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 健康食品をテーマにした連載シリーズも、今回が最終回になりました。健康食品を見極めるためのポイントをおさらいするとともに、健康食品の情報を調べられる信頼できるサイトや、トラブルに巻き込まれたときの対処法を紹介します。

◯×クイズ: 健康食品で体調不良になったときは、保健所が対応してくれる
(※答えは、本文中にあります)

▼健康食品を含めた食品は、「人の口に入る薬以外のもの」と定義されている

▼健康食品を見極めるポイントは「科学的根拠はあるか?」「高額すぎないか?」「西洋医学を否定していないか?」

▼健康被害にあったら、いつから、どれくらいの量を利用していたか記録しておくことが重要

 そもそも、健康食品を含めて「食品」とは、どのように定義されているのでしょうか。

 食品衛生法第4条第1項で、次のように定められています。

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食品とは、全ての飲食物をいう。但し、薬機法(旧薬事法)に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品は、これを含まない。

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 つまり、人の口に入るもので、薬以外のものは全て食品です。そして、その食品には、機能性(効き目)が表示できる保健機能食品、用途(使い道)が表示できる特別用途食品があります。

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 保健機能食品、特別用途食品の詳細は、過去の記事も参考にしてみてください。

◎トクホって効くの? https://www.asahi.com/articles/SDI201805078064.html

◎栄養を補う栄養機能食品 https://www.asahi.com/articles/SDI201805229203.html

◎機能性表示食品、トクホとの違いは? https://www.asahi.com/articles/SDI201805299590.html

◎患者向けの特別用途食品 https://www.asahi.com/articles/SDI201807022494.html

 重要なポイントは、保健機能食品と特別用途食品以外の「一般食品」では、カプセルや錠剤などサプリメントの形状をしたものであっても、効き目や使い道の表示は法律で禁止されているということです。

健康食品を見極めるポイントは?

 医療者も、健康食品の見極めには悩んでいるようです。医療者向けの研修会で、「患者から『健康食品を利用してもいいか』と尋ねられたらどうしたらいか」と、よく質問されます。対応のポイントを紹介します。

 医療現場における意思決定の行動指針には、「科学的根拠(エビデンス)に基づいた医療(EBM)」の考え方があります。

 EBMとは、「『科学的根拠』『臨床現場の状況・環境』『医療者の技術・経験を含む専門性』『患者の意向・行動(価値観)』の4要素を考慮し、より良い患者ケアに向けた意思決定を行うための行動指針」と定義されています。

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 この考え方に健康食品を例にあてはめてみます。

▼科学的根拠:

・ランダム化比較試験で効き目は証明されているか? 

・副作用や相互作用のリスクはないか?

▼医療現場の状況・環境:

・患者は健康食品を摂取できるような病状(口から摂取できる状態)か?

・標準治療の選択肢の有無は?(そもそも食品は病気の治療を目的としていない点も忘れずに)

・健康食品を購入する経済的負担は?

・家族・友人から無理やり健康食品を勧められていないか?

▼医療者の技術・経験を含む専門性:医師は健康食品の知識は乏しいのが現状

▼患者の意向・行動:

・本人の病気に関する認識は正確か(誤解や勘違いはないか)?

・本人は健康食品に興味があるのか?

 そのほかにも、知っておくと得する豆知識や気をつけておくべき点があります。

 カプセルや錠剤の製品は、たくさん飲んでもすぐにおなかがいっぱいにならないので、過剰摂取のリスクと隣り合わせです。さらに、海外からの輸入品では、健康食品と称した未承認の医薬品で、健康被害の事例が繰り返されている点にも注意が必要です。

 また、健康食品の製造・販売企業が西洋医学を否定したうえで、自社の健康食品をお勧めしているケースもあります。「薬は毒で危険 食品は天然・自然で安全」といったイメージ戦略や「医者と製薬会社は患者に薬を飲ませてもうけようとしている」といった陰謀論を展開して、患者や家族を惑わし、不安につけ込むような形で製品を売りつけてきますので、このような場合は近づかないようにすることが賢明です。

 これらを、前述のEBMの図に当てはめると次のようになります。

写真・図版 

 誤解しないでほしいのは、EBMとは「科学的根拠があるから行うべきだ」「科学的根拠がないから行ってはいけない」という短絡的な考えに基づくものではないことです。

 科学的根拠の有無は重要な判断材料になることは間違いありませんが、それ以外にも、さまざまなことを検討した上で、健康食品を利用するのか利用しないのかを、医療者と患者がよく話し合って決めていくことがEBMになります。

