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 近ごろ、健康食品の有効性を検証する臨床試験が学術論文として報告されることが増えてきました。例えば、関節の痛みに「グルコサミン」が効くかどうか、あなたならどう調べますか? 科学的根拠に基づいた健康食品の有効性・安全性のデータのありかを紹介します。そして、健康食品を利用する時に気をつけたいポイントもあわせて解説します。

◯×クイズ: 病気の治療のために健康食品を利用することは問題ない
(※答えは、本文中にあります)

▼健康食品の有効性を検証する臨床試験の報告数は急増している

▼有効性を認めたという報告と、認めなかったという報告の両方がある

▼健康食品にも副作用など気をつけるべき点がある

 健康食品は本当に効果があるのかどうかを検証するための臨床試験が世界中で行われています。その結果は学術論文として報告されており、その報告数は、まさに右肩上がりと言えるような状況です。

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 上の図は、米国の国立医学図書館が運営している医学論文のデータベース「PubMed(パブメド)」(※1)に収載されている報告数をグラフにしたものです(※2)。

 このパブメドに収載されている論文は、ほとんどが英語で書かれているため、内容を理解するには少しハードルが高いです。このような論文の内容をもっと分かりやすく入手する方法はないのでしょうか?

国が運営している健康食品のデータベース

 「国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所」という名前を聞いたことはありますか? 以前は「国立栄養研究所」あるいは「国立健康・栄養研究所」と呼ばれていた組織です。運動と食事による生活習慣病の予防や、食生活と健康との関係を調査・研究しています。

 そのほか、健康食品の安全性・有効性に関する情報の収集と発信にも取り組んでいて、<「健康食品」の安全性・有効性情報>というサイト(※3)を運営しています。

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 トップ画面の、バーの中央にある「素材情報データベース」をクリックしてみてください。健康食品の素材が、50音あるいはアルファベット順にリンクが並んでいるのがわかります。

 例えば、ひざなどの関節の動きが気になる人に人気のある「グルコサミン」の情報を調べようと思ったら、「か」をクリックすると「か行」で始まる健康食品の素材名一覧が表示されます。そして、「グルコサミン」と記載された箇所をクリックすると、グルコサミンに関する安全性と有効性に関する情報が閲覧できます。この情報は、パブメドなどに収載された論文を元にしています。

◇グルコサミンの素材情報:https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail24.html別ウインドウで開きます

 実際にページにアクセスしてもらうと分かりますが、グルコサミンによる関節の痛みや関節炎に対する効果は、「有効」という結果と、「有効ではない」という結果の両方がある状況です。

 また、このサイトの特徴は、気になる症状について、人を対象とした臨床試験の報告がない場合は「調べた文献の中に見当たらない。」と明記されている点です。ただ、誤解されやすいのですが「臨床試験の結果が報告されていない」ことは、「効果がない」こととイコールではありません。正確な理解としては「効果があるのかないのか、現時点では分からない」という捉え方になります。

 膨大なデータですべてを読むのは難しいと思いますが、「総合評価」だけはチェックしてみてください。

健康食品を利用する際に注意すること

 有効性を示す臨床試験の結果があった場合、商品を買う前に知っておいてほしい注意点があります。

 先ほどの手順で健康食品素材の情報を調べていくと、必ず下記のような注意喚起画面が出てきます。

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 特に重要なのは、<医療機関を受診している方は、「健康食品」を摂取する際に医師・薬剤師へ相談することが大切です。>という箇所です。

 もともと、病気の治療に使われることを目的としているものは、食品というカテゴリー分類ではなく「医薬品」扱いになります。厚生労働省が承認した医薬品ではなく食品として販売されているのに、病気の治療を目的として販売されている健康食品は法律違反をしていることになります。

 ですから、「病気の治療のために健康食品を利用することは問題ない」というクイズの答えは「×」になります。

クイズの答え:食品のカテゴリーである健康食品は病気の治療を目的としていない

 最後に、このサイトには、健康食品の有効性だけではなく安全性の情報も掲載されています。ともすると健康食品は「食品」あるいは「天然・自然のもの」だから安全だと考えている人が多いと思います。

 ですが、今回紹介したデータベースの情報からも、健康食品による副作用(健康被害)の報告が数多く存在すると読み取れます。「食品=安全」ということをではないことをぜひ知っておいてください。

【参考資料・補足】

1)U.S. National Library of Medicine(米国国立医学図書館)が運営する論文データベース:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed別ウインドウで開きます

2)2017年の報告件数は、データベースに登録されるまでのタイムラグがあるため、本来よりも少なくなっています。

3)「健康食品」の安全性・有効性情報: https://hfnet.nibiohn.go.jp/別ウインドウで開きます(アピタル・大野智)

アピタル・大野智

アピタル・大野智(おおの・さとし) 島根大学・教授

島根大学医学部附属病院臨床研究センター・教授。1971年浜松市生まれ。98年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒。同大学第二外科(消化器外科)入局。補完代替医療や健康食品に詳しく、厚生労働省「『統合医療』情報発信サイト」の作成に取り組むほか、内閣府消費者委員会専門委員(特定保健用食品の審査)も務める。