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【アピタル+】患者を生きる・歯のかみ合わせ(マウスガード)

 スポーツ中の他の人との接触や転倒時、歯や口の中をけがから守るうえで重要なマウスガード。スポーツ歯科に詳しい東京医科歯科大の上野俊明准教授(51)に現状を聞きました。

 ――スポーツ用マウスガードにはどんな役割がありますか?

 接触プレーや転倒時に歯や口の中のけがを防ぐのが1番の目的です。加えて、食いしばる習慣がある人は、歯やあごの障害を防げます。かみ合わせが安定し、プレー中の安心感にもつながります。

 国際歯科連盟(FDI)は2008年、マウスガードの有用性を広めること、競技レベルにかかわらずあらゆるスポーツでマウスガードの装着を推奨する声明を発表しました。未装着の場合、装着した場合に比べてけがのリスクが1・6~1・9倍高くなると言われています。

 FDIの声明が出る以前から日本国内ではマウスガードの利用は広まりつつありましたが、日本スポーツ歯科医学会として14年、標準的なマウスガードの製作方法に関する提言をまとめました。製作のための講習会も開いています。

 ――良いマウスガードの条件は。

 本人の口の形にぴったり合い、衝撃をしっかりと吸収できることです。マウスガードには、歯科医が歯型を取って調整してつくるカスタムメイド(約1万円~)と、スポーツ用品店やインターネットなどで販売している既製品をお湯につけて軟らかくした後に口の中に入れて形を合わせるタイプ(約1千円~)があります。既製品を使うと、息苦しさや話しにくさを感じてマウスガードの装着をやめてしまう人もいますが、カスタムメイドでは、息苦しさや話しにくさは起こりません。FDIが装着を推奨しているカスタムメイドのマウスガードで、歯や口の中のけがを予防してほしいです。

 日本スポーツ歯科医学会のウェブサイト(http://kokuhoken.net/jasd/recognition/別ウインドウで開きます)では、スポーツをする際の歯のけがの予防対策や、マウスガードの製作などに詳しい「認定医」や「認定マウスガードテクニカルインストラクター」のリストを公開しています。受診の参考にしてください。

写真・図版

 ――マウスガードの利用状況は。

 国内ではボクシングやアメリカンフットボール、空手、ラグビー(一部)、アイスホッケー(一部)などで装着がルール化されています。他の競技でも広まってほしいです。柔道では装着が禁止されていましたが、2017年から使用が認められるようになりました。

 ――歯などを守ることに加え、かみ合わせと競技パフォーマンスへの影響は?

 食いしばる習慣がある人は、マウスガードの装着によってかみ合わせが安定し、力を出しやすくなることはあります。しかし、食いしばる習慣がもともとない人では変化はありません。マウスガードの装着でかみ合わせが安定すれば競技パフォーマンスが向上するという明確なエビデンス(科学的根拠)はまだ十分にありません。

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください

<アピタル:患者を生きる・スポーツ>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/

(聞き手・南宏実)