 ですから、話し合いの結果、仮に効き目を裏付ける科学的根拠があっても、経済的負担や健康食品のリスクなどを踏まえて「利用しない」という選択肢はもちろんありえます。

 健康食品を見極めるポイントを、もう一度、整理します。

1.科学的根拠はあるのか?(有効性だけでなく、副作用や相互作用に関する情報にも注意)

2.経済的負担はないか?(健康食品は全額自己負担なので、負担を感じるようなら「利用しない」という選択肢を検討)

3.標準治療を否定していないか?(標準治療で得られたはずの利益に関する機会損失は絶対に避けるべき)

健康食品に関する情報サイト

 では、健康食品企業の美辞麗句を並び立てた宣伝文句にだまされずに、安全性や有効性に関する正確な情報は、どのように調べたら良いでしょうか。

 健康食品に関する情報サイトを紹介したいと思います。

◎「健康食品」の安全性・有効性情報(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)

https://hfnet.nibiohn.go.jp/別ウインドウで開きます

◎機能性表示食品の届出情報検索(消費者庁)

https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/別ウインドウで開きます

◎「統合医療」情報発信サイト:健康食品(厚生労働省)

http://www.ejim.ncgg.go.jp/doc/index_food.html別ウインドウで開きます

◎e-ヘルスネット:食物と薬の相互作用(厚生労働省)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food-summaries/e-06別ウインドウで開きます

◎食品‐医薬品相互作用データベース

https://www.josai.ac.jp/education/pharmacy/fdin_db/別ウインドウで開きます

◎健康食品、どう向き合う?

http://t.asahi.com/ozn6別ウインドウで開きます

 実際にアクセスしてみると、聞き慣れない用語が出てくる場合もあるかもしれません。ですが、機能性表示食品制度には、「消費者の自主的かつ合理的な食品選択」を目的とした「インフォームド・チョイス」の考え方があります。つまり、消費者は自ら情報を収集し、それを理解・納得した上で、自らの自由意思に基づいて、自らの決断・行動を選択することが求められているのです。

 「全て自己責任」ということではなく、医療者に相談して理解の助けにしたり、一緒に意思決定したりするのは全く問題ありません。前回のコラムでは、相談相手の例として、薬剤師や健康サポート薬局も紹介しました。

◎健康食品の不安 医師・薬剤師…誰に相談したらいい?

https://www.asahi.com/articles/SDI201811265214.html

健康食品で健康被害にあったら?

 「健康食品で健康被害」

 ダジャレのようですが、決して無視できないリスクです。もし、健康食品を利用した後、おなかが痛くなったり、下痢をしたり、あるいは蕁麻疹(じんましん)が出たりした場合、どのように対応したらよいでしょうか。

 健康食品を利用して体調に異変を感じたら、利用を中止して病院を受診することが大切です。その際、どの健康食品を、いつから、どれくらいの量を利用していたか記録しておくと、何が原因かを突き止める助けになります。

 そして、このようなトラブルに巻き込まれた場合、病院以外にも、保健所や国民生活センター(http://www.kokusen.go.jp/index.html別ウインドウで開きます)など相談に応じてくれる窓口があります。

 ですから、クイズの答えは「◯」になります。

クイズの答え:健康食品で被害にあった際、保健所が相談窓口として対応してくれる
(※ほかにも国民生活センターなども対応してくれる)

 保健所や国民生活センターの窓口は、消費者だけでなく、健康被害にあった人に対応した医療機関からも報告を受け付けています。また、2011年からは日本医師会が「健康食品安全情報システム」事業を実施しています(https://www.med.or.jp/people/knkshoku/index.html別ウインドウで開きます)。

健康食品の利用は、納得の上で後悔ないように

 「健康食品は食品だから安全」というわけではありません。体への直接的な被害だけではなく、契約解除や返品対応といった経済的トラブルに巻き込まれてしまうリスクも念頭に置いてもらえたらと思います。経済的トラブルも、前述の国民生活センターに連絡すると相談に応じてくれます。

 健康食品は「利用しない」という選択肢が常にあることを忘れずに、利用する場合も納得の上で後悔のないようにしてもらえたらと思います。

<アピタル:これって効きますか?・健康食品、どう向き合う?>http://www.asahi.com/apital/healthguide/kiku(アピタル・大野智)

アピタル・大野智

アピタル・大野智(おおの・さとし) 島根大学・教授

島根大学医学部附属病院臨床研究センター・教授。1971年浜松市生まれ。98年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒。同大学第二外科(消化器外科)入局。補完代替医療や健康食品に詳しく、厚生労働省「『統合医療』情報発信サイト」の作成に取り組むほか、内閣府消費者委員会専門委員(特定保健用食品の審査)も務める。