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 このコラムでは7月から引き続き、子どもの夏休みの宿題をいかに計画的に進めるかという特集をご紹介しています。

 なぜ、子どもが夏休みの宿題を計画的にできないのか――。その原因には次の三つが考えられます。今回はこのうち、3番目の「1カ月という長いスパンの時間感覚が不正確」について、対処法を解説します。

子どもが夏休みの宿題につまずく原因
 その1:ゴールおよびゴールまでの工程の全体像が把握できていない
 その2:時間当たりの作業量の見積もりが甘い
 その3:1カ月という長いスパンの時間感覚が不正確

「1カ月」を子どもの尺度で体感させる

 よく、年齢を重ねるほど時間のたつのが速く感じられると聞きませんか? またある時には、楽しい時間ほどあっという間に感じられるとか、退屈な時間は長く感じられるとか……。このように年齢や心理状況によって時間の体感は変わるものです。

 とはいえ、私たちはさまざまな経験を重ねながら、「このくらいの料理なら15分もあればできそう」とか、「駅まではだいたい10分みておけば行けそう」とか、「このぐらいの仕事なら1時間くらいでできそう」などと正確に見積もることができるようになります。

 私たちはこのような時間の感覚を、経験を積み重ねながら、体得していくものです。

 思ったより料理に時間がかかってしまったとか、意外に速く駅まで着いたとか、1時間でできると思っていた仕事に半日費やしたとか・・・失敗しながら、少しずつ大人になったのです。

 しかし、この「経験」が、まだ不足している子どもではどうでしょう。

 「夏休みなんて1カ月以上もあるんだから、宿題はいつでもやれるさ!」と、夏休みを途方もなく長い長いものに感じることでしょう。1カ月単位で仕事や課題をこなしたことなど、たぶんないのですから当然です。

 ナンセンスな大人の対応の例としては、「1カ月なんてあっという間よ、早く宿題をやってしまいなさい」と説得することです。これでは体感できないし、説得力がありません。

 では、どうしたら子どもたちに、1カ月間以上の長さを体得してもらえるでしょうか?

 コツは、子どもが既に経験済みの「時間の単位」に分解することです。

 例えば、子どもが運動会で踊るダンスの練習を、直前1週間でたくさんした経験があったとすれば、その子どもにとって「1週間」は体感したことのある単位になります。

 ですから、夏休みの約1カ月間を、「1週間が四つ分」というふうに言い換えてあげるとずいぶんイメージができるかもしれません。

 他にも「3日がかりで完成させた作品」、「先週のドラえもんを見た日から今日まで」などその子どもにとってわかりやすいもので例えてあげるとよいでしょう。

 それでもイメージだけで1カ月の感覚をつかむのは難しいものです。このような時にお勧めするのは、「視覚化」することです。

「1カ月」を視覚化する3ステップ

 わかりやすく説明するために、ここで小学生の子どもの宿題が、ワークブック40ページ、絵日記、自由研究としましょう。これらをなるべく細かいステップに分けて箇条書きにします。

写真・図版 

 次に、これらを1週間単位で振り分けます。この週に何をやるべきかがわかります。

写真・図版

 次に振り分けた宿題にかかる時間を見積もります。

 見積もりは前回もお示ししたように、必ず「実際にやってみて」見積もるとうまくいきます。自由研究など見積もりの難しいものについても、いくつのステップから成る課題なのかを見極めて見積もりを立てます。

 宿題の文末に( )で見積もりの時間を書き込みましょう。

 あとは、その宿題の実行日を決めて行きます。

 夏休みにはお盆の帰省や家族旅行などもあるでしょう。実際に宿題のために使える日はいつでしょう。その日の何時から何時が使えるのでしょうか? 空いているところに、宿題タイムを入れていきます。

写真・図版 

 いかがでしょうか。

 視覚化すると、子どもにも「あ、意外と1カ月とはいえ宿題に使える時間って少ないんだな」と理解できるかもしれません。

 また、こうして実際の所要時間の見積もりに応じた計画を立てておくと、ワークブックをしながら「あー、自由研究もしなくちゃ、いつしよう」などという雑念や不安に襲われることなく、安心して取り組めます。

 とはいえ、大人でも見積もりどおりにはなかなかいかないもの。

 できれば何も予定を入れない日を週に1~2日作っておいて、1週間単位で計画の遅れをリカバーできるような予備の時間も設けておくと安心ですね。

 8月も残り3週間あまりですが、今からでも遅くはありません。具体的な計画を、お子様と一緒にたててみてくださいね。

夏休みの宿題のコツその3
1カ月はあっという間。時間を視覚化して、1週間ごとに計画をたてる。

 

<お知らせ>

 コラムでご紹介したような時間管理について、易しいエッセー風にまとめた本もあります。時間を大切に使って夢を叶えるための方法を、ディズニープリンセスのお話になぞらえて紹介しています。

 「ディズニープリンセス 夢を叶える時間術」(講談社)中島美鈴 著

 https://www.amazon.co.jp/dp/4065147174/別ウインドウで開きます

 ※「かなめクリニック」におけるオンライン診療は現在のところ、予約枠が全て埋まっており、新規受付はいたしますが、待っていただくことになりますのでご了承下さい。

 

<アピタル:上手に悩むとラクになる・生きるのがつらい女性のADHD>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/nayamu/(アピタル・中島美鈴)

アピタル・中島美鈴

アピタル・中島美鈴(なかしま・みすず) 臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。