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【まとめて読む】患者を生きる・熊本地震

 熊本県合志市の永田鈴代さん(40)は出産を1カ月後にひかえ、熊本地震で被災した。自宅アパートは家具などが倒れ、家族5人で自家用車の中で寝泊まりした。軽度の妊娠高血圧症候群だったが、地震のどさくさでのんでいた薬をなくしてしまった。エコノミークラス症候群のリスクもあった。無事お産できるのか。不安を抱えながら避難生活を送っていた。

出産まで1カ月、夜中の大地震で車中泊に

 2016年4月14日午後9時26分、熊本県を激しい揺れが襲った。合志市の主婦永田鈴代(ながたすずよ)さん(40)は家族で夕食を済ませ、台所でデザートのオレンジを切っていたところだった。自宅のアパートは大きく揺れた。

 鈴代さんは出産を1カ月後にひかえていた。とっさに「おなかの赤ちゃんを守らなければいけない」と思った。驚いている夫寛之(ひろゆき)さん(40)をせき立て、ベビーベッドにいた長女(3)を抱き上げ、長男(18)と次男(16)にも声をかけて、家の外に家族全員で飛び出した。

 ところが、外は思いのほか静まりかえっていた。永田さんの家族以外だれもいなかった。「赤ちゃんのことを思うあまり、怖がりすぎたのか」と少し安心し、アパートの部屋に戻った。

 だが、それでは済まなかった。16日午前1時25分、熊本県でふたたび大きな地震が起きた。眠りについていた永田さん一家は前よりも激しい揺れで跳び起き、家を飛び出した。地鳴りが響き、今度は多くの人が外に出ていた。

 アパートの倒壊は免れたが、断続的に揺れが続いた。家具は倒れ、長女は泣きやまず、鈴代さんも恐ろしくてアパートに戻ることもできない。家族そろって駐車場に止めてあった自家用車のワンボックスカーで一夜を過ごした。

 夜が明けても、揺れがおさまる気配がなかった。建物がつぶれるのではないかと思うと怖くて家に入ることができなかった。妊婦健診で通っていた市内のクリニックに行くと、避難してきた人にトイレを開放していた。駐車場に自家用車を止め、家族で寝泊まりすることにした。

 スーパーマーケットやコンビニエンスストアも閉まったままだった。「おなかの赤ちゃんのためにも何か食べなきゃ」。寛之さんは自宅からカセットコンロや鍋、米を持ち出し、ごはんを炊いた。鈴代さんは建物に入るのが怖く、トイレに行く時は次男についてきてもらった。

 そんな避難生活も3日目を迎えた。鈴代さんをこれ以上車中泊させるわけにはいかなかった。寛之さんは佐賀市の知人宅に家族で身を寄せることにした。

 

 

車中泊後の出産、高まる3つのリスク

 熊本県合志市の主婦永田鈴代さん(40)は2016年4月、出産を1カ月後に控え熊本地震で被災した。3日間車中泊した後に、佐賀市内の知人宅に家族5人で身を寄せた。久しぶりに湯船につかり、足を伸ばして布団で眠った。

 そこで4日間過ごした。だが、出産予定日が5月11日に迫っていた。産婦人科を受診しなければならなかった。出産する予定の熊本大病院(熊本市)を受診するために、自宅のアパートに戻ることにした。

 自宅に戻ったものの、やはり怖くてなかなか家に入ることができなかった。鈴代さんには「玄関のドアが魔界の入り口のように見えた」という。

 佐賀の知人宅から戻った4月2…

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