[PR]

 子どもがなかなか大きくならない、寝返りをしない、歩かない……。外来でそんな心配ごとを相談される親御さんは多いです。私も、子どもが生まれたのが友人と同じ頃だったので、比べてしまい不安になりましたから気持ちはわかります。

 特に最近は、SNSなどを通じて頻繁に他のお子さんの様子を見ることができます。「○○ができました」といった他の親御さんの投稿を読んで、我が子のことが心配になる人が多いのかもしれません。ツイッターやインスタグラムで生まれた時期をハッシュタグなどで探し、自分の子と比べてしまう……といったこともあるようです。

 子どもの成長発達が心配だったら、まずやるべきことはツイッターを見ることやググることではありません。母子健康手帳を見てみましょう。

身長や体重、どう増えてきているのかが大事

 身長・体重は数字で表すことができるのでわかりやすいですね。母子手帳の後ろの方に身体発育曲線(成長曲線)があります。母子手帳には厚生労働省が省令で決めた省令様式と任意様式というものがあります。成長曲線は省令様式の方に含まれますから、すべての母子手帳に載っています。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/kenkou-04.html別ウインドウで開きます

 そこに生まれたときから健診のたびに測ってもらう身長と体重を書き込んでみましょう。身体発育曲線は、厚労省が行っている乳幼児身体発育調査の結果をもとに作られたグラフで、帯部分には、各月齢・年齢の94%の子どもが入るように示されています。

 生まれた時から小さい子の場合は、特に体重の増えが気になりますね。体重2500g未満で生まれた場合を低出生体重児と呼びますが、多くの場合、1年前後で他の子に追いつきます。ミルクをたくさんあげて体重を増やそうとするのは、よくありません。無理やり飲ませたり食べさせたりするようなことは避けましょう。

 私たち医師は、外来を受診した子のその時点の大きさだけでなく、小さく生まれたか、身長と体重のバランスはどうかといったことも大事にします。例えば、出生時の体格が小さかったら、ある時点まで同じ月齢の子より小さいのは普通のことです。いつグラフの帯部分に入ってくるかが重要です。大きすぎるのではないかというときも、いつからどのくらい大きいのか知ることが重要です。

 明らかに成長曲線の帯から大きく外れた状態が続いているような場合には、乳幼児健診の際や小児科を受診した際に、母子手帳を持って相談してみましょう。「背が低いのではないか 」「太り過ぎではないか」といった心配がある場合は、日本小児内分泌学会のホームページ(http://jspe.umin.jp/public/index.html別ウインドウで開きます )を見てみましょう。「背を伸ばす」などとうたったサプリメントやスプレーについても、「科学的なデータはない」といった注意喚起がされています。

寝返りやごっこ遊び、個人差も

 体の運動機能や、内面の発達についても、気になるという親御さんは多いと思います。寝返りをしない、歩かないなど、発達が遅いのではと感じたときも、母子手帳を見てみましょう。

 身体発育曲線の右下部に「首すわり」「寝返り」「ひとり歩き」などが矢印とともに書いてあります。乳幼児の運動機能の調査をもとに、矢印の左端が約半数の子ができるようになった時期、右端が約9割の子ができるようになった時期を示しています。

 言葉が出るのが遅かったり、あまり遊ばなかったりする時にも、心配になるかもしれません。各月齢、年齢のところに、「自分の名前が言えますか」「ままごと、ヒーローごっこなど、ごっこ遊びができますか」といった質問があるので、お子さんが当てはまるか○をつけていきましょう。

 発達を評価する上で、大事な月齢、年齢は市区町村で健診があります。とくに1歳半と3歳児健診はすべての市区町村で行われていますから、必ず受け、心配があれば相談してみましょう。保健師、小児科医が対応します。

 色々と心配ごとはあっても、母子手帳に載っていることがクリアできているならば、ほとんどが異常ではありません。

 そもそも、お子さんの発達はバリエーションがあるので、母子手帳の目安通りにならない子がいても、不自然ではないのです。それでも心配なときには、厚生労働省が作った「発達障害の理解のために」というパンフレット(http://www.rehab.go.jp/ddis/?action=common_download_main&upload_id=216別ウインドウで開きます )や、発達障害情報・支援センターのホームページ(http://www.rehab.go.jp/ddis/別ウインドウで開きます)が参考になります。

 発達障害についての説明や、各都道府県・市区町村が開いている相談窓口についても書かれています。東京都なら発達障害者支援センター(TOSCA)のホームページ(http://www.tosca-net.com/soudan/別ウインドウで開きます)から、さらに身近な相談窓口を探すことができます。

 よその子よりも成長が遅いのでは、と不安に感じるのはよくあることだと思います。周囲やSNSで見た子と比べるよりも、専門的に裏付けられた情報と照らし合わせてどうなのかを注意して見守れるといいですね。

<アピタル:小児科医ママの大丈夫!子育て>

http://www.asahi.com/apital/column/daijobu/(アピタル・森戸やすみ)

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。