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 すっかり涼しいというか、朝晩は寒いくらいの気候になりましたね。せきや鼻水、急な発熱という患者さんが増えました。

 子どもは、よくある感染症でも、急に悪化し入院してしまうこともあります。今年の夏は、例年なら冬にはやるRSウイルス感染症による細気管支炎の患者さんが多かったので、私のクリニックでは何人も大きな病院に紹介して入院させてもらいました。小さい子は、どんな時に入院が必要になるのでしょうか。

水分が取れず入院になることも

 乳幼児の場合、食事や水分が取れなければ入院を考慮します。また、容体が急変するかもしれない時や、長時間の点滴が必要な時、たくさんの検査をする必要がある時などにも入院です。

 RSウイルス感染症は、減ってはきたもののまだかかる子が出ているので注意が必要です。成長してくれば、発熱や、せき、鼻水といった程度の風邪症状で終わることがあります。でも、3歳未満、特に1歳よりも小さい子ではゼイゼイがひどくなって苦しくなることがあります。肺の中の肺胞につながる一番細い気管の細気管支という部分が炎症を起こしたり、肺炎になったりするからです。

 呼吸が苦しいとき、小さい子は胸郭が柔らかいので、裸にすると胸がペコペコへこみます。普段面倒を見ている大人なら必ず気づくでしょう。熱も数日間ずっと高いことが多いので、高熱のせいもあっていっそう呼吸が速くなります。このように呼吸状態が悪くなっている場合には入院になります。また、呼吸をするので精いっぱいで、苦しいため機嫌が悪くなり、食欲も水分摂取も減ります。乳児は母乳やミルクをいつもの半分以下しか飲めないようなら入院です。

 胃腸炎でも入院することがあります。おなかの風邪と言ったり、嘔吐下痢症と呼んだりしますが、そういったときに家でどうしたらいいかということはこちらをご覧ください(おなかの風邪、いつから食べさせる https://www.asahi.com/articles/SDI201709294467.html)。

 子どもは脱水になりやすいということは知っている方が多いと思いますが、低血糖にもなりやすいんです。低血糖の症状はぼーっとして元気がない、少しの刺激に過敏になったり興奮したりするという症状が出ます。低血糖からアドレナリン分泌が増えて頻脈、顔色が悪くなる、冷や汗をかく、手の指がふるえるといった症状が出ることもあります。

 こういった状態になったら糖分の入った飲み物を少しずつあげ、受け付けない場合は小児科に連れて行きましょう。低血糖が続くと意識障害を起こしたり、けいれんしたりすることもあります。

必要なワクチンを受けていないと…

 入院にあたっては、「付き添いができますか?」と聞かれることがあります。付き添いが必要かどうかは、病院の看護体制やお子さんの状態によります。

 日本の保険診療では、病棟では看護師1人に対して入院患者さんの数が決まっていて、1:7です。驚くべきことにこれは小児も大人と同じ。1歳前後だと食事は一人でできないでしょうし、点滴を自分で抜いてしまうかもしれません。そういうときにお母さん・お父さんでなくてもおばあちゃんやおじいちゃん…誰でもいいので大人が付き添ってくれないとお子さんの入院はできませんと言われることがあります。

 病院としては、付き添いの人のベッドや食事の料金を保険診療で請求できませんから、簡易ベッドを借りたりインスタント食品を持ち込んだりして、親御さんは大変です。一方で、付き添いはいらないという病院もあります。

拡大する写真・図版イラスト・森戸やすみ

 子どもが入院する場合、診察券や保険証、子ども医療証以外にぜひ母子手帳を持っていきましょう。個室だったらあまり問題になりませんが、感染歴、予防接種歴がわからないと入院する部屋を決められないことがあります。

 例えば、水ぼうそうの予防接種を受けていない子が水ぼうそう患者と接触し感染すると、2~3週間は潜伏期間ということになります。その間に入院した場合、入院中に水ぼうそうを発症し、他のお子さんに移してしまう危険性が高いです。麻疹、風疹、おたふく風邪、4種混合に入っている百日咳など他の感染症も同様です。

 子どもが入院できる病院は大人より少ないので、家からの距離が近いからということで選んでも、予防接種歴で別の病院に行かなくてはいけないということもあります。受けられる月齢や年齢になったら、ワクチンはみんな受けましょう。

 子どもが入院するとなると、親も慌ててしまいますね。24時間、慣れない病院での付き添いとなる場合も大変ですが、なんとか乗り切ってほしいと思います。

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11月24日(日)午後1時半〜

『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』刊行記念トークイベント開催。共著者で小児科医の宮原篤さん、感染症専門家の堀成美さんと登壇します。HPVワクチンや追加接種のこと、いろいろとお話しましょう。ぜひお越しください。

https://www.loft-prj.co.jp/schedule/naked/date/2019/11/24別ウインドウで開きます

<アピタル:小児科医ママの大丈夫!子育て>

http://www.asahi.com/apital/column/daijobu/(アピタル・森戸やすみ)

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。