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 耳鼻科に子どもを連れて行くと、「耳の中が汚い」と怒られることがある、とパパであるアピタルの担当編集さんが教えてくれました。一方、「家で耳掃除なんかしなくていいんだ」と言われたということも聞いたことがありませんか?子どもの耳の中の掃除はいったい、どうしたらいいのでしょう。

 

 日本耳鼻咽喉科学会のホームページに「子どものみみ・はな・のどの病気Q&A」というページがあります。それによると、耳の穴の中の見える範囲のものを無理なくとってあげるといい、と書いてありますhttp://www.jibika.or.jp/citizens/handbook/mimi2.html別ウインドウで開きます (ただし、耳掃除中に誰かがぶつかったり、歩きながらやったりすると鼓膜のケガにつながることがあるので注意)。

 通常は、ここにも書いてあるように、ふだんの生活のなかで体を動かしていると、耳あかは内側から外側に移動してくるので、頻繁に掃除をする必要はありません。お風呂の後に綿棒で水滴を取るくらいで十分です。耳かきや綿棒でも外耳道、つまり耳の穴を強くこすると、赤くなってかゆみが出たり傷ついたりすることがあります。

 

 ときどきびっくりするくらい耳あかがたまっている子がいます。慢性疾患があって体を動かすことが少ないと、耳あかが出にくいため、徐々にたまり、耳鼻科の先生に耳あかを柔らかくする処置をしてから取ってもらうことがあります。また、まったく健康な子でも詰まってしまうこともあります。

先日、私のクリニックの職員のお子さんが来ました。中学生の元気な男の子ですが、耳の穴の形に固まっている耳あかがごっそり取れたので驚きました。自分で綿棒をときどき使っていたとのことですが、おそらく耳あかを押し込むような感じになっていたんだと思います。「そういえばときどき、耳がキーンと詰まる感じのすることがあった」と言っていました。耳の穴が完全に閉じてしまうと異物感や閉塞感を感じ、聞こえが悪くなります。

 

 耳あかは、耳の穴の中にある耳垢(じこう)腺、皮脂腺、汗腺からの分泌物と古くなった皮膚、ほこりなどが混ざってできます。耳垢腺があるのは外耳道の外側三分の一なので、本来掃除が必要なのはその部分だけです。

 耳あかは二つに分類でき、「乾性耳垢(かんせいじこうhard cerumen:カサカサ耳、コナ耳)」と「湿性耳垢(しっせいじこうsoft cerumen:ネバネバ耳、アメ耳)」があり、日本人はカサカサした「コナ耳」が75%をしめます。4人に1人のアメ耳の場合、ときどき耳掃除をしないと耳の穴が完全に詰まってしまうことがあります。週に1回程度、綿棒で優しく取りましょう。あまりにベタベタの場合、中耳炎のときに出る耳漏(じろう)と間違えて耳鼻科にかかる子がいるようですが、耳あかは病気ではありません。

 また、コナ耳でもさきほどの男の子のように耳の穴を塞(ふさ)ぐくらいたまることがあり、プールに入った際に水でそれがふやけ膨らみます。「耳垢塞栓(じこうそくせん)」と言います。「プールの授業の後から聞こえなくなった」という場合は、耳垢塞栓が原因かもしれません。

写真・図版

 

 家庭でのケアですが、アメ耳の場合は1週間に1回程度綿棒で耳の穴を優しくぬぐってあげましょう。コナ耳の場合は水滴を優しく取る程度で大丈夫です。大人用の耳かきが入るくらい大きくなったらそれで取ってあげてもいいですが、強い力で耳の穴を傷つけないように注意してください。

 

 子どもはじっとしていないし、家庭で取るのは難しいという場合は耳鼻科や、小児科でも耳あかを取る道具の「耳垢鉗子(じこうかんし)」を持っているので取ってもらえます。子どもの発熱の原因がわからない場合は、尿路感染症か中耳炎を疑うので耳鏡や耳垢鉗子を持っている小児科も多いのです。そのため、冒頭の「子どもの耳の中が汚い」と怒る医師は、そんなことで怒る必要はないのにというのが私の考えです。感情的になるよりは、家でどうしたらいいのか教えてほしいですね。耳掃除はするけれどよく見たことはなかったという人は、懐中電灯などを使って一度のぞいて見てください。塞がるくらい耳あかが詰まっていたら、耳鼻科か小児科に行ってみましょう。

 (アピタル・森戸やすみ)

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。