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【まとめて読む】患者を生きる・食べる「内田春菊とストーマ」

 お酒が大好きで、食欲も旺盛だった漫画家の内田春菊さん(59)。2015年春にダイエットを始めたところ、4カ月で体重が10キロも落ちました。ところが、便秘が続き、痔(じ)も悪くなった気がしたので、病院へ行くと、思いもかけない言葉を告げられます。

うちだ・しゅんぎく
 1959年、長崎市生まれ。高校を退学後、ホステスなどの仕事を経て、84年に漫画家デビュー。「南くんの恋人」などの人気作品で知られる。93年には初めての小説「ファザーファッカー」を発表して直木賞候補となり、95年の「キオミ」も芥川賞候補になった。歌手や俳優、映画監督としても活動する。大腸がんを切除して人工肛門(こうもん)になった経緯を漫画「がんまんが」に描いた。

4カ月で10キロ減 ダイエットのおかげ?

 4カ月で体重が10キロ落ちた。「ダイエットのおかげ」と漫画家の内田春菊(うちだしゅんぎく)さん(59)は最初、喜んでいた。

 酒豪で知られ、食欲も旺盛だった。だが2人の娘の卒業式や入学式を控えた2015年春、スーツを着るとウエストがきつかった。「何とかしたいな」と考えていたころ、京都で大学生活をしていた太り気味の長男(25)がやせて帰宅した。「糖質を減らしたら脂肪肝も治ったよ」。自分もやってみようと、5月から甘い菓子類やご飯を減らす「糖質制限」に取り組んだ。

 実はダイエット中もお酒はよく飲んでいた。食べるものは変えたが食事量も減らさなかった。こんなにやせるなんて――。「私のおなかはどうなっているの」と思った。

 「どこか悪いんじゃないの」。急にやせた姿を見て、友人に心配されたが、ダイエット中だからと受け流した。便秘がちにもなったが、食物繊維が不足したからだと考えた。だが、便秘があまりに長く続き、痔(じ)も悪くなった。糖質の制限を緩めても体調は改善しない。ある日、膣(ちつ)にも痛みを感じ、急に不安になった。「ちゃんと診てもらわないと……」

 痔の治療で評判がよかった近所のクリニックを訪ねた。医師は「痔だと思いますけど一応、内視鏡検査をしましょう」と話した。知人にも「急にやせると、痔になることがある」と言われ、この時はさほど心配していなかった。

すぐに終わった内視鏡検査、医師「一刻を争う」

 内視鏡検査を受けたのは12月10日。だがお尻から入れたカメラはすぐに抜かれた。不思議に思っていると、医師はカルテを書きながら告げた。「大きな病院に行ってください。一刻を争う」

 事実上の「告知」ではないか。「それって、がんかもしれないってことですか?」。つっかかるように尋ねた。医師は同じ答えを繰り返した。

 専門病院の紹介状を書いてもらったが、予約は1週間後。次女(18)に話すと、「死なない?」と泣きそうな表情をされた。調べると、大腸はがん部位別で女性の死因1位。検査日まで待ってよいのか分からず、翌日、前に出産でお世話になった日本医科大病院(東京都文京区)の産婦人科医に、メールで経緯を伝えた。何度かのやりとりの後、電話が鳴った。「これからうちの病院に来られる?」。すぐに検査するという。

 ラジオ収録のスケジュールを急いでキャンセルし、日本医科大病院に向かった。CTスキャン撮影などに続いて触診。消化器外科の准教授、山田岳史(やまだたけし)さん(51)に「お尻を見せてください」と言われて台に横たわった。やがてこう告げられた。「肛門(こうもん)から3センチほどしかありません」

 がんと決まったわけではないが、2~3センチの所に疑わしい腫瘍(しゅよう)があるらしい。肛門に近いとどう問題なのか分からずにいると、静かな口調で山田さんが続けた。「すぐ手術することもできますが、人工肛門は免れません」

 「人工肛門」。思わず同じ言葉…

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