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 病院を受診している患者さんが「健康食品」について相談したいとき、誰に相談すればいいのでしょうか?  実は講演会などで、医療にたずさわる方からも「患者さんから相談を受けたらどうしたらいいですか」と質問されます。健康食品については医学教育でなかなか学ばず、知識の乏しい医師が多いのが現状なのです。

◯×クイズ: 薬局でも健康食品の相談に応じてもらえる?
(※答えは、本文中にあります)

▼医師は健康食品の知識をほとんど持っていない

▼食品と医薬品との相互作用については薬剤師が詳しい

▼2016年から「健康サポート薬局」制度が始まり、健康に関する相談に応じてもらえる

 前回、前々回の2回に渡って「トクホは本当に効くのか?」「ビタミンCがレモン10個分というのは、どういう意味か?」「健康食品と医薬品を一緒に飲んでも大丈夫か?」など、健康食品にまつわる豆知識を紹介しました。

◎コラーゲンで肌がプルプルになる? 健康食品の豆知識[2018年11月1日]https://www.asahi.com/articles/SDI201810293011.html

◎健康食品の「ビタミンCレモン10個分」が意味するのは[2018年11月15日]https://www.asahi.com/articles/SDI201811073831.html

 今回は、健康食品の利用について不安があったときに誰に相談したらいいのか、考えていきたいと思います。

医師は健康食品に関する知識が乏しい?

 医学知識を豊富に持っているはずの医師。実は、健康食品のことについては、医学教育で学ぶ機会がなく、ほとんど知識がありません。そのため、「健康食品は効くはずがない!」と思い込んでいる医師が多いのが現実です。なので、研修会などで「健康食品は効きます!」と説明すると驚いた表情をされることがあります。

 ここで、「健康食品は効きます」についておさらいしましょう。

 日本の法律では、一定の根拠があれば、機能性(効き目)を表示できる制度があります。正確には、食品表示法によって機能性を表示できる健康食品は「保健機能食品」です。「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つに分類されています。

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 このうち、トクホと機能性表示食品は、医薬品と同じランダム化比較試験という方法で、効き目が証明されている必要があります。

 ですが、注意点が二つあります。

 一つ目は、臨床試験の対象者は、健康な人、または境界域にいる人で、病気の人ではありません。つまり、トクホや機能性表示食品を利用する目的は「健康の維持・増進」で、病気の予防・治療ではない点は大前提として知っておきましょう。

 また、保健機能食品以外の「いわゆる健康食品」も病気の人を対象としていません。もし、病気の予防・治療をうたっている製品があったら、それは薬機法(※医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律/旧薬事法)違反などルール違反の製品だということも覚えておいてください。

 二つ目は、ランダム化比較試験で効き目が証明されているとはいえ、その効果は限定的だということです。例えば、「中性脂肪が気になる方へ」と表示されているトクホ・機能性表示食品の裏付けとなるランダム化比較試験の結果は、一般的に以下のようなものになります。

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 これを文章で表すと次のようになります。

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 つまり、「トクホや機能性表示食品は確かに効くものの、対象者は健常人・境界域の人であり、その効果も限定的」という理解が正確な受け捉え方になります。

なお、それ以外の「いわゆる健康食品」については、「ランダム化比較試験で検証されていない場合は、効くのか効かないのか『分からない』」ということになります。

健康食品のこと、病院の誰に相談すればいい?

 病気になって通院するようになった患者さんは、「自分でもなにかできないか」と情報収集した結果、健康食品の利用を検討したことがある人もいるかもしれません。

 家族や友人などから健康食品を勧められた経験もあるかと思います。利用してもよいのか、病院の誰に相談すればよいのか悩むことも多いのではないでしょうか。

 前述したとおり、医師である主治医は、健康食品の知識が乏しいのが現状です。仮に質問したとしても、なかなか答えてくれそうもありません。また、「医師に健康食品のことを相談したら怒られるのでは」「健康食品のことを医師に相談してもよいのか?」と相談したくでもできない人もいるでしょう。

 ですが、最近では、病院に受診した際の問診票に「健康食品摂取の有無」を質問欄に設けるなどの取り組みを日本医師会がすすめる(※1)など、少しずつ相談しやすい環境ができつつあります。

「相互作用」に詳しい薬剤師

 なお、病院には医師のほかに、看護師、薬剤師、栄養士などさまざまな職種の人がいます。特に薬剤師は、健康食品と医薬品の「相互作用」といった知識が豊富で、もし、病院から薬を処方されている人が健康食品を利用しようと考えたときには、まず相談すべき相手かもしれません。

 「相互作用」とは、医薬品と健康食品との間で、組み合わせによって、効果が強く出過ぎたり、効果が弱まったりすることです。健康食品は「食品だから安全」だというわけではありません。健康食品で健康被害にあってしまっては本末転倒です。

 また、薬剤師に関しては、病院だけではなく薬局にも常駐しています。特に、平成28(2016)年からスタートした「健康サポート薬局(※2)」では、医薬品に限らず、健康食品を含め健康全般に関する相談に応じてくれます。

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 ですから、「薬局でも健康食品の相談に応じてもらえる?」というクイズの答えは「○」になります。

クイズの答え:健康サポート薬局では、薬剤師に健康食品の相談に応じてもらえる

 次回は、「健康食品、どう向き合う?」連載シリーズの総まとめとして、「健康食品を見極めるポイント」や、健康食品の信頼できる情報源、トラブルに巻き込まれたときの対処法を紹介します。

【参考文献】

1)日本医師会:健康食品安全対策委員会報告書「国民生活の安全に責任を持つ医師会~国民のヘルスリテラシーの向上~」(2018年6月)http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20180620_5.pdf別ウインドウで開きます

2)日本薬剤師会:健康サポート薬局とは?https://www.nichiyaku.or.jp/kakaritsuke/support_pharmacy.html別ウインドウで開きます

<アピタル:これって効きますか?・健康食品、どう向き合う?>http://www.asahi.com/apital/healthguide/kiku(アピタル・大野智)

アピタル・大野智

アピタル・大野智(おおの・さとし) 島根大学・教授

島根大学医学部附属病院臨床研究センター・教授。1971年浜松市生まれ。98年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒。同大学第二外科(消化器外科)入局。補完代替医療や健康食品に詳しく、厚生労働省「『統合医療』情報発信サイト」の作成に取り組むほか、内閣府消費者委員会専門委員(特定保健用食品の審査)も務める。