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【まとめて読む】患者を生きる・産後うつ

 望んだはずの妊娠、順調な出産。優しい夫とかわいい盛りの子どもに囲まれ、幸せなはずなのに、なぜかイライラが止まらない――。大阪府八尾市の看護師大井愛美さん(35)は、次男を出産した1カ月後ごろから、自分で自分をコントロールできない異常な感じに悩まされるようになりました。悩んだ末に行った病院で「典型的な産後うつ」と診断され、薬による治療でようやく自分が病気だったことを自覚。自分と向き合う日々が始まりました。

寝てくれない長男にイライラ 育休中にきた心の異変

 「これは明らかにおかしい」

 大阪府八尾市の看護師大井愛美(おおいあみ)さん(35)は、自分の心の異変をはっきりと自覚した。次男(8)の出産から1カ月が過ぎた2010年2月のことだった。

 育休中だったため、自宅でずっと当時2歳だった長男(10)と向き合っていた。まだまだ手が掛かる時期だということは頭ではわかっていた。でも、ご飯を食べてくれず、寝る時間になっても寝てくれない。そんな息子を見ていると、まるで針が振り切れたようにイライラが募った。

 異変はその2年前、長男を出産した時にも起きた。ちょうど産後1カ月ごろ、実家に帰って泊まっていたとき、夜中に長男のおむつを替えた。たまたま通りかかった実父がつぶやいた。

 「またおむつを替えているのか」

 「私がいけないっていうの!」

 激しい口調で食ってかかった。父に他意がないのは頭ではわかっていた。しかし、どうしても抑えきれなかった。涙があふれ、止まらなくなった。

 その時は、それで済んだ。育児の忙しさの中で、気持ちの乱れは落ち着いていった。だが、次男を産んだ今回は、自分をコントロールできない異常な感じが、日に日にひどくなっていった。

 

 1カ月後、とうとう長男と目を合わせられなくなり、一緒にいるのが苦痛になった。夫(36)が帰宅すると2人の子どもを押しつけるように預けて、自転車であてもなく出かけた。とにかく独りになりたかった。

 何事もきちんとやらなければ気が済まない「完璧主義」。自分の性格は、何となく理解していた。産休と育休で仕事をしていない間は、せめて家事はこなさなければいけない。なのに、長男のしつけすら満足にできない。そんな自分が嫌になった。

 ふと不安になった。これは病院に行くべきではないか。そう思う一方で、踏み切れない理由もあった。長男と同じように、次男も母乳で育てたい。診療を受ければ、薬をのむことになり、母乳で育てられなくなるかも――。気になって、病院に足が向かなかった。

 

薬を飲むと母乳が…… でも心は限界だった

 大阪府八尾市の看護師大井愛美さん(35)は、2010年1月に次男(8)を出産した。その1カ月後くらいから、ささいなことでイライラするなど心の異変を感じるようになった。病院に行くことも考えたが、薬をのむと母乳をあげられなくなるかも知れず、受診をためらった。

 望んだ妊娠で、大きなトラブルもなく次男を出産。家事や育児に協力的な夫(36)と当時2歳だったかわいい盛りの長男(10)に囲まれて暮らす毎日。なぜこんなイライラし、涙があふれてしまうのか。まったくわからず、焦る気持ちばかりが強くなった。

 4月になると、日常生活にも影響が出始めた。ぼんやりとしていて、家事に今までの何倍も時間が掛かるようになった。

 「さすがに限界だ…

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