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 思春期や若年成年を表す「AYA」についてご存じですか?最近、認知度が高まっている言葉ですが、 「Adolescent and Young Adult」の頭文字をとったもので「アヤ」と呼びます。学会によって定義は異なりますが、日本では15歳~39歳でがんの診断を受けた患者さんのことを言います。患者さんや家族が抱える問題への対応は海外が先行していましたが、日本でも徐々に進みつつあります。

満席となった記念すべき1回目の学術集会

 AYA世代のがん患者をめぐる学術集会は、国際的には、Global Adolescent and Young Adult Cancer Congressという学術集会が毎年1度開催されています。国内では、本年2月11日、一般社団法人「AYAがんの医療と支援のあり方研究会」(以下、AYA研)によって初めて開催されました。開催場所は名古屋市の名古屋国際会議場でした。

「一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会」(AYA研)

https://aya-ken.jp/別ウインドウで開きます

 第一回学術集会ホームページ

https://aya-ken.jp/meeting/1st-meeting別ウインドウで開きます

 Global Adolescent and Young Adult Cancer Congressのホームページ

https://www.eiseverywhere.com/ehome/312967別ウインドウで開きます

 会場には当日参加の方が多く来場され、当初予想を大きく超える340人もの医師、看護師、患者、ソーシャルワーカーや心の専門家などが参加しました。AYA世代をめぐる医療や社会の在り方への関心の高さの表れでしょう。

 私もシンポジウム1で登壇の機会をいただき、AYA世代のピアサポートの大切さと課題についてお話をさせていただきました。がん患者数の2%弱しかいない希少性。病気の種類の多様さ、そして、家族も含めた社会背景などは多様さ。がん拠点病院でもない普通の市中病院で治療を受けた、当時AYA世代だった私などは、同世代の仲間に出会えることはほとんどありませんでした。「ちょっと前を歩く仲間」と出会いたくても、そうした機会は医療の中では本当に少なく、社会の中でようやく出会えました。

 「ひとりではない」という実感をもつための社会の取り組みとして、同じ体験をした者同士が集う「ピアサポート」があり、「患者として生きる知恵を共有する」上では大変重要になりますし、特にAYA世代においては心理社会的な発達を考える上でもロールモデルの存在は必要です。10年前とは違って、患者同士がつながれる道具は増えていますから、様々な形で支援の輪が広がるとよいなと思っています。

治療成績の改善も課題

 AYA世代のがんがなぜこんなに焦点を当てられるようになったのかという理由の一つに「治療成績の改善率の悪さ」があります。いわゆる中高年のがんの治療成績は向上しているのですが、AYA世代に関しては向上しないままの状態です。

 私も、自分の治療方法を考えた時に、AYA世代の臨床試験への参加率がとても少なく、他の世代と比べての科学的根拠の弱さを感じましたし、再発進行がんではさらにエビデンスは弱くなります。

 AYA研第一回学術集会では、創薬などの臨床試験に関する発表は含まれていませんでしたが、今後はこの場を通じて国際共同治験への参加や、新しい臨床試験の結果発表などが行われていくこと、その結果として、治療成績や患者、家族の生活の質の改善、そして、社会生活の質の確保が進んでいくことを切望しています。

 AYA世代の治療の改善率データはこちらのホームページに掲載されています

http://mattcwiertnymemorialfoundation.com/what-we-do/別ウインドウで開きます

欧米のAYA世代支援

 一方で、海外に目を転じてみると、AYA世代のがん患者支援団体は、オーストラリア、イギリス、アメリカなどでは既に大きな活動になっており、オーストラリアの「Can teen」、イギリスの「Teenage Cancer Trust」、アメリカの「Teen Cancer America」が代表的です。

 それぞれの団体ごとに対象とする年齢が異なっており、オーストラリアの「Can teen」は12歳から25歳でがんの診断を受けた人のことを、アメリカの「Teen Cancer America」は13歳から24歳、イギリスの「Teenage Cancer Trust」では13歳から24歳となっています。

 各団体のウェブサイトは以下です。

 「Can teen」(https://www.canteen.org.au/別ウインドウで開きます

 「Teen Cancer America」(https://teencanceramerica.org/別ウインドウで開きます

 「Teenage Cancer Trust」(https://www.teenagecancertrust.org/別ウインドウで開きます

 「AYA」と総称していても、Aである「思春期(Adolescent)」と、YAの「若年成人(Young Adult)」とでは、対処すべき課題が少し異なっています。

 「A」世代は、一般的には義務教育を終える前後から大学卒業の前後まで、15歳から24歳で罹患した人のことを言います。がんの種類も、白血病や脳腫瘍、リンパ腫、骨軟部肉腫など、小児に多いことが特徴で、小児を扱う専門病院で治療を受けたほうが良いのか、成人がんの病院が良いのか、治療の選択が難しいことや、治療の選択権も親との間で揺れ動きます。高校~大学と、社会生活の基礎となる就学や就職、経済的な負担の問題などもあります。海外の患者支援団体が、12歳~25歳の世代を支援対象にしている背景には、このような心理・社会的な支援の難しさを背景に、国だけに頼っていては足りない支援を、寄付を集めるなどして社会全体で補っているのです。

 日本のAYA世代のがんに関わる患者数や病気の種類などの特徴は、国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」に詳しい解説がありますから、こちらもあわせてご覧ください。

・国立研究開発法人国立がん研究センター「小児・AYA世代のがん罹患」(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/child_aya.html別ウインドウで開きます

 先日、英国ロンドンへ行った際、本当に少しの時間でしたが「Teen Age National Trust」の事務所を訪問させていただきました。そこでスタッフとして働いているトムさんにお話を伺いましたが、イギリスでも、診断時、治療期、そして治療後の三つの時期で日本と同様な課題があり、行政、医療、企業、患者が連携して支援をしているという話を伺いました。他領域での患者支援活動や、他団体が既に実施している取り組みなどは、国境を越えて積極的に取り入れているとのことで、AYA研もそうした場の一つになっていくことを期待しています。

<アピタル:がん、そして働く>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/cancer/

(アピタル・桜井なおみ)

アピタル・桜井なおみ

アピタル・桜井なおみ(さくらい・なおみ) 一般社団法人CSRプロジェクト代表理事

東京生まれ。大学で都市計画を学んだ後、卒業後はコンサルティング会社にて、まちづくりや環境学習などに従事。2004年、30代で乳がん罹患後は、働き盛りで罹患した自らのがん経験や社会経験を活かし、小児がん経験者を含めた患者・家族の支援活動を開始、現在に至る。社会福祉士、技術士(建設部門)、産業カウンセラー。