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 ここ福岡では夏休みも終盤戦です。皆様の地域ではいかがですか?

 このコラムでは7月から3回にわたり、子どもの夏休みの宿題を計画的に進めるひけつをご紹介してきました。しかし、せっかく立派な計画をたてたのに「絵に描いた餅」になってしまった……という人もいるかもしれません。

 立派な計画があっても、それが実現しないのにはいくつか理由があります。

 めんどうくさい、飽きた、ゲームなど他のものにのめり込んでしまう、おもしろくない……。小学生に限らず中高生からもこんな声が聞こえてきそうです。

 そうなのです。勉強自体を楽しいと思える子どもは別かもしれませんが、多くの子どもにとって、長時間の集中はなかなか大変なのです。

 そこで、今からでも使える、短期決戦にも役立つおすすめの作戦をいくつかご紹介します。お子様のタイプに応じてアレンジしてご活用ください。

 

(1)ついでにやる作戦

 子どもの夏休みの生活の中で、既にお決まりになっていることとペアにしてついでに宿題をすませようという作戦です。

 例えば、ラジオ体操が終わったらついでに宿題を1ページする、おやつの時間の直前に宿題をする、お風呂あがりに宿題をする、といったかんじです。必ず毎日することで、できれば時間の決まっているものとペアにして「ついで」にすることで、習慣になりやすいことがこの方法のよいところです。

 習慣になれば、親はいちいち「ほら!宿題したの?」と催促しなくてすみます。なるべく楽しい日課とペアにすると宿題自体にもポジティブなイメージを持つことができるでしょう。

(2)誘惑を断つ作戦

 ネットにゲームにテレビ……、家の中には誘惑がたくさんあります。学校の教室にはそのどれもがないのに。ついついゲームやテレビに手が伸びてしまう場合は、こうした誘惑の多い環境にちょっと工夫をすることが必要です。

 「受験生のいる家ではテレビはつけない」そんなことを聞いたことはありませんか。

 そこまで徹底しなくてもよいですが、せめて勉強時間は、テレビもゲームもネットもすべて手の届かない環境を作りましょう。だらだら勉強しながら逃げるように見るテレビよりも、やるべきことを済ませた達成感と共に見るテレビの方が楽しいことを、子どものうちから経験するとよいでしょう。

(3)場所を変えてやる作戦

 他のきょうだいの都合や、既にスマホやゲームへの執着が強くなってしまっているなど、家の中で「誘惑を断つ」環境調整が難しい場合には、ネットにもテレビにもアクセスできない環境に場所を移し、切り替えスイッチを作ることから始めましょう。

 昔から勉強場所の定番といえば、図書館です。開館前から勉強道具を抱えた中高生が勉強スペースの席を求めて並ぶ姿もありました。図書館によっては、あくまで読書のみを推奨し自習目的の利用者に対しては席を制限しているところもありますが、昔から「家では集中できないけど、場所を変えればできそう」という人々は一定数いるものです。

 場所を変えることで、気分を変えるという人もいるでしょう。最近は夏休みの公民館を子ども達に開放する試みを行っている地域もありますから、そのような場所を利用するのもよいでしょう。私は最近コーヒーショップで小学生が宿題をしているのをみて、「とうとうここまで低年齢化したか!」と驚きました。友人は「帰省先、旅行先の方が家よりよっぽどよく勉強する」と勉強道具を旅行先まで持ち歩いていました。子どもとしても何か「特別感」があるのでしょうか。

(4)隙間でやる作戦

 「ついで作戦」や「場所を変える作戦」とちょっと重なるところもあるのですが、ちょっとした隙間時間に宿題をするのは、集中力の続かない低学年の子どもには最適です。隙間時間とは、以下のようなものです。

 ・あと5分でお風呂がわきそう。

 ・外食先でごはんが出てくるまでの待ち時間。

 ・上の子どもの習い事に付き添ってついてきている待ち時間。

 ・電車やバスの移動中。

 ・友達があと5分で遊びにくる。

 ・待ち合わせ場所に早くついたとき。

 ・好きなテレビがあと5分で始まるとき。

 ・あと5分でご飯ができる。

 どうでしょう。けっこうあるものだと思いませんか?

 隙間時間まで余すことなく活用することが目的ではありません。無駄にしがちな隙間時間ですが、こんなに時間が明確に区切られていて、しかも5分間ぐらいの短時間は、小学生にとって集中しやすい短いスパンということになります。だとしたら、活用すべきです。

写真・図版 

 「お風呂に入るついでに、その前5分で宿題」、「外食先で、注文してからご飯が運ばれてくるまで宿題」(外食先で場所を変えて宿題をすることでもあるので、さらに新鮮なかんじがして集中できる)……。

 隙間時間に実施した宿題も、積み重ねれば大きな量になることでしょう。

(5)みんなでやる作戦

 ひとりで宿題に立ち向かうよりも、仲間と一緒のほうがやる気が出そうなら、みんなでやるという方法もあります。おっくうな自由研究や絵の宿題なども、仲間と一緒にすれば、楽しくなって、不思議とわいわい、アイデアも豊富に出てくるものです。それだけでなく、「○○ちゃんもがんばっているんだし。約束したし」と一定の拘束力も持ちます。

 きっとみなさんのママ友も同じように子どもの宿題のことで悩んでいるかもしれません。「じゃあ、一緒にしようか」と声をかけあう親の姿をみて、子どもは一緒に助け合いながら楽しみながら課題をこなす(働く、生きていく)術を学べるでしょう。

 

 さあ、皆様のお子様にぴったりの方法はみつかりましたか? 1回でちょうどよい方法が見つかれば御の字ですが、たとえなかなか作戦がヒットしなくても、親子で一緒にいろいろ試してみることで、お子様に「そうか、世の中には、課題をこなすための工夫の仕方がこんなにたくさんあるんだな! 解法はひとつじゃないんだな。工夫して生きて行けばいいんだな」というメッセージを伝えられるはずです。

 これから出会う宿題よりも大きな課題、つまずき、大ピンチに対して、お子様が自ら「○○作戦」と名付けてあれこれ試行錯誤しながら解決を目指せたとしたら、親としてはこんなにうれしいことはありませんね。

 試行錯誤の過程も含めて、きっとお子様の役に立つはずです。親子でお試しください。

    ◇

 さて、これまで夏休み番外編として、小学生の子どものための宿題の取り組み方をご紹介してきました。次回からはまた、ADHDに悩む30代の女性・リョウさんのお話に戻ります。

 

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アピタル・中島美鈴

アピタル・中島美鈴(なかしま・みすず) 臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。

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