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【まとめて読む】患者を生きる・食べる「胃を切って」

 宮城県大崎市の小玉仁志(こだまひとし)さん(34)は24歳のとき、胃に痛みを感じました。病院で検査したところ、胃がんが見つかりました。胃をすべて切り取る手術を受けたことがきっかけになり、食の大切さに目覚めて新たな挑戦を始めました。

 宮城県大崎市郊外の「ウラバタケCafe」。地元でおしゃれなカフェとして知られるこの店のオーナー、小玉仁志さん(34)には胃がない。

 24歳で胃がんが見つかり、手術で胃をすべて切り取った。大病をして食の大切さに目覚めたのをきっかけにカフェを始めた。

 以前は違った。大学生から一人暮らしで、3度の食事は外食やコンビニ弁当など出来合いのものばかりだった。夜食や間食も多かった。後の病気の原因になったかどうかはわからないが、栄養バランスはあまり心がけておらず、健康な食生活とはいえなかった。

 体に不調を感じたのは2008年。仙台市の出版社に勤めて2年目、病院や大学の出版物を扱う仕事をしていたときだ。おなかに鈍痛を感じた。胃をぎゅっと握りつぶされるような痛みだった。

 「何かの病気なのか」。ただ、当時は年度末で忙しく、仕事をいくつも抱えていた。痛みはストレスや寝不足のせいだと思い込み、市販の胃薬をのんで痛みをこらえながら仕事を続けた。

 だが、仕事が一段落した後も痛みは治まらなかった。座って机におなかを押しつけると一瞬和らぐが、立ち上がると痛み出した。

 ある日、営業の途中で立ち寄った飲食店で、注文したご飯を食べられずに残してしまった。駐車場にとめた車で横になって休んでいると、べっとりした汗が噴き出た。「おかしい。何かのサインかもしれない」

 気になって、会社近くにあったJR仙台病院(仙台市青葉区)を受診した。生まれて初めて内視鏡検査を受けた。

 2週間後、病院から電話がかかってきた。「ご両親を連れて病院に来てください」。テレビドラマで重病を告げる場面のような言葉に焦った。電話口で検査結果を聞きだそうとしたが「決まり事で、医師が面談した時にしか言えません」と断られた。

 数日後、都合がついた父親(63)と一緒に、病院に向かった。医師から胃カメラの写真を見せられ、単刀直入に告げられた。「胃がんです」。嫌な予感が的中した。体中の血液が沸騰するような感覚に襲われた。

手術するも再発…全摘出

 宮城県大崎市でカフェを経営する小玉仁志(こだまひとし)さん(34)は2008年、JR仙台病院(仙台市青葉区)で検査を受けたところ、胃にがんが見つかった。

 告知を受けたとき「親にもらった体が重い病気になってしまった。申し訳ない」と思った。付き添っていた父親(63)の顔を見ることができなかった。

 小玉さんはすぐに入院し、手術を受けることにした。執刀したのは、安斎実(あんさいまこと)医師(49)=現・大崎市民病院第一内視鏡外科長=だった。検査結果を見て「20代で若いのにがんになるのはかなり珍しい」と思った。

 一般的に、胃がんの手術では、…

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