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 がんと診断されてから過ごす月日が重なるほど、その後の生存確率が高まっていく。そんな面に着目したがんの統計「サバイバー生存率」を患者への説明や支援に活用する動きが始まっている。がんとともに生きていく人たちのための新しい指標といえそうだ。

年追うごとに上昇、説明に活用

 兵庫県に住む女性(77)は、大阪大病院で子宮体がんと診断され手術を受けてから5年を迎えた。術後の検査で異常はなく、これからは定期的な検査は必要なくなった。

 診察室で、上田豊講師(産婦人科)がサバイバー生存率を示す右肩上がりのグラフを描いてくれた。「生存率は、ふつうの人とほぼ変わらないところまできましたよ」。そう言われ、女性は「本当によくなったんだ」と実感できた。

 サバイバー生存率とはどんなものか。

 一般的によく聞く生存率は「相対生存率」と呼ばれる。ある種類のがんと診断された人が、年齢や性別が同じ日本人全体と比べて、診断から一定期間後にどれほど生存しているかを示したものだ。いま公表されている代表的なデータによると、男性の胃がんの1年相対生存率は79%、5年だと63%。治療の難しさなどによって差はあるが、基本的に値は日数がたつにつれて下がっていく。「5年生存に到達するのは狭き門」という印象もある。

 これに対し、サバイバー生存率は診断から一定期間が過ぎた時点を出発点に、それから先の生存率を示す。胃がんの「サバイバー5年相対生存率」は診断1年後に80%、5年後には97%になる。100%は「ふつうの日本人と死亡率が同じ」ことを意味し「がんが治った」と同義だ。

 もともと米国で20年あまり前から「条件付き生存率」という名前で使われていた指標で、診断からの日数が重なるほど値が上昇する傾向がある。

 なぜ数値が上がっていくのか。サバイバー生存率を研究する大阪医科大の伊藤ゆり准教授によれば、診断時点の生存率には、早い段階で亡くなっていく人のデータも含まれている。時間がたつほど、長期生存する人の割合が高まっていくためという。

 一般的な生存率の値が、がんの種類によって違うように、サバイバー生存率もがんによって差がある。甲状腺がんのように死亡につながることの少ないがんでは、値は診断時から100%に近く、年数がたってもほとんど上昇しない。一方、治療が難しいことの多い膵臓(すいぞう)がんでは、診断時の5年後の値(女性)は6%にとどまるが、1年後には21%、3年後には65%と大きく上がっていく。

 同じがんでも、進行度によって差がある。一般的に、進行したがんでは早期がんに比べて診断時の値は低いが、年数がたつにつれて値が上昇、その度合いは早期がんより大きい。

 

写真・図版

仕事続ける支えに

 阪大の上田さんは数年前、伊藤さんがサバイバー生存率について学会発表するのを聴講して「これだ!」と思った。「患者さんへの説明に使える」

 実は上田さん自身、がんサバイ…

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