く、発育とともに太くなり、密になります。「筋質が高い」というのは、筋線維が太く、密度の高い状態のこと。筋肉に筋線維以外のものが少ない状態です。反対に「筋質が低い」とは、密度が低い状態、つまり筋線維が細く、筋肉に脂肪なども多い状態のことをさします。お肉でいえば「赤身肉」は筋質が高い状態、「霜降り肉」は筋質が低い状態と例えるとイメージしていただきやすいでしょうか。

 筋線維は、加齢に伴い細くなったり、数が少なくなったりするという報告もあります。

 

拡大する写真・図版図3:転んだことがあるかないかによる、筋肉量と筋質点数の違い

 上のグラフは筋質と運動機能の関係性の一端を示しています。

 これは60~80歳代の高齢者のうち、転んだことのある方とそうでない方の筋肉量と筋質点数を比較したものです。どちらも筋肉量はそれほど変わらないのに対して、筋質点数は転んだことのある人の方が低いことがわかります。

 つまり転倒するリスクに影響するのは、筋肉の量よりも質であると考えられるのです。そうであるならば、筋質を保つことで転倒のリスクを抑えることができるはずです。

 そして、筋質は筋肉量に比べると運動やトレーニングによる変化が出やすいという特徴があります。例えば、運動習慣のない30代女性が3カ月間筋トレを行った場合、体重も筋肉量もほとんど変化がありませんでしたが、筋質点数はアップしました。

 

 こうした研究をふまえ、タニタでは、からだに周波数の異なる2種類の電流を流すことで、筋肉の密度を計測し、筋質を簡単に点数化する手法を開発しました。この機能を搭載した体組成計を使用して、アスリートのコンディショニングのサポートも行っています。

 筋質という言葉になじみがない方は多いと思いますが、加齢や運動不足による機能低下を防ぐために、「筋質を上げている」という気持ちで運動を行ってみてはいかがでしょうか。

 

<アピタル:タニタとつくる健康生活>

http://www.asahi.com/apital/column/tanita/

 (アピタル・笠原靖弘)

アピタル・笠原靖弘

アピタル・笠原靖弘(かさはら・やすひろ) 株式会社タニタ・企画開発部企画開発課

化学・生理学・電気電子技術などの幅広い分野の専門知識を生かし、腹部脂肪計や皮下脂肪厚計など、これまでにない概念の健康計測機器を開発。からだに負担をかけることなく計測できる機器の開発を担当し、現在は人体の組成や機能に関わる研究を行うチームのリーダーを務めている。