[PR]

 1カ月健診の際によく聞かれる、「いつから外出していいですか?」という質問があります。実は、医学的に根拠のある決まりはありません。

 日本人は、1カ月健診でなにも問題がなければ少しずつ外出をしているようです。でも、100%近くの子が病院で生まれる昨今、生後1週間弱で帰宅するのもある意味外出です。首が座っていない子は支えるとか、落としてしまわないように気をつけるなどすればいいと思います。

 そのうえで、赤ちゃんと外出する際の注意点を考えてみました。

予防接種まだなら混雑に注意

 今年は特に猛暑日が続いているので、炎天下に小さいお子さん連れで長時間外出するのは、子ども自身にも大人にも過酷です。環境省熱中症予防情報サイトによると、高さ50cmでの暑さ指数は、大人の高さの150cmに比べ、平均して0.1~0.3度高くなります。風が弱く、日差しが強いときには2度程度高くなった事例もあり、体感温度はさらに高くなります。アスファルトからの照り返しで、地面に近いとより暑いのです。

 お子さんにあわせて休憩をとったり、オムツ替えや授乳ができるスペースを事前に確認しておいたりしましょう。散歩や外遊びは、毎日しなくてはいけないものではありません。真夏や真冬、天候が悪いときはむしろ控えましょう。

 また、予防接種の済んでいない赤ちゃんを人混みに連れて行くことにも注意が必要です。特に感染症がはやっている時には気をつけましょう。免疫には、胎内でお母さんからもらう受動免疫、初めから備わっている自然免疫、自分で抗体を作る獲得免疫があります。受動免疫はお母さんがかかったことのない感染症を予防することはできないし、自然免疫はウイルスや細菌をすばやく排除できるわけではありません。感染症にかかった経験の少ない乳幼児は、ワクチンで免疫を獲得するのが合理的です。受けられるものから、同時接種ですべて受けましょう。

短時間でもチャイルドシートを 抱っこは危険

 赤ちゃん連れだったり、歩き回る子が複数いたりすると車での移動が安心ですね。ただ、産婦人科から自宅に帰る時や、ちょっと近所に行くような短時間でも、チャイルドシートに乗せてください。頭をぶつけることが一番の問題なので、首がガクンガクンしないよう、運転は急発進、急停車に気をつけます。もしも、赤ちゃんが小さくてチャイルドシートに隙間ができてしまう場合には、タオルなどを詰めます。

 抱っこしていて、急な加速や減速、衝突事故などがあった際、大人の両腕で子どもを支えておくことは大変難しいものです。ケガをすることも多いし、赤ちゃんだと命に関わります(事故死の子、7割チャイルドシート使わず 抱っこも危険 https://www.asahi.com/articles/ASK9F45XLK9FUTIL01R.html)。道路交通法では、6歳未満の子どもはチャイルドシートを使用しなくてはいけませんが、それ以上の年齢の子どもでも、万が一のときのためにチャイルドシートやシートベルトを使いましょう。チャイルドシート不使用の場合、交通事故の致死率が11倍という統計もあります。

 最近は少なくなりましたが、「クーファンで移動中、赤ちゃんがずり落ちてしまった」とか「クーファンごとぶつけてしまった」という人が、たまに外来受診に来ました。かわいいカゴのようなもので、移動できる寝具として使ったり、まだお座りやハイハイをしない子を近くで見守りたいときに使ったりするのがクーファンです。

 普通、クーファンには落下防止の留め具はないので、赤ちゃんを入れたままとってなどを持って持ち運びすると大変危険です。抱っこひもやベビーカーで移動し、高い場所や不安定な場所に置くことは避けましょう。私は留め具がついていて、車のシートベルトを利用するとベビーシートになるクーファンのようなものを使ったことがありますが、子どもは別で運びました。その方が安全ですし、むちゃくちゃ重かったので。

バスや電車、飛行機では?

 公共の乗り物はどうでしょう?バスや鉄道は、ベビーカーだと乗り降りが大変ですね。国土交通省や交通各社でつくる「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」は、安全のため、車内でもベビーカーを折りたたまなくて良いとしています。子どもはベビーカーのベルトで固定し、進行方向に対してベビーカーごと後ろ向きにします。そして、ストッパーをかけるなど安全には気をつけましょう。

 ベビーカー利用に関する協議会では、子育てにやさしい移動について「こそだてモビ」(http://153.150.114.64/kosomobi/別ウインドウで開きます) というウェブサイトで情報発信をしています。バスや鉄道を利用する際に気をつけることが載っているので、一度見ておきましょう。子どもを連れて公共の乗り物に乗る際の年齢制限はありませんが、インフルエンザ流行期や混雑時は避けたいですね。

 「飛行機にはいつから乗っていいですか」と聞かれることもありますが、医師による研究はありません。航空会社では決まりがあり、生後7日以内は搭乗できません。どうしても飛行機で行かなくてはいけない場合、生まれてから7日以内の子でも、医師が記載した書類があると乗れる航空会社も一部にあるようなので、確認してみてください。

 公共の乗り物や、人混みでは、赤ちゃんは予防接種をしておかないと心配です。また、物理的にも混雑した場所では、ケガをしかねません。夏休み中のお出かけの際には、なるべく混雑を避けて、休憩を取れるところを探しておき、心と時間に余裕を持ってでかけましょう。

<アピタル:小児科医ママの大丈夫!子育て>

http://www.asahi.com/apital/column/daijobu/(アピタル・森戸やすみ)

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。