[PR]

 突然ですが6月5日は何の日かご存じですか?

 正解は「ロコモ予防の日」です。

 ロコモとは、ロコモティブシンドロームの略で、筋肉や骨、関節などに機能低下や障害が起こり、移動が困難になる状態のこと。骨折や病気、筋力の衰えなど、ロコモになる原因はさまざまですが、中でも「サルコペニア」と呼ばれる加齢による筋肉の減少と筋力の低下に起因するロコモは、比較的予防が容易だと言われています。

 介護予防というと高齢の方のイメージが強く、若い方の中には「自分には関係ない」と考える方もいらっしゃるかも知れません。でも、サルコペニアの予防は、全身の筋肉量が減少し始める40歳前後から取り組むのがおすすめです。自覚はないかもしれませんが、実は脚の筋肉は20歳をピークに減少が始まっています。早い時期から対策に取り組むことが筋肉量の維持につながり、後々の介護予防に好影響を与えるのです。

 さらに介護予防に関して、特に気を付けたいのが筋力です。

 

 上のグラフは、イスから立ちあがる動作を通して、平均65歳の女性50名弱の方々の脚の筋力をはかった結果をまとめたものです。日本整形外科学会の判定法でロコモ度1(移動機能の低下が始まっている状態)に該当する人と、ロコモ度2(移動機能の低下が進行している状態)の人、いずれにも該当しない人の結果を比べています。

 筋力はパワーとスピードという指標によって表されますが、このグラフにあるように、ロコモの人はどちらの指標もロコモではない人に比べると低くなっています。このことから、筋力を保持することが、ロコモの予防に大切なポイントと言えそうです。

 

 ちなみに、筋肉には遅筋と速筋があります。遅筋は持久力に、速筋は瞬発力に影響する筋肉です(遅筋と速筋の説明は「やせていれば美しい? 『若々しい』体形とは」http://www.asahi.com/articles/SDI201801161239.htmlを参照)。速筋は遅筋に比べると、加齢によって衰えやすいため、40歳代には速筋を維持する運動を意識して行いたいものです。

 

 では筋肉を鍛えるためにはどうしたらよいでしょうか。

 実は特別なことをする必要はありません。運動習慣を持てばよいのです。ウォーキングやジョギングなどを続けるのが難しければ、例えば駅やフロア移動にエレベーターではなく階段を使ったり、通勤途中に歩く距離を増やしたりするなど、生活の中で工夫して運動量を増やすだけでも効果は期待できます。

 また、加齢によって衰えやすい速筋を鍛えるには、筋肉に負荷をかける必要がありますので、ウォーキングを行うにしても、途中で早歩きをしたり、大またで歩いたりするようにしましょう。

 

 さらに、食事の面から筋肉の衰えを防ぐためにはBCAA(分岐鎖アミノ酸)をとるのがおすすめです。BCAAとは、バリン、ロイシン、イソロイシンという必須アミノ酸をまとめた呼び方で、筋肉の生成・修復を促す栄養素のこと。マグロやかつおなどの赤身の魚、レバー、卵、大豆、牛乳などに豊富に含まれています。ビタミンB群と一緒にとると効率的に体内に吸収されるので、豚ヒレ肉、玄米などと合わせて食べると効果的です。

 

 寝たきりの状態でからだを動かしていない場合、1週間で10-15%も筋力低下があると言われています。

 「自分はまだ筋肉があるから大丈夫」と高をくくって、ちょっとの移動にも自動車を使うなど、からだをあまり動かさない生活を続けていると、ロコモになるリスクを高めてしまいます。

 また、すでに運動機能に障害があるという方も、筋肉を使わないでいると、どんどん筋力が落ちていきます。可能な範囲で構わないので、壁に手をつきながらかかとを上げ下げしたり、机に手をついてイスから立ったり座ったりするなど、からだを動かすよう心掛けてみてください。少ししか動かなくても筋力の改善は必ず見込めるはずです。この時、事故や怪我(けが)の元になるので、絶対に無理はしないでください。あきらめずに、こつこつと取り組むことが重要です。

 

<アピタル:タニタとつくる健康生活・コラム>

http://www.asahi.com/apital/column/tanita/(アピタル・深山知子)

アピタル・深山知子

アピタル・深山知子(みやま・ともこ) 株式会社タニタ・企画開発部企画開発課 介護福祉士

からだの部位ごとの脂肪や筋肉をはかれる8電極体組成計の開発を担当。その後、子ども用活動量計や体脂肪判定、妊婦用体脂肪計など子どもと女性を中心とした研究に従事。その他、体組成計に乗るだけで誰が計測しているかを自動で判別する「乗るピタ機能」を開発した。近年は高齢者を対象とした研究開発に取り組んでいる。