[PR]

 保育園に入る前に不安があるママとパパに向けて、前回は3歳児神話や卒乳、ワクチンのことを書きました。今回もその続編です。

 新しい環境に行くと、たくさんの感染症、とくに風邪にかかりやすいという話を、前回しました。両親とも仕事があるから保育園に行き始めたというのに、熱を出して休んでばかりで大変ということもあるでしょう。

 調子が戻ったら、いつ登園したらいいでしょうか。風邪だったら熱が下がって、食欲が半分くらい戻った頃を目安にするといいと思います。もちろん、せきがとてもひどいとか、下痢が頻繁にあるといった場合は熱がないとしてももう少し家で様子を見ましょう。

インフルエンザやおたふく、胃腸炎は?

 特に周囲に移しやすい感染症については、厚生労働省が「保育所における感染症対策ガイドライン」をだしています。乳幼児の特性を踏まえて、最新の知見をもとに専門家が検討したものです。(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf別ウインドウで開きます

 ここでは、感染症対策についての基本的な注意点が挙げられています。例えば乳児は、生後数カ月以降、お母さんから胎内でもらった免疫が減っていくこと、大人と比べると鼻やのどのつくりが小さいため、風邪などで少し腫れただけでも息苦しくなること、より大きい子どもや大人よりも体内の水分量が多いために一日に必要とする水分量も多く、脱水症になりやすいといったことなどです。

 インフルエンザやおたふくかぜといった感染力の強い病気にかかったときの出席停止についても盛り込まれています。集団で生活する学校は、学校保健安全法第19条で、感染症にかかった場合に学校長が出席を停止できるとありますが、保育園や幼稚園も原則はそれに従っています。(学校感染症 出席停止の基準 https://www.gakkohoken.jp/files/special/images/special7/h04.pdf別ウインドウで開きます

写真・図版

 ここにあるような感染症にかかると、再び登園するには、医師の登園許可書が必要になることが多いです。以前にもコラムで書いたので、参考にしてください。(登園・登校許可書って必要なの? https://www.asahi.com/articles/SDI201702018194.html

 出席停止の基準は、手足口病なら発熱や喉頭・口腔の水疱や潰瘍を伴う急性期は出席停止で、その後は全身状態が改善すれば行ってもいいことになっています。リンゴ病(伝染性紅斑)なら、ほっぺたがまだ赤くても全身状態が良ければ登園・登校していいのです。

 嘔吐や下痢の症状があるとき、外来で「これは感染性のものですか?」とよく聞かれます。おそらく、感染性だと登校・登園の基準が「下痢・嘔吐症状が軽快し、全身状態が改善されたら」となっているからだと思うんですが、子どもであれば、ほとんどが感染性のものです。そして感染性胃腸炎のほとんどがウイルス性で、つまりおなかの風邪です。

 ロタウイルスやノロウイルスの感染による胃腸炎でも、下痢・嘔吐症状が軽快し、全身状態が改善されれば登校・登園は可能です。コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフスなどはとてもまれですから、その際にはかかった小児科医に聞いてみましょう。

出席停止期間が終わったら?

 体調を崩したあと保育園や幼稚園で、「念のためまだお家で様子を見てください」と言われることがあるかもしれません。もちろん、お子さんの体調がまだ回復していなければ、出席停止の基準よりも長くなっても休ませましょう。もし、お子さんが元気で、出席停止基準を満たしていたら、保育園や幼稚園に相談してみましょう。

 担任の先生だけでなく、園長先生や、公立なら市区町村に相談してもいいと思います。また、子ども同士移してしまうのはお互い様とはいえ、保護者もお子さんの感染症を園で蔓延させないように、基準を守りましょう。

 一方、「病院で検査してもらってきてください」とか、「治癒証明をもらってきてください」と言われ、困った親御さんがお子さんを連れて小児科に来ることがあります。「もう、他の子に移さないという証明がないと登園できません」という意味のようです。

 でも、いつなんの検査が必要か、検査するかどうかは医師が診察をして決めます。検査する器具やキットを備えていない医療機関もありますし、検査する時期・回数などは医療保険上、制約があります。園が希望しても検査ができないことがありますし、完全に治ったとかウイルスや細菌が排出されていないという証明はできません。園が検査をしてもらってきてくださいとご両親に言うのは、ナンセンスです。

 この春保育園に入る子は、初めのうち数日間慣らし保育ですね。徐々にしか保育園に滞在する時間を長くできないのが、もどかしいという人がいるかもしれませんが、体調の面を考えても、お子さんにはゆっくり園に慣れてもらいましょう。予期せぬ事故などで子どもが亡くなるのも、預け初めの1週間が多いのです。

 4月からの登園で不安や疑問に思うことは、再度保育園・幼稚園に確認しましょう。少しでも不安を減らすために、できることをして、お子さんも保護者も笑顔で通えるようになりますように。

<アピタル:小児科医ママの大丈夫!子育て>

http://www.asahi.com/apital/column/daijobu/(アピタル・森戸やすみ)

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。