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 健康食品は、その製品を摂取してさえいれば健康になれるというものではありません。トクホなどの保健機能食品は、バランスの取れた食生活を普及啓発するために「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の表示が義務付けられています。ではバランスのいい食事とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

◯×クイズ:生活習慣に気をつけている人は、がんのリスクが低下する
(※答えは、本文中にあります)

▼保健機能食品(トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品)は、その製品だけを摂取すれば健康を維持できるわけではない

▼健康に重要なのは、バランスのとれた食生活、適度な運動、十分な休息・睡眠

▼信頼性の高い研究で、健康にいい食品と悪い食品が明らかになりつつある

 食品の分類をまずはおさらいしましょう。

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 冒頭で説明したとおり、機能性(効き目)が表示できる保健機能食品は、それだけで健康が維持されるものではありません。消費者にバランスの取れた食生活の重要性を啓発し、生活を改善するよう促す目的があります。

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 では、バランスのとれた食生活とはどのようなものなのでしょうか。また、食生活以外にも日常で気をつけるべきことはないのでしょうか。今回、「がん」と「メタボリックシンドローム(メタボ)」について、現時点で明らかとなっている科学的根拠(エビデンス)を紹介します。

がんのリスクを下げる食生活

 国立がん研究センターは、日本人を対象とした研究結果から得られた「科学的根拠に基づくがん予防」(※1)を公表しています。がんの要因として、喫煙のほか飲酒、過体重・肥満、塩分摂取、野菜摂取不足、運動不足など日々の生活習慣が指摘されています。

 「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の五つの生活習慣に気をつけて生活している人は、そうでない人と比べて将来がんになるリスクは男性で43%、女性で37%も低下することが明らかとなっています。

 ですから、「生活習慣に気をつけている人は、がんのリスクが低下する」という○×クイズの答えは「◯」になります。

クイズの答え:生活習慣に気をつけている人は、がんになるリスクが約4割低下する

 がんのリスクを下げる大人の食事について、サイト内で取り上げられていることを紹介します。

・減塩(1日あたりの食塩摂取量 男性8.0g未満、女性7.0g未満)

・野菜と果物をとる(1日あたりの野菜摂取量 350g以上)

・熱い飲み物や食べ物は冷ましてから(熱いと食道がんのリスクが高くなる)

 食生活とは関係ありませんが、ウイルス・細菌感染も、がんの主要な原因であることが明らかとなっていて、日本人のがんの原因の約20%を占めていると推計されています。

メタボを防ぐための食事

 メタボとは、内臓脂肪の蓄積に加えて、空腹時血糖や血中の脂質、血圧が一定以上の値を示している状態のことです。メタボがきっかけとなって引き起こされる危険性のある生活習慣病には、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、虚血性心疾患、脳血管障害、高尿酸血症、腎臓病、認知症、がんなどがあるとされます。

 そのため厚生労働省は、生活習慣病の予防を目的とした健康情報サイト「e-ヘルスネット」(※2)を作っています。サイト内には、肥満や内臓脂肪蓄積につながりやすい食習慣を取り上げ、改善策を示していますので紹介します。

・朝食を抜くなど不規則な食事 → 1日3食規則正しく

・おなかいっぱい満足するまで食べる → 腹八分目といわず腹七分目で切り上げる

・早食いである → よくかんで、ゆっくり食べる

・寝る前に食事や飲酒をする → 床につく前3時間は飲食をしない

・よく間食をする → おやつは時間と量をきちんと決める

 もちろん適度な運動や十分な休養・睡眠もメタボを防ぐためには重要になってきます。その詳細も「e-ヘルスネット」で解説されていますので、興味関心のある人はぜひアクセスしてみてください。

具体的な食事メニューを知りたい

 ただ、ここまで紹介してきた情報だけでは「いったい、何をどれだけ食べればいいのか」「もう少し具体的な食品の情報は?」といった声が聞こえてきそうです。

 そこで、エビデンスとして信頼性の高いものを元に、がんや心血管疾患の発症や死亡リスクを減らすことが明らかになっている具体的な食品についてまとめられた書籍を紹介したいと思います。

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 著者のカリフォルニア大学ロサンゼルス校・津川友介先生から送って頂いたこの本では、「ランダム化比較試験」や、さらに複数のランダム化比較試験の結果を取りまとめて再評価した「システマティックレビュー(メタアナリシス)」を元にしています。

 脳卒中、心筋梗塞(こうそく)、がんなどのリスクを下げる、健康にいいと現時点で考えられている食品として、以下を紹介しています。

・魚

・野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)

・茶色い炭水化物(玄米など精製されていない炭水化物)

・オリーブオイル

・ナッツ類

 さらに、何をどれくらい食べると、どれくらいリスクが減るのかも具体的な数値で解説されています。巻末には文献のリストも掲載されているので、詳しく勉強したい人にもうってつけの書籍だと思います。

 逆に、健康に悪いと考えられている食品は、赤い肉(牛肉や豚肉。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い)、白い炭水化物(白米など精製された炭水化物)、バターなど飽和脂肪酸が該当します。

 今回の記事が、皆さんの食生活をはじめとした生活習慣を見直すきっかけになってくれれば幸いです。

[参考資料]

(1)国立がん研究センター「がん情報サービス」:科学的根拠に基づくがん予防 がんになるリスクを減らすために https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html別ウインドウで開きます

(2)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「eヘルスネット」:メタボリックシンドロームを防ぐ食事 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-03-002.html別ウインドウで開きます

<アピタル:これって効きますか?・健康食品、どう向き合う?> http://www.asahi.com/apital/healthguide/kiku(アピタル・大野智)

アピタル・大野智

アピタル・大野智(おおの・さとし) 島根大学・教授

島根大学医学部附属病院臨床研究センター・教授。1971年浜松市生まれ。98年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒。同大学第二外科(消化器外科)入局。補完代替医療や健康食品に詳しく、厚生労働省「『統合医療』情報発信サイト」の作成に取り組むほか、内閣府消費者委員会専門委員(特定保健用食品の審査)も務める。