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 「健康食品」と聞いて、皆さん、どのようなものを思い浮かべますか?なんとなく健康に良さそうなものと考えている人もいれば、派手な広告ばかりで、「なんとなくインチキくさい」と考える人もいるかもしれません。私自身、患者さんから「健康食品って本当に効くんですか?」「健康食品を使っても今の治療に影響はないですか?」などと質問を受けることもあります。そもそも「健康食品の定義」はどのようなものでしょうか?パッと答えられる人は少ないでしょう。

 今回から始まる新シリーズの「健康食品、どう向き合う?」では、「健康食品」をめぐる制度や問題点、つきあい方について考えていきたいと思います。初回は、「健康食品」に限らず、「食品」をめぐる定義について、改めて整理してみたいと思います。

 

◯×クイズ:法律上、健康食品の定義はある?
(※答えは、本文中にあります)

 

▼医薬品・医薬部外品をのぞけば、人の口に入るもの全ては「食品」である

▼機能性が表示できる食品と表示できない食品がある

▼機能性が表示できるのは、保健機能食品(トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品)しかない

 

 膝(ひざ)の調子が悪いのでグルコサミン、肌のハリが気になったのでヒアルロン酸、目の疲れにブルーベリー、お酒の飲み過ぎにウコン、お腹周りの脂肪が気になるのでウーロン茶…。    

 体の不調を調えたり、健康を維持したりするために健康食品を使ったことがある人は多いのではないでしょうか。

 すこし古いデータですが、2012年に内閣府消費者委員会が実施した3万人を対象とした大規模アンケート調査によると、75%の人が健康食品の利用経験者(ほとんど毎日利用:26.2%、たまに利用:32.3%、以前利用:16.5%)であることが明らかとなっています(※1)。

 しかし、「健康食品」といっても、日本国内で流通しているものには様々な種類があります。効き目や有効性についてちゃんとした裏付け(臨床試験などによる科学的根拠)があるのか、そもそも食品として安全性は確認されているのか、気になるところですが、パッケージを見ただけではわかりにくいことも多いのではないでしょうか。

 

健康食品の定義とは?

 

 そこで、「健康食品」の定義について考えてみたいと思いますが、その前に「食品」とは、何なんでしょか。

 実は、健康食品も含めて食品全般について、「この条件を満たすものが食品である」と定義するような説明を明確にしている法律はありません。食品を説明する際に、よく参考にされる法律として食品衛生法第四条があります。そこには、以下のように記載されています。

 

食品衛生法第四条
この法律で食品とは、全ての飲食物をいう。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品は、これを含まない。

 「全ての飲食物」つまり、「人の口に入るもので、医薬品・医薬部外品以外は全部『食品』である」ということになります。なんとも大雑把な定義です。

 

 健康食品についても、実は「健康食品」というものを厳密に定義している法律はありません。ですから、クイズの答えは「×」になります。

クイズの答え:健康食品の法律上の定義はない

 ただ、「食品」を「機能性」の表示ができるかどうか、によって分類することはできます。

 「特定保健用食品(トクホ)」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。また、2015年からスタートした新しい制度の「機能性表示食品」についても聞いたことがある人もいるかもしれません。これらは国の制度によって「機能性」を表示できる食品です。

 一方、「栄養補助食品」「サプリメント」などさまざまな呼び名で販売されている食品もあります。これらは、錠剤やカプセルの形状をしていても、分類上は「一般食品」となり、機能性の表示ができない食品となります。こうした機能性を表示できない食品をいわゆる「健康食品」と呼ぶことが多いのではないでしょうか。

 ここまでの説明で、既に頭が混乱してしまったかもしれません。

 

食品の「機能性」って何?

 消費者庁の資料をもとにした下の図を見てみて下さい。

 

 

 図の中に「※機能性の表示ができない」「※機能性の表示ができる」との記載があります。

 この機能性とは、言い換えると「効き目」「有効性」ということになります。

(※似たような表現で「効果・効能」という言葉がありますが、一般的には医薬品に用いられる用語なので、混乱を避けるため、この連載ではなるべく使わないようにしています)

 

 この「機能性」について、覚えておいて欲しいことが2つあります。

◎機能性が表示できるのは保健機能食品のみである

 「保健機能食品」とは、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」が該当します。つまり、この保健機能食品以外の食品で、機能性を表示している製品があった場合、それはルール違反をしていることを意味しています。

 

◎食品で医薬品的な効果効能は表示できない

 健康食品を含む食品全般に当てはまることですが、病気の予防や治療を目的とする表現は認められていません(※一部の特定保健用食品には疾病リスク低減表示が認められています)。つまり、「がんに効く」「高血圧の治療に」「動脈硬化を防ぐ」「老化防止」などといった表示がされている製品があった場合、それはルール違反をしていることになります。

 

 消費者の立場になれば、法律を守らずルール違反もいとわないような姿勢の企業から商品を買おうと思わないはずです。ですが、消費者が、その法律やルールを知らなければ、うっかりだまされてしまうことがあるのも事実です。

 

だまされない「賢い」消費者になるためには、私たちにどのようなことができるのでしょうか。身近でありながら、意外と知られていない健康食品の世界。新シリーズ「健康食品、どう向き合う?」では、国の制度や具体的な事例を見ながら、健康食品に関する情報の見極め方、健康食品にどう向き合うかについて考えてみたいと思います。

 

【参考資料】

※1)内閣府消費者委員会:消費者の「健康食品」の利用に関する実態調査(アンケート調査)[2012年5月]http://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2012/houkoku/201205_report.html別ウインドウで開きます

 

<アピタル:これって効きますか?・健康食品、どう向き合う?>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/kiku

 (アピタル・大野智)

アピタル・大野智

アピタル・大野智(おおの・さとし) 島根大学・教授

島根大学医学部附属病院臨床研究センター・教授。1971年浜松市生まれ。98年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒。同大学第二外科(消化器外科)入局。補完代替医療や健康食品に詳しく、厚生労働省「『統合医療』情報発信サイト」の作成に取り組むほか、内閣府消費者委員会専門委員(特定保健用食品の審査)も務める。