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 皆さんは「スーパー食育スクール」事業という取り組みをご存じでしょうか?

 これは文部科学省から委託された学校が、企業や専門家などと連携して「食育」の推進を図る取り組みのことです。タニタも「スーパー食育スクール」事業の連携事業者として、いくつかの学校の食育活動の支援を行ってきました。

 そこで、今回は私が携わった熊本県の小学校のケースを例に、「食育」が子どもたちにどのような影響を与えるのかについて、紹介していきたいと思います。

 

 この小学校では全学年約400人の児童を対象に、平成27・28年に「スーパー食育スクール」事業に取り組みました。栄養教諭をコーディネーターとして位置づけ、「食から健やかな心とからだを見つめ直す」ことをテーマにさまざまな取り組みを実施。その中で、①子どもたちに家庭で朝食を食べてきたかを毎日チェック表に記入してもらう、②子どもたちに活動量計を持ってもらい、学校での歩数を毎日チェック表に記入してもらう、ということに取り組みました。

 また、活動量や体組成のチェックを定期的に行って、食習慣と運動習慣、からだに関する課題や変容を「見える化」しました。そして、これらの数値をもとに、各個人で活動量の目標を立てて、取り組み、振り返るということも行いました。

 

 このような取り組みを2年間続けたところ、多くの児童の食生活や健康状態にさまざまな変化が現れました。

 まず、朝食を食べないことが習慣化している児童が減少したり、朝食に3品目以上食べている児童の割合が大幅に上昇したりする成果がありました。

 

 また、不定愁訴を訴える児童が減少しました。取り組み前には、アンケートで「イライラすることがよくある」と答えていた児童は全体の26%でしたが、取り組み後には11%に減少。逆に「イライラすることがない」という児童は33%から58%に増加したのです。

 さらに、前年度は全学年で男女ともに全国平均を下回っていた「新体力テスト」の総合評価で、全国平均を上回る学年が増加。特に4~6年生は男女ともに全国標準を大きく下回る評価が皆無となり、女子においては全国平均を上回る評価となりました 。

 その他にも、肥満傾向(肥満度20%以上)にある児童が減少するなどの効果がありました。

 このプロジェクトでは、活動量などの「見える化」と合わせて、全校児童と職員が昼休みに外でランニングをする時間を設けるなど、積極的にからだを動かすことにも取り組みました。こうした取り組みも、成果につながったのだと考えられます。

 

 そしてもう一つ、食育の成果……とまでは明言できませんが、それまで全国平均を下回っていた「全国学力・学習状況調査」で全国平均を上回るという変化も見られました。

 このような取り組みは、子どもの心やからだに変化をもたらすだけではなく、保護者の意識も変えるという効果もありました。保護者の中には、「家族全体の生活習慣も改善された」と語る方もいらっしゃいました。

 

 「食育」というと、まず「食」に関することをイメージする方が多いと思います。けれども、食育の目的は、心とからだの健康を維持し、生き生きと暮らすための「食べる力」=「生きる力」を育むこと。つまり、「食育」とは食に関係することだけではなく、生活習慣全体を見直すものだと言えます。

 考えてみれば当たり前のことで、おいしくごはんを食べるためには健康であることが大前提。そのためには、しっかりからだを動かして、しっかり眠るという健全な生活が必要なのは言うまでもありません。

 

 学校での取り組みにかかわらず、ご家庭でできる「食育」もあります。

 例えば、きちんと朝食を食べているか? 主食・主菜・副菜とバランスよく食べられたか? をカレンダーにチェックするだけでもOKです。ポイントは、「見える化」や「数値化」をすることです。ダイエットのときに、体組成や活動量をはかって数値で見るのと同じですね。食事を「見える化」することで、食事に対する気づきが生まれて食に対する意識が変われば、日々の食生活も少しずつ変わってくるでしょう。

 「食育」といっても大げさに考える必要はないのです。早速、できることからはじめてみませんか?

 

<アピタル:タニタとつくる健康生活・コラム>

http://www.asahi.com/apital/column/tanita/(アピタル・深山知子)

アピタル・深山知子

アピタル・深山知子(みやま・ともこ) 株式会社タニタ・企画開発部企画開発課 介護福祉士

からだの部位ごとの脂肪や筋肉をはかれる8電極体組成計の開発を担当。その後、子ども用活動量計や体脂肪判定、妊婦用体脂肪計など子どもと女性を中心とした研究に従事。その他、体組成計に乗るだけで誰が計測しているかを自動で判別する「乗るピタ機能」を開発した。近年は高齢者を対象とした研究開発に取り組んでいる。