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 特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品は、主に健康な人に向けたもので、病気の人を対象にしていません。では、「特別用途食品」という言葉を知っていますか? 病気の人や妊婦、子どもたちを対象として、特別な使いみちがある食品のことです。実はトクホと同じようにマークもあるのですが、見たことはあるでしょうか。今回は、この特別用途食品について解説します。

◯×クイズ: 病者用食品は、病気の治療を目的とした食品である
(※答えは、本文中にあります)

▼特別用途食品には、病者用食品、妊産婦・授乳婦用粉乳、乳児用調整粉乳、えん下困難者用食品がある

▼病者用食品は、どのような病態の人が利用したらよいか使いみちが表示できる

▼特別用途食品は、カプセル型・錠剤型等の製品は認められていない

 おなじみの図で、まずは食品の分類を整理します。

写真・図版

 消費者庁の資料(※1)によると、「特別用途食品」は下記のように説明されています。

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 特別用途食品とは、乳児、幼児、妊産婦、病者などの発育、健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示するもの

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 つまり、特別な使いみちを表示できる制度です。次のように分類されます。

 ちなみに、制度が作られた歴史的背景から、一部のトクホが「特別用途食品」に含まれています。ですが、今回は、狭い意味での特別用途食品について解説しています。

 特別用途食品には、許可マークもあります。

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 でも、このマークを見たことがある人は少ないかもしれません。この「特別用途食品」は、許可された製品が非常に少ないのです。2018年5月15日現在で50製品しかありません。

 次に紹介する製品なら、皆さんも見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

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 経口補水液の「オーエスワン(病者用食品:個別評価型)」です。

 東京では梅雨明け宣言が出され、猛暑日が続いていることもあり、先日、ドラッグストアにいったら売り切れの状況でした。

 許可された表示は以下の通りです。

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 オーエスワンは、電解質と糖質の配合バランスを考慮した経口補水液です。

 軽度から中等度の脱水状態の方の水・電解質を補給・維持するのに適した病者用食品です。

 感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐(おうと)・発熱を伴う脱水状態、高齢者の経口摂取不足による脱水状態、過度の発汗による脱水状態等に適しています。

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 つまり、「脱水状態の人が摂取する」という特別の使いみちを目的に作られた経口補水液ということになります。

 なお、この表示の許可のために実施された臨床試験の結果では、「脱水状態の人がオーエスワンを摂取すると、ミネラルウォーターを摂取したときと比べて、水分が速く吸収された」ということが分かっています。

 ただ、特別用途食品のルールでは、「脱水を予防できる」とか「脱水が治療できる」といった効き目(機能性)は表示できません。「脱水状態の人に適した」という用途、つまり「使いみち」「使用方法」が表示できる制度になっています。

 ほかにも、特別用途食品には、たんぱく質を制限しなければならない腎臓病の患者に適した「低たんぱく質食品(病者用食品:許可基準型)」などがあります。ただ、この食品を食べたからといって腎臓病が治るわけではありません。

 同じように、「アレルゲン除去食品(病者用食品:許可基準型)」を食べてもアレルギーが治るわけではなく、「無乳糖食品(病者用食品:許可基準型)」を食べても、牛乳などに含まれる乳糖を分解できず下痢などを引き起こす「乳糖不耐症」が治るわけではありません。

 ですから、「病者用食品は、病気の治療を目的とした食品である」というクイズの答えは「×」になります。

クイズの答え:病者用食品は、病気の人の食事療法の一環としての位置づけで、医薬品のような治療を目的としていない

 また、特別用途食品はカプセル型、錠剤型の製品は認められていません。通常の食品の形態であることが条件になっています。これは、特に病者用食品では、今まで食べていたものと置き換えることで食事療法をしやすくすることを目的としているからです。

 許可の基準・要件では、「食品の栄養組成を加減し、又は特殊な加工を施したものであって、特別の栄養的配慮を必要とする病者に適当な食品であること」「同種の食品の喫食形態と著しく異なったものではないこと」などと定められています。

 許可された製品数が少なく、ちょっと日陰の存在になってしまっている特別用途食品。

 もう少し活用されるように、ルールを変更してもよいのではないかと個人的には思う次第です。たとえば、使いみちだけではなく効き目も表示可能とし、オーエスワンの場合であれば「脱水状態における水分の吸収をはやめる」などと表示できるようにしてはいかがでしょうか。

【参考資料】

(1)消費者庁:特別用途食品とは

http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/syokuhin88.pdf別ウインドウで開きます

<アピタル:これって効きますか?・健康食品、どう向き合う?> http://www.asahi.com/apital/healthguide/kiku(アピタル・大野智)

アピタル・大野智

アピタル・大野智(おおの・さとし) 島根大学・教授

島根大学医学部附属病院臨床研究センター・教授。1971年浜松市生まれ。98年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒。同大学第二外科(消化器外科)入局。補完代替医療や健康食品に詳しく、厚生労働省「『統合医療』情報発信サイト」の作成に取り組むほか、内閣府消費者委員会専門委員(特定保健用食品の審査)も務める。