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【まとめて読む】患者を生きる・透析しながら

 腎臓が働かないために血液透析をしている患者さんは、自力では老廃物を排出できないだけでなく、貧血になったり、生殖機能が落ちたりします。このため、妊娠して出産するにはたくさんのハードルを乗り越える必要があります。難病のために10代で血液透析を始めた女性(38)が、家族の支えを受け、2人の子どもを授かって子育てに向き合う姿を取材しました。

透析患者は妊娠も出産も「無理」?

 東京都内に住む会社員女性(38)は妊娠33週だった14日、突然陣痛が来た。医師と相談して計画していた出産日よりも4週間、早かった。逆子の状態だったので、帝王切開で第2子となる長男を産んだ。体重が1600グラムと小さく、すぐに東京女子医大病院(東京都新宿区)の新生児集中治療室(NICU)に入った。

 出産翌日、長男の様子をNICUに見に行くと、呼吸を補助する管などがたくさんつけられていた。でも悲観はしていない。「結婚直後、医師に『透析患者は妊娠も出産も無理』と言われた。あの時の衝撃を思えば、2人の子どもに恵まれた今、どんなことがあっても何とかなる。そう思えます」

 

 女性は14歳の時、免疫をつかさどるたんぱく質が腎臓にたまる難病「IgA腎症」と診断された。19歳で腎臓が機能しなくなり、血液透析を始めた。

 透析は週3回、毎回4時間近くかかった。透析直後には血圧が下がってフラフラになり、外出もままならなかった。女性は2001年、母親から提供された腎臓の移植手術を受けた。

 透析から解放され、希望していた美術大学に進学した。卒業後はデザイナーとして音響機器メーカーに就職。充実した日々を送っていたが、移植から約10年後、腎臓の働きを示す値が徐々に悪くなっていった。体内に水分や尿毒素がたまって顔や体がむくみ、疲れやすくなった。

 11年8月、とうとう限界に達した。息苦しさに耐えられなくなり、東京都内の大学病院に駆け込んだ。慢性拒絶反応が原因で腎臓は機能していなかった。「残念ですが、透析を再開するしかありません」と医師に言われた。

 そのころ、職場で出会った今の夫(32)とつきあっていた。それまで自分の病気については話したことはなかった。女性は透析を再開したことと、今後一生透析をしないと生きていけないと伝えた。「こんな体では負担をかけるだけだから、別れましょう」

 夫は「別れたくない」と言った。まもなく2人は一緒に暮らし始めた。14年4月、「そろそろ子どもが欲しいね」と結婚。女性は34歳になっていた。

 

腎不全、でも思いがけず妊娠

 腎臓の難病を患う東京都在住の会社員女性(38)は移植した腎臓が働かなくなり、2011年8月に血液透析を再開した。

 職場で知り合った夫(32)と3年ほど同居した後、「そろそろ子どもが欲しいね」と話し合い、14年4月に結婚した。結婚してすぐに透析を受けている新丸子田中内科クリニック(川崎市中原区)を訪れた。主治医の鎌田一寿(かまたかずひさ)医師(47)に「透析患者が妊娠して大丈夫でしょうか」と尋ねた。

 クリニックで透析を受けている患者は60歳以上が多く、妊娠出産した透析患者を鎌田さんは診たことがなかった。鎌田さんは総合病院や大学病院の医師に相談した。「透析しながらの妊娠は母体にも胎児にもよくないので勧められない」という意見が多かった。

 女性は「どうしても子どもが欲しい」と言った。鎌田さんは「もっと詳しい先生の意見を聞いてみたら」と、透析患者の妊娠出産に国内で最も多くかかわっている東京女子医大病院(東京都新宿区)の腎臓内科を紹介した。女性は夫と2人で話を聞きに行った。

 東京女子医大病院の内田啓子(…

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