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 子どもがゼイゼイしていると「これはぜんそく?ずっと続く病気では?」と心配になることがありますね。ぜんそく(気管支喘息)はどういう病気でしょうか?

 その前に、似ているけれど、ぜんそくではないというものがいくつかあるので知っておいてください。1歳までを乳児と呼びますが、この乳児期には体の空気の通り道である気道が軟らかく、構造的にも大人より小さいので、ちょっとした風邪をひいただけでもヒューヒュー、ゼイゼイといった音がすることがあります。授乳の後だったり、鼻水が出ているときだったりすると気道に母乳やミルク、鼻水や痰などの分泌物など、なにかがあって、それが咳でうまく出せないとゼイゼイしやすいのです。

 そういったものがなにもなくても、気道が狭いために音がすることもあります。小さいうちは、風邪などの感染症にかかりやすいので、しょっちゅうゼイゼイして心配されることがありますが、成長して鼻やのど、気管支が大きくしっかりしてくるとそういったことはなくなります。

 もう少し成長してから、突然出てくるゼイゼイは、もしかしたら気道異物かもしれません。小さいものを指でつまめるようになり、お子さんが口に入れてしまったものが、食道の方でなく気道に入ると、その異物の大きさによっては窒息の危険があります。詰まってしまうほどではないけれど、異物があるままだと、やはりヒューヒュー、ゼイゼイと音がすることがあります。レントゲン写真や内視鏡で診断がつきますから、急いで医療機関に行きましょう。

 他にぜんそくと見分ける必要があるのは、生まれた時からの気管軟化症などの先天異常や発達異常に伴うゼイゼイ、犬の鳴き声のような咳が出るクループや、細気管支炎などの感染に伴うもの、胃食道逆流症、心因性咳嗽(がいそう)などがあります。

 

 日本小児アレルギー学会の作った小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017 http://www.jspaci.jp/modules/journal/index.php?content_id=13別ウインドウで開きます によると、気管支喘息の定義は、「発作性に起こる気道狭窄によって、喘鳴や咳嗽、呼気延長、呼吸困難を繰り返す疾患」となっています。気管支喘息を持つ子たちは、ずっと続いている気道の炎症がベースにあり、ぜんそく発作を起こす要因(アレルゲン、気候、感染、運動、タバコの煙、心理要因、大気汚染)が加わると、気管支にある平滑筋が収縮して狭くなります。それに加えて気道粘膜の浮腫(むくみ)が起こり、痰などの気道分泌物が出て来て苦しくなります。気道のベースに炎症がある理由は、アレルギー体質である「アトピー型」であることが9割、原因のわからないものが1割です。そのため、家族にアレルギーを持つ人がいるかどうかなどを詳しく聞く必要があります。

 

 ぜんそく発作は軽いものなら様子を見るだけで良くなることもありますが、通常は治療で良くなります。しかし、悪くなったり良くなったりという発作を繰り返すことによって気道が狭くなったまま戻らなくなる「リモデリング」ということが起こるので、発作のない状態を保つことがとても大事です。

 ぜんそく発作が起こったとき、強いぜんそく発作のサインがあればすぐに医療機関に行って気管支を広げる薬を吸入します。サインは唇や爪の色が白、青、紫になった、胸が息を吸うときにベコベコ凹む、苦しくて話せない、歩けない、横になれない、眠れないといったものです。そこまでではないけれど、ゼイゼイしているときには、小児科でもらっている気管支を広げる薬を吸入したり、飲んだりします。その後もよくならないようなら医療機関にかかりましょう。

 発作がないときにも予防的な治療を行います。ロイコトリエン拮抗薬(商品名:オノン、シングレアなど)やクロモグリク酸ナトリウム(商品名:インタールなど)、吸入ステロイド薬(商品名:フルタイド、パルミコートなど)、テオフィリン徐放製剤(商品名:テオドール、スロービットなど)などを使うことがガイドラインで決まっています。何を使うか、いつまで続けるかは主治医に診てもらいながら決まります。

 ぜんそくは繰り返す発作があるので、安静にしなくてはいけなかったり、登園・登校ができなかったりします。発作が起こった時だけ治療するのではなく、普段から患者さんや家族に知識を持ってもらい予防することがとても大事。なるべく、子どもとしての普通の生活を送れるようにしましょう。

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◆編集部から

森戸やすみさんと、産婦人科医の宋美玄さんによるトークショーが、4月1日に東京・池袋の三省堂書店池袋本店で開かれます。

あやしい情報に惑わされず、正しい情報にたどりつくにはどうしたらいいのか。みなさんの疑問にお答えします。

「『専門家ママ・パパの本』復刊記念トークショー 妊娠・出産・子育て情報の選び方」

【日時】2018年4月1日 

第1回14:00~(開場13:45)

第2回15:30~(開場15:15)

【場所】三省堂書店池袋本店 書籍館4階 イベントスペース「Reading Together」

参加方法など詳細は、下記URLをご覧下さい。

http://ikebukuro.books-sanseido.co.jp/events/3162別ウインドウで開きます

(アピタル・森戸やすみ)

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。