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 アクティブな生活に、うるおいを保つ……。さまざまなイメージ戦略を用いた健康食品の広告を目にしたことはありませんか? 複数の成分を組み合わせたサプリメントは、「足し算」や「かけ算」で効果も高くなると想像しがちですが、本当でしょうか? 今回は、複数成分が含まれたサプリについて考えてみたいと思います。

◯×クイズ: 複数成分が入ったサプリは、食品同士の組み合わせなので安全性に問題ない
(※答えは、本文中にあります)

▼有効成分を組み合わせたら、効果が相加的・相乗的に高まるわけではない

▼逆に、相互作用などの不都合なことがおこる可能性がある

▼複数成分のサプリメントの効果はランダム化比較試験で検証する必要がある

 最近、保健機能食品(トクホ、機能性表示食品など)ではない、いわゆる健康食品・サプリの広告を見て気になったことがあります。それは、多種多様な成分が、ウリ文句を並べて次々と混ぜ合わされている現状です。例えば、このような広告を見たことはないでしょうか。

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 楽をして結果を出したいというのは、人間の心理として理解はできます。

 ただ、このようなサプリメント、安全性の面では大丈夫でしょうか。

「相互作用」って知っていますか?

 複数の医薬品をのんでいる時、その組み合わせによっては、効果が強く出過ぎたり、逆に効果が弱くなってしまったりすることがあります。このような薬の飲み合わせによる不都合を「相互作用」といいます。

 そして、この相互作用は、薬同士だけで起こるものではなく、食品と薬との間でも起こることが最近注目されてきています。厚生労働省が作成している生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」(※1)によると、代表的なものとして以下のような、飲み合わせによる相互作用が紹介されています。

・ビタミンB6:抗てんかん薬(フェニトイン)の効果減弱

・ビタミンC:女性ホルモン(エチニルセトラジオール)の効果増強

・オレンジジュース:β遮断薬(高血圧・狭心症に対する薬)の効果減弱

・クランベリージュース:ワルファリン(抗凝固薬)の効果増強

 さらに特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品と薬においても同様のことが指摘されています(※2)。

 具体的には、糖尿病を薬で治療中の人が「血糖値が気になり始めた方へのトクホ」をとったり、高血圧症の人が「血圧が気になり始めた方へのトクホ」をとったりすると、低血糖や低血圧といった副作用を引き起こす可能性もあります。

 しかし、残念ながら、食品同士の相互作用については、まだ研究が行われておらず、よくわかっていないのが現状です。分からない以上、食品と食品の食べ合わせによる不都合な相互作用は、起こる可能性があると考えておく必要があります。

 仮に「サプリメントに効果がある」ならば、体の中で何かしらの作用を及ぼしているわけです。不都合な作用を起こしてしまう可能性も十分にあると考えておくべきだと思います。

 ですから、「複数成分のサプリは食品同士の組み合わせなので、安全性に問題はない」というクイズの答えは「×」になります。

クイズの答え:複数成分の入ったサプリは、安全とは言い切れない

 そもそも論になってしまいますが、単一の成分であっても、食品であっても、100%安全ということはありません。食品は天然・自然のものだから安全と思われがちですが、アレルギーや摂取量など気をつけなければならない点が必ずあります。「食品だから、イコール安全だ」ということはないことをぜひ覚えておいてもらえたらと思います。

 あまりに多くのサプリをのんでいる方は、一度見直してみてはいかがでしょうか。また、薬の治療をしている人や、健康に不安のある人は、どんなサプリをのんでいるか医師に相談してみてください。

 この連載で繰り返し説明していますが、健康の維持・増進のために重要なのは「バランスのとれた食事」「適度な運動」「十分な休息」です。

 食事を多種多様なサプリメントだけから摂取するような考えは、健康の維持・増進につながらないばかりか、思わぬリスクをまねく可能性があります。サプリメントとの向き合い方では「利用しない」という選択肢が常にあることを忘れないでください。

複数成分のサプリの効果を検証するには?

 では、複数の成分が含まれたサプリメントの効果は、どのように検証すればよいでしょうか? 結論から言えば、そのサプリを使って「ランダム化比較試験」を実施して、有効性を検証する必要があります。

 仮に成分A・B・Cの有効性が、それぞれランダム化比較試験で確認されていたとしても、単純にその効果を足し合わせればよいというものではありません。

 決められた割合で「成分A・B・C」を配合した新たなサプリとして、改めてランダム化比較試験で有効性を確認する必要があります。

 これは、医薬品でも同じです。近年、複数の抗がん剤を使って治療する「多剤併用療法」が行われてきています。薬をあわせて使うことで効果が高まるケースもありますが、必ずしも薬の数が増えれば増えるほど効果が高くなるというわけではありません(※3)。

人間の体は複雑にできていて、機械のように単純ではないことを知っておいてください。

【参考資料】

1)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト:「食物と薬の相互作用」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food-summaries/e-06別ウインドウで開きます

2)大分大学医学部附属病院薬剤部:「Q&A 健康食品と医薬品相互作用」

http://www.med.oita-u.ac.jp/yakub/di/qa/kennkoushokuhinn.pdf別ウインドウで開きます

3)Aoki Y, et al. Phase III study of cisplatin with or without S-1 in patients with stage IVB, recurrent, or persistent cervical cancer. Br J Cancer. 2018 Aug 3

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30072745別ウインドウで開きます(アピタル・大野智)

アピタル・大野智

アピタル・大野智(おおの・さとし) 島根大学・教授

島根大学医学部附属病院臨床研究センター・教授。1971年浜松市生まれ。98年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒。同大学第二外科(消化器外科)入局。補完代替医療や健康食品に詳しく、厚生労働省「『統合医療』情報発信サイト」の作成に取り組むほか、内閣府消費者委員会専門委員(特定保健用食品の審査)も務める。