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 がん細胞の遺伝子変異を網羅的に調べ、患者にとって最適な治療法を探る「ゲノム医療」。臓器別だったがんの治療は遺伝子ごとの治療へと、大きく変化しつつある。来年度の保険適用を目指して体制整備が進むが課題も多い。

変異特定「最適な薬」で治療

 関東地方に住む女性(61)は2014年、再発した肺がんを治療するために東京都内の大学病院で、がん細胞の遺伝子異常を調べる検査を受けた。肺がん患者の1%にあるとされる「ROS1」という遺伝子に変異があると分かった。

 当時、承認された薬はなかったが、変異に対応した分子標的薬の臨床試験(治験)が始まっていた。主治医は、治験への参加を選択肢の一つと示した。抗がん剤治療をしても両肺の腫瘍(しゅよう)が増えるなど病状が進行していた女性は、悩んだ末に治験に参加し、分子標的薬を使い始めた。

 手のしびれや皮膚の炎症などの副作用はあったが薬は効き、腫瘍は縮小した。女性は「遺伝子検査を受けたから今の状態がある。薬にたどりつけて本当に運がよかった」。

 がん細胞の遺伝子変異を一度に複数調べ、治療法を探るゲノム医療は、研究や自由診療として、大学病院などを中心に広がっている。東京大学の織田克利准教授は、「遺伝子を調べることで、臓器の枠を超えて今ある薬を有効に使えるチャンスが訪れる」と話す。

写真・図版

 来春の保険適用を目指し国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)や東大病院、大阪大病院では、保険の使えない検査と保険診療の併用を認める先進医療も今年度、始まった。主に再発やがんの進行などで標準的な治療が受けられない患者が対象だ。

 ただし検査には数十万円かかり、全ての患者に薬が見つかるわけではない。検査をしても薬にたどり付けない悩みが新たに生まれるとの指摘もある。国立がん研究センター中央病院の山本昇・先端医療科長は「検査はあくまでツールの一つ」と指摘。「変異が見つかっても薬の治験が終わっている、海外でしか開発されていない、治験の条件に当てはまらないなど、使える薬がないということも多い」と話す。

 同病院で13年から臨床試験と…

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