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【まとめて読む】患者を生きる・スポーツ「握れぬラケット」

 元プロテニス選手の石井(いしい)弥起(やおき)さん(41)は現役時代にラケットを握る右手首の痛みが悪化し、手術に踏み切りました。ブランクを経て全日本選手権男子ダブルスで優勝し、復活を果たしました。故障の経験はいま、大学でヘッドコーチとして選手を指導する上で大きな財産になっています。

右手首に鈍い痛み、徐々に激痛へ

 元プロテニス選手の石井弥起(いしいやおき)さん(41)が右手首に異変を感じたのは、2001年春だった。

 活動拠点にしていたイタリアでボレーの練習中、ラケットを握る右手首の小指側に鋭い痛みを感じた。それまで大きな故障を経験したことはなかった。「たいしたことはない」と思った。

 6歳でテニスを始めた。小学生や中学生の全国大会などを制覇。1998年7月にプロに転向し、実業団チームに所属。その年の全日本テニス選手権大会のシングルスで優勝した。

 その後、海外で試合を重ね、ウィンブルドンなど「グランドスラム」と呼ばれる4大大会の本戦出場を目指していた。01年2月と4月にあった、男子国別対抗戦のデビス杯では、前年に続いて日本代表に選ばれた。

 右手首の痛みは徐々に増したが、休むことは考えなかった。テニスにはランキング制度があり、試合に出たり勝ったりするとポイントが与えられ、ランクが上がる。休めばランキングが下がり、大会の出場権やシード権が得られなくなってしまう。

 10月には、フィンランドなどで予定されていた試合への出場を見送った。だが、11月に東京都内であった全日本テニス選手権には出場した。右手首をテーピングで固め、薬をのんで痛みをおさえ、ダブルスで優勝を果たした。

 

 だましだましプレーを続けた。だが練習中、時折ボールを打つのを避けたくなるほどの痛みが襲った。そのとき初めて「今までの故障とは何か違う」と感じた。

 練習の合間を縫って、複数の大学病院を受診し、検査を受けた。そこで「三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷」と告げられた。

 TFCCは手首の小指側にある靱帯(じんたい)などの軟らかい組織。手をついて転んだり、ラケットを使うスポーツで手首に衝撃が加わったりすると傷つき、痛みが生じることがある。強い痛みが続く場合、手術をすることも選択肢になる。

 診断は下ったが、手術となれば長期間試合を休まなければならない。ラケットを握った時の感覚が戻るのかも不安だった。どうするかなかなか決められなかった。

 

止まぬ痛みに覚悟「手術しかない」

 プロのテニス選手だった石井弥起(やおき)さん(41)は2001年秋、「三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷」と診断された。右手首の靱帯(じんたい)などが傷つき、ラケットを握る時だけでなく、食事で箸を持つだけでも激痛が走るようになっていた。

 手首をテーピングで固定し、炎症を抑えるステロイド剤を注射したり、痛み止めの薬をのんだりしながらプレーを続けた。一時的には痛みが和らぐものの、根本的な解決にはならなかった。

 石井さんはプロになって4年目で、全日本テニス選手権優勝など好成績を出していた。選択肢として手術をすることもあると聞いたが、プレーの感覚が戻るか不安で手術はどうしても避けたかった。

 とはいえ、得意としていたフォアハンドのストロークは試合に勝つための「生命線」。このまま放っておくと、右手の故障が原因で成績が落ちるおそれもあった。

 そこで、1年間試合に出ずに休…

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