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 ADHDが疑われる「生きるのがつらい女性」、リョウさん(30代前半、独身一人暮らし)は、仕事の計画を立てても、他の仕事が次々に入ってきてしまうと、もうどれを優先していいのかわからなくなります。そのため、仕事が計画通りに進んだことなど、一度もないのです。そうした経験から「どうせ計画なんて立てても意味がない」と考えています。

 今回は、計画倒れにならないための、①仕事の計画の立て方と、②計画通りにこなす方法を紹介します。

 まずは「計画の立て方」を考えます。前回ご紹介した「取引先を訪問するときにバタバタせず忘れ物もなくす方法」は、せいぜい2、3日間のスパンの計画を立てる方法でした。しかし今回は1週間のスパンの計画の立て方を見ていきます。

 ここでは3つの仕事A、B、Cをこなさなければならない、というケースを例に取り上げたいと思います。

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1.スモールステップへ分解: 完成までの細かいステップを作成する。

  仕事A、B、Cをできるだけ細かいステップに分解します。ひとつが5分単位で終わるくらいの細かさだと、「これくらいならできそう!」とおっくうさを減らすことができるだけでなく、ちょっとした隙間時間にも取り組めるようになるので、おすすめです。

2.残り日数の確認: 締め切りを確認して、その日までに使える時間を明らかにする。

  仕事A、B、Cの締め切り日まで、その他の動かせない仕事(会議や出張など)を除くと、あと何時間くらい使えるのでしょうか。時間軸の目盛りが入ったバーティカル形式のスケジュール帳に、固定されたスケジュールを書き出して、どのくらい余白があるのかを確認します。特に、連休や祝日があると、頭の中だけで「ああ、あと1カ月くらいあるから大丈夫」と思っていた期限でも、実際には「実質6時間で仕上げないといけないってことだ!」と気づくことができます。

 この作業は、仕事を頼まれてから実際にとりかかるよりもうんと事前の早い時期に、行っておくことをおすすめします。

3.時間の見積もり: それぞれのステップにかかる所要時間を見積もる。

  各ステップをこなすのに、何分~何時間かかりそうかを見積もります。新しい仕事でこれまでに経験がなく、時間が見積もりにくい仕事Cに関しては、その全体像に目を向けたり、試しに10分やってみてどのくらい進むかを確認したりして、見積もります。

4.スケジュールに落とし込む: それぞれのステップを何月何日何時に実行するかをスケジュール帳に記入する。

 すでに固定されているスケジュールのどの隙間になら。それぞれのステップに書いたやることが入れられそうかをみてみます。「いつかする」ではなく、「いつするか、今決めないと、絶対しない」と心に決めて、スケジュールを立てます。

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写真・図版

 完成するとこんなかんじになります。これまでは仕事Aをしながらも「あ、仕事Bもしなくちゃなあ。仕事Cもちゃんとできるか心配だ」と他に気をとられたり、不安に駆られたりして、目の前の課題に集中しづらい状況が続いていたかもしれません。しかし、最初に計画を立てておけば、安心して取り組むことが出来ます。

 

 とはいえ、そう計画通りにいかないのが、仕事です。

 仕事Aに取り組んでいる最中に、急用が舞い込んできたとしたら、どうなるでしょうか?

 「せっかく計画通りにいっていたのに!邪魔された!」という思いが強くなるでしょう。人によっては、

 「計画通りに完璧にいかないのなら、もうやめてしまいたい!だから計画なんて立てないのよ!」と考えるかもしれません。

 また、急用を優先させてそれをしている間に、関係のない他の仕事まで始めてしまい、「いったい今日は何をする日だったのだろう?」と完全に元の計画に戻れなくなってしまう人もいます。

 

 仕事を「計画通りこなす方法」としておすすめなのが「付箋(ふせん)作戦」です。付箋を使うことで、計画変更をスムーズに行うことができます。

 具体的には、下の写真のように、今日こなす仕事を付箋に書いてあらかじめ手帳に貼っておきます。

 

写真・図版

 ここに急用が入ってきたら、他の付箋を下にずらして、「急用!」と書いた付箋をはさみこみます。その上で、スケジュール帳に記入してあった計画を修正します。

 

写真・図版

写真・図版

 こんなふうにその都度修正していけば、計画倒れを防ぐことができます。

 いかがでしょうか?

 付箋作戦のもうひとつ便利なところは、仕事を終えた分の付箋を横に移動させていくことによって、「今日はこれだけやれた!」という達成感を目で見て味わうこともできるところです。

 ぜひともお試しください。

 

<アピタル:上手に悩むとラクになる・生きるのがつらい女性のADHD>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/nayamu/(アピタル・中島美鈴)

アピタル・中島美鈴

アピタル・中島美鈴(なかしま・みすず) 臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。