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【まとめて読む】患者を生きる・「義足で10秒台」

 2016年のリオデジャネイロ・パラリンピック陸上の銅メダリスト佐藤圭太選手(26)は、中学3年の時、足の骨にがんが見つかった。幸い抗がん剤もよく効いてがんは小さくなり、足を「温存」するか「切断」するか選ぶことができた。がんの告知を受け、「自分でも驚くくらい」冷静だったという当時15歳の佐藤選手。「温存」と「切断」、それぞれのメリットとデメリットを考え、出した結論は――。

中3の秋、足の骨にがん「足は切断してください」

 2016年リオデジャネイロ・パラリンピック陸上男子400メートルリレー(切断など)の銅メダリスト、佐藤圭太(さとうけいた)選手(26)が右足に違和感を感じたのは05年の秋だった。当時中学2年で部活のサッカーでゴールキーパーとして活躍し、チームは静岡県大会にも出た。

 痛みはないが、腫れがひかない。藤枝市の自宅近くの病院を受診したが、異常は見つからないという。「単なる疲労かな」とあまり気に留めなかった。

 年が明けた06年2月、痛みが襲ってきた。それでも「中学生活を全うしたい」とだましだましサッカーを続けた。主な行事が終わった秋に県内の病院を受診したところ、専門医のいる浜松医大病院に行くように言われた。

 10月、担当の佐野倫生(さのみちお)医師(52)=現静岡市立静岡病院整形外科主任科長=に「ユーイング肉腫」と言われた。骨にできるがんの一種で、肺などにも転移しやすく悪性度が高い。がんはひざから足首までを支える腓骨(ひこつ)に見つかった。突然受けた告知。だが、自分でも不思議なくらい冷静だった。

 

 11月に入院。抗がん剤による治療が始まった。副作用で吐き気がし、髪の毛も抜けた。でも、耐えるしかないと思った。佐野さんは「現状を受け入れ、前向きに取り組んでくれた」という。

 抗がん剤が効き、がんは小さくなっていた。翌年2月、がんを取り除く手術を受けることが決まった。手術は二つの方法があった。がんがある腓骨周辺だけを切除して足を「温存」するやり方と、ひざ下を「切断」する方法だ。

 「10人いれば9人までが温存を選択するケース」と佐野さん。佐藤さんも温存手術を選ぶと思い、それに向けた計画を立てていた。

 足を温存すれば骨を大きく切除することになり、これまでのような激しい運動は難しくなる。一方で切断しても、性能のよい義足を使いこなせれば、再びスポーツができる可能性は高くなる。

 課題を一つずつクリアして自分の成長を感じるスポーツが楽しかった。高校やその先でもサッカーを続けたかった。可能性があるならそれにかけてみたいと思った。

 「足は切断してください」

スポーツ用義足と出会う「また走れるんだ」

 リオデジャネイロ・パラリンピック陸上男子400メートルリレー銅メダリストの佐藤圭太選手(26)は、中学3年の秋、足の骨にがんが見つかった。義足でスポーツを続ける可能性を求めて、右足ひざ下の切断を選んだ。

 切断すると聞いてショックを受けた家族の姿を見るのはつらかった。でも、これからも思い切りスポーツをやりたいという気持ちが強かった。

 また、切断するとがん再発の可能性が低くなる、入院期間が短くて済むなど、ほかにもメリットがある。高校入試を控え、一刻も早く日常生活を取り戻したかった。家族も最後は佐藤さんの考えを温かく受け入れた。

 2007年2月13日、浜松医大病院で右足のひざ下15センチ以下を切断した。その後、抗がん剤治療を受け、義足をつけてリハビリを始めた。手術後2週間で歩けるようになり、回復は順調だった。4月には退院できた。

 高校に入学時はまだ走れなかっ…

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