[PR]

 小児科では、4月から保育園や幼稚園など新しい環境になるお子さんについて、食事のことを聞かれる季節です。「子どもが食物アレルギーかもしれない」という親御さんや、保育園などから「入園前に給食で出る食材が食べられるかどうか家で試してみてください」と言われ、相談に来る方が多いんですね。アレルギーの心配があるときや、初めてのものをあげるとき、どんな注意点があるでしょうか。

アレルギーの心配があれば医師に相談を

 既に食物アレルギーの症状が出たことのある子、アレルギーの心配のある子に以前ダメだったものを食べさせてみるのは、かかりつけ医に相談しましょう。

 アレルギーの心配・リスクとしては、以下のようなものが言われています。

・両親やきょうだいに食物アレルギーやアナフィラキシーショックを起こしたことがある人がいる

・肌のバリアー機能が落ちていてブツブツや赤みがある

・離乳食を遅らせている

(日本小児アレルギー学会食物アレルギー診療ガイドライン2016ダイジェスト版第4章 http://www.jspaci.jp/allergy_2016/chap04.html別ウインドウで開きます )

 そして、以下のような症状がある場合は、アレルギーによるものの可能性があります。

・口のかゆみや腫れ

・嘔吐や下痢・腹痛

・じんましんなどの顔・体にできる発疹

・のどが締め付けられるような呼吸困難

・血圧の低下からくるけいれんや意識障害

(独立行政法人環境再生保全機構 ぜんそく予防のためのよくわかる食物アレルギーの基礎知識 https://www.erca.go.jp/common/img/yobou/uploads/kanjazensoku/ap027.pdf別ウインドウで開きます )

 こうした症状は通常、食べてから1時間以内に出ます。症状が多彩なので「これは食物アレルギーなの?」と迷った時には、症状が出る前に食べていたものをメモし、小児科に行きましょう。アレルギーのためにできる発疹は時間が経つと消えたり、場所が変わったりします。連れて行ったときにはもうわからなくなっていることがあるので、ブツブツができていたら写真を撮っておきましょう。

 小児科では、症状や状況、家族歴などのリスクに関することを聞き、スキンケアの指導をしたり、必要があれば薬を処方したりします。血液検査や、実際に食べてみて症状が出る食べ物やその量を確認する負荷試験をすることもあります。

 食物アレルギーで食べられないものがある場合には、医師が給食から除去すべきものなどを書いた指示書を保育園などに提出することになります。基本的に、毎年更新することになっています。

初めての食べ物は1日に1種類ずつ?

 次に、アレルギーの心配が特にない子の場合です。アレルギーのリスクになるものがなく、症状が出たこともなければ、いろいろなものを食べさせてみましょう。

 「その前に検査をしてください」という方もいますが、乳児など小さい子どもに、食べさせてみないうちから血液検査をしてリスクとなるものを調べることはしません。症状があっても検査ではわからない、あるいは逆に症状がないけれども検査では陽性になるということがあります。そういった際に、大事なのは症状の方なのです。

 アレルギーを起こす可能性のある食材は、入園前に自宅で食べる機会を設けましょう。特にアレルギーを起こしやすい鶏卵、乳製品、小麦、ピーナツなどは、症状が出たら医療機関にかかりやすい時に試してみるのがいいと思います。でも、供される可能性のないものは練習の必要がありません。

 赤ちゃんに離乳食をあげる時に、「初めての食材は1日に1種類ずつ」とよく言われますが、アレルギーの症状を起こしたときに食材が特定できるようにするためのようです。アレルギーを起こす可能性のない食材であれば、複数を試しても問題はないでしょう。登園前までにすべての食材を1日1種類ずつ増やしながら試すのは、現実的ではありません。

形状や水分など、食べさせ方にも注意を

 また、種類だけでなく、形状やどのようなペースで食べるかということも重要です。子どもは胃酸が弱いので、生ものは3歳くらいまで与えないほうが無難です。

 かむ力も弱いので、かみ砕きにくい食品や気管支に詰まりやすい形態の食品、弾性や粘性の高い食品は誤嚥や窒息の危険があります。あめ、ナッツ類や豆類、切っていないプチトマト、餅、こんにゃく、一口ゼリーなどは特に危険性が高いです。(成田崇信著『管理栄養士パパの親子の食育BOOK』内外出版)

 園のおやつで出されるようなカステラなどは、水分が少ないので、のどに詰まらせないように気をつけましょう。少しずつお茶などの水分と一緒に食べるようにしてほしいですし、特にお昼寝の後などには注意が必要です。

 ハチミツは、1歳未満の子どもにはあげてはいけません。これはアレルギーが心配だからではなく、乳児ボツリヌス症になってしまう恐れがあるからです。練習は必要ないだけでなく乳児には危険なので与えないでください。

 ある園の説明会で、「園では粉ミルクの代わりに大豆ミルクをあげるので、練習してきてください」と大豆ミルクを渡されたという親御さんがいました。ミルクアレルギーのない子に予防的に大豆ミルクを与えるメリットはありませんし、栄養学的にも母乳や粉ミルクから大豆ミルクに替える必要はありません。

 実際の園での食事では、食べている間に職員が気を配ってくれているかが大事です。

給食の見本を見せてもらえたり、保護者が見学する機会のあったりするところは、安心だと思います。機会があればぜひ、実際に見て確認しましょう。

 給食などについて不安があれば、園長先生や栄養士に話を聞いてみると良いでしょう。保育園であれば、指導監督をする自治体の担当課にも相談してみましょう。

<アピタル:小児科医ママの大丈夫!子育て>

http://www.asahi.com/apital/column/daijobu/(アピタル・森戸やすみ)

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